SAP ERPとのリアルタイムなデータ連携を評価-トラスコ中山株式会社:SAP HANA導入事例②


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100万アイテムを超える卸売業の膨大なトランザクションを支える情報基盤-トラスコ中山株式会社:SAP HANA導入事例①

データベーステーブルとのリアルタイム連携が採用の決め手に

前回ご紹介したトラスコ中山様の業務課題を解決するために、SAP HANAを採用されたその選定基準とは何だったのか、またSAP HANAによって新たに構築されるシステムについてご紹介していきたいと思います。

トラスコ中山様がSAP HANAに着目したのは2011年の夏頃だったと、今回の導入プロジェクトの責任者であるトラスコ中山株式会社 経営管理本部 情報システム部 部長 佐々木伸昌氏は振り返ります。

SAP HANAの情報自体は2010年頃からすでに聞いており、また今回の開発・構築を手がけた株式会社野村総合研究所とは2012年春から情報交換を行っていました」

他のデータウェアハウスアプライアンス製品などとも比較検討しましたが、最終的な決め手としては、SAP ERPのテーブルとの連携が大きなポイントになったと佐々木氏は話します。

SAP HANAなら、SLT (SAP Landscape Transformation)を使って、ニア・リアルタイムでテーブル連携できるとわかり、最終的に導入を決意しました」

SLTは、SAP ERPSAP HANAとのデータベーステーブル連携を行う際に、データロードを行う機能です。SAP ERPに接続する形でSAP HANAを接続すると、SAP ERPでデータ更新が発生するごとに、ほぼリアルタイムでその更新されたデータをSAP HANAにロードすることが可能になります。

「自社の業務にいかにフィットさせるか」―。コストを超えた選定基準

言うまでもなく、投資対効果はシステム導入の際の重要なポイントです。しかし、トラスコ中山様のSAP HANA導入において、この点は最優先の判断基準ではありませんでした。佐々木氏は「今回のように、いわば将来の成長に向けた投資としての大規模システムの導入は、投資回収の側面のみにばかり固執しすぎると、いつまでも導入することができません。大切なのは、新しいシステムを自社の事業にどうフィットさせるかです。安いからといって要件を満たせないものを入れて、使えないことになっては結局無駄な投資に終わってしまいます。当社の場合、その点については経営陣の理解もありました」と話します。

導入プロジェクトの実作業は、2012年の春から開始されたばかりです。まず要件定義が同年4月から2013年1月まで行われ、夏いっぱいを使って実装を進め、9月をめどに第1回のサービスインが予定されています。

「社内の全員にしっかり使ってもらえるものにしたいので、要件定義のところをじっくり腰を据えて行うようにしました。ここを詰められるだけ詰めてから、実装に取りかかりたいと考えているのです」(佐々木氏)

商売の現場に「気づき」と「効率化」をもたらす営業支援システム

では、今回SAP HANAによって新たに構築される業務システムと、その特長を少し細かく見ていきましょう。

■営業支援システム

まず、営業支援システムです。従来の営業支援システムでは、この連載の第1回でもふれたように、かなり多くの課題が指摘されていました。これらの課題を解決し、膨大なトランザクションデータをすばやく加工し、ユーザーに提供できるシステム基盤が誕生すれば、具体的にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。佐々木氏は「データを営業視点から加工・分析することで、2つのソリューションが新たに生まれる」と語ります。

●先回り先手ソリューション

お客様に「わかってるね!」と認めていただける営業を実現するために、必要な情報を提供するソリューションです。主力店の販売動向の見極めや売れ筋商品の発見、また店によって売れる商品傾向を分析し、特定の商品がよく売れる店はどこかといった傾向とその原因の発見といった、データにもとづく「気づき」を可能にすることができます。

●業務効率化ソリューション

一言で言えば、「探す、悩む、迷う時間の削減」を可能にするソリューションです。これまでは、たとえば受注のステータスを確認するにも、あちこちのデータベースやファイルを探し回ることがしばしばでした。

また、お客様からの見積依頼に対して適正な価格や納期などの回答を行う際も、必要な情報をあちこちから集めたり、各担当が手計算などで加工しなくてはなりませんでした。業務効率化ソリューションでは、こうしたロスタイムや無駄な繰り返しを自動化し、高い精度の回答を迅速に提供することが可能になります。

次回は引き続き、SAP HANAによって新たに構築される業務システムとその特長についてご紹介します。

【参考リンク】
トラスコ中山株式会社
トラスコ中山は、モノづくりの現場で必要とされる機械工具、物流機器、環境安全用品をはじめとしたMRO商材(工場用副資材)の卸売および自社ブランド「TRUSCO」の企画・開発を事業としています。

株式会社野村総合研究所
野村総合研究所(NRI)は、日本初の民間シンクタンクである野村総合研究所と、システムインテグレーターの草分けである野村コンピュータシステムの合併によって生まれました。未来を洞察し、広く社会に提言する力、お客様の立場で考え、徹底して品質にこだわる姿勢など、それぞれの前身から受け継いだDNAを融合しながら、時代を先取りする企業活動を進めてきました。予測、分析、政策提言などによって問題発見から解決策を導くまでの「ナビゲーション」と、その解決策を業務改革やシステムの設計、構築、運用によって実現する「ソリューション」、この2 つを相乗的に機能させ、問題発見から問題解決までのトータルソリューションを提供しています。

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