SAP S/4HANAで実現できる生産計画ソリューション


7月に発行されたブログ「サプライチェーン計画~ERP~MESの垂直統合がもたらす価値」にてサプライチェーン計画とERP(基幹)およびMES(製造実行管理)が垂直統合することで何が価値としてもたらされるのか、について言及しました。
今回は、その中でERPに位置付けられている生産計画/詳細計画ソリューションProduction Planning and Detailed Scheduling(以下PPDS)の概要と特長についてご紹介していきたいと思います。

1. 今までのERPにおける生産計画立案機能

各種制約条件を考慮できない生産計画

これまでのERPにおける生産計画は、MRPによる無限負荷山積みの生産計画となり、設備や作業者などリソースの生産能力や部材を供給する仕入先の能力など制約条件を考慮していませんでした。これらの制約条件を考慮しないと、実際に生産可能となる計画にはなりません。
また、複数ある需要に対してどのような順序で供給していくかといった需要優先度の考慮や、段取り替え時間を加味し能力を超えないよう、また稼働時間中に空き時間が発生しないようできる限り能力を使い切るような製造順序の考慮ができていませんでした。
こういった各種制約条件が考慮できなければ、重要顧客からの注文に対して納期遅延をおこしたり、必要なタイミングより早く製造し在庫を多く抱えてしまったり、製造現場では作業負荷が平準化されず効率が悪くなるということが発生します。
これを解消するために計画担当者は各種制約条件を考慮した山崩しを行い、最適な製造順序となるよう計画の見直しが必要で、非常に手間と時間がかかる作業でした。

高度な生産計画ソリューション活用の課題

一方で、このようなERPの生産計画機能をカバーする高度な生産計画ソリューションをERPとは別に構築し運用する方法もありました。高度の生産計画ソリューションでは、各種の制約条件を考慮し、資材所要量計画・能力所要量計画を同時に実行し、順序計画までを一度に実行し、実現可能な最適計画を立案することができました。
ただし、複数のシステムを運用することになることで、システム間で共通に利用するマスタやトランザクションデータの連携が発生し、連携に時間がかかることから、タイムリーに計画を立案することができませんでした。
いくら高度な生産計画ができるようになったとしても、現在の在庫状況や製造・購買の進捗状況がタイムリーに把握できないと、計画の精度は落ちてしまい、結果として、過剰在庫や欠品を起こしてしまいます。正確で精度の高い生産計画を立案するためには、在庫管理と製造・購買進捗管理のタイムリーな把握が前提条件になってきます。

2. SAP S/4HANAにおける生産計画/詳細計画ソリューションPPDS

それでは、SAPが提供する生産計画/詳細計画ソリューションPPDSをご紹介します。特長は、以下の3点になります。

①制約条件を考慮した生産計画を立案可能

PPDSでは、要求された需要情報に基づいて部材所要量とリソース所要量を計算し生産計画を立案します。生産計画立案の方法として、無限負荷計画だけでなく、考慮すべき制約条件(リソース制約、部材制約)を加味した有限負荷計画も立案可能です。
計画結果を評価・分析するには様々な画面が用意されております。製品計画テーブル画面では、立案された計画に問題がある場合、需要納期遅延やリソース過負荷などアラートメッセージが表示され計画の実現可能性を確認することができます。また需要オーダーと供給オーダー間の紐づけ(ペギングネットワーク)がされるため、計画に問題がある場合、例えば部品供給が遅延する問題が発生したとき、どの製品需要に影響を及ぼすか確認することが可能です。

製品計画テーブル

②実際に「製造できる」順序計画を立案可能

生産計画で作成された生産確定期間内の供給オーダーに対し、制約を加味して、納期を満たすよう最適な生産順序計画を立案します。受注オーダーの優先度や製品の優先度に対し、製造現場のリソース過負荷や段取り替えにかかる時間を考慮できます。生産計画ボード画面では、スケジューリングされた状況を確認でき、マニュアルで計画の調整も可能です。また、計画された供給オーダーの工程間を考慮した計画を立案しますので、工場全体のスケジュール最適化を図ることが可能です。
PPDSでは、シミュレーション機能を備えておりますので、複数のシナリオを比較検討し最適な計画を選択し、製造・購買実行業務へ繋げていきます。

生産計画ボード

③SAP S/4HANAに統合された生産計画/詳細計画ソリューション

SAPの計画系ソリューションの1つであるPPDSは、今までERPに対する拡張ソリューションとして提供しておりましたが、次世代のERPであるSAP S/4HANA1610リリースより、このPPDSの機能がSAP S/4HANAに統合されています。この統合により、単一システム内で計画系業務と実行系業務がより密接につながりタイムリーに生産計画業務を遂行することが可能になりました。システム導入の面においても、マスタやトランザクションの連携が不要となり、非常にシンプルに運用でき開発や運用費用を抑えることが可能です。

コアへの統合

このPPDSSAP S/4HANAへ統合されたことにより、もともとERPで管理していた現在の在庫状況や製造・購買の進捗状況は、即座に計画に反映することができるようになりました。計画系業務と実行系業務が同じ情報に基づいて業務が行えるということです。これにより、現場の状況に即した精度の高い計画を立案することができます。

在庫状況の把握

3. まとめ

SAPの生産計画/詳細計画ソリューションPPDSは、各種制約条件を考慮した高度な計画立案をSAP S/4HANAの機能として実行することができます。より事実に基づいた実現性のある計画の立案を可能にするソリューションです。

今回は生産計画/詳細計画業務を担うPPDSのソリューションをご紹介しました。また今後もイベントやポータルサイト等を通じて継続的に情報発信していく予定です。

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