SAP Distributed Manufacturingで実現する一歩進んだ3Dプリンターの活用方法


昨今の著しい技術の進歩により、デジタル化の波は確実に生産の現場にも押し寄せています。IoT、ビッグデータ分析、クラウド、ロボット、AI等様々なキーワードが生産現場でも取組テーマとして掲げられていますが、3Dプリンターの活用に取り組まれている、または取り組んでいこうとしている読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。3Dプリンターについて改めて説明する必要も無いかと思いますが、業務用3Dプリンターの進化も著しく、当初はプラスチックや樹脂素材が中心でしたが現在ではガラスや石膏、金属やカーボンなど強度のある材料でプリントできるようになっていたり、造形方式の多様化に伴ってより高精度且つ高品質の製品も製造できるようになってきています。一方で高性能の業務用3Dプリンターは日本円にして1億円以上するものもあり、それなりの質と量を求めようとすれば、まだまだ購入や維持・管理に高いコストが掛かってしまっています。また、3Dプリンターを扱うためには専用のスキルが必要となり、その為の人員の確保や教育も必要となってきます。

 

これらの課題を解決し、生産活動における3Dプリンターの活用をより簡易且つ効率的に実現できるようにするソリューションが、今回ご紹介するSAP Distributed Manufacturing(以下SAP DIM)です。SAPでも昨年より米UPS社との協業を通じて3Dプリンターを活用し業務変革にフォーカスしたサービスを提供してきました。ブログ”2017 Hannover Messeのハイライト”、”ここまできた! クラウドERPを活用した生産管理”の中でも少しご紹介させて頂いておりますが、この度改めてSAP DIMというソリューションとして2017年5月にリリースし、お客様の業務変革のサポートをさせて頂く、製造業者(お客様)と3Dプリンティングサービスプロバイダーを繋ぐクラウドベースのコラボレーションプラットフォームとしてご利用頂けるようになりました。

 

このソリューションを活用する事でお客様は、製造したい製品や部品のCAD等の3Dデータを3Dプリンティングサービスプロバイダーとクラウド上で共有することが出来、3Dプリンティングサービスプロバイダーは受け取ったデータを元にお客様が必要としている最寄りの場所の3Dプリンターでその製品や部品を製造し納入する仕組みになっています。この仕組みを活用する事で高価な3Dプリンターや専門の人間を抱えることなく、必要なものを必要な時に必要な数量分だけ確保する事が可能となります。

 

主に以下の様な流れでサービスをご利用頂くことが出来ます。

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  1. 基本条件の共有とサービスプロバイダーの絞込み

まずお客様は生産を依頼したい部品の仕様やデザイン、ISO等対応する必要がある規格といった基本情報をクラウド上の情報共有基盤にアップデートし3Dプリンティングサービスプロバイダーと共有します。その情報を元にEmailと連携可能なクラウド上のコラボレーション機能を通じて3Dプリンティングサービスプロバイダーからの提案やそれに対する質疑応答といったやりとりを行い、候補を絞り込みます。

 

  1. 3Dデータと関連情報の共有とディスカッション

次に生産を依頼したい部品のCAD/STL ファイルの閲覧用ファイルへの変換をSAP DIMで実行し、3Dプリンティングサービスプロバイダーと共有します。3Dプリンティングサービスプロバイダーは閲覧用ファイルによるデザインの確認を行った上で質問やコメントを追加し、SAP DIM上でお客様とディスカッションを行います。

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  1. 試作品評価と3Dプリンティングサービスプロバイダーの決定

デザインについてのディスカッションが完了し仕様についての合意が取れた後で品質評価の為の試作品の評価を行います。SAP DIMのコラボレーション機能を活用する事でお客様側からは数量や品質条件等を伴った検査計画の共有を行い、それに対して3Dプリンティングサービスプロバイダーは使用する素材とそのサプライヤーや、使用する3Dプリンターの情報、自社の品質検査結果を共有する事が可能です。またプロセスや評価項目毎に承認プロセスをSAP DIM上で実行、管理する事が可能です。

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  1. 見積依頼、契約、注文

利用する3Dプリンティングサービスプロバイダー決定したあとは必要に応じて見積依頼や購買契約、注文を行います。これらのプロセスはSAP S/4HANAで実行されますが、SAP DIMはSAP S/4HANAとの統合が可能で、SAP DIMから見積依頼等のプロセスの進捗状況を確認したり、見積を依頼した部品の仕様等の必要な情報をSAP DIM上で3Dプリンティングサービスプロバイダーと共有する事が出来ます。

 

では、このSAP DIMを活用する事でどのようなメリットが見込めるのでしょか?「設計・開発」、「製造」、「アフターサービス」という3つのプロセスから見てみたいと思います。

 

設計開発プロセスにおけるメリット

設計開発段階において、量産するかまだ分からない状況で金型を作ったり、大掛かりな製造設備が必要だったり、複雑なラインを組む必要がある部品や製品の試作には大きなコストとリスクが伴いますが、SAP DIMを使う事によって金型や設備が無くても簡易且つ効率的に部品や製品の試作が可能となり、設計開発段階におけるコストを大幅に下げることが出来ると共に、金型廃棄や製造ラインの組直しといったリスクを低減できます。また、今までは実物の試作が難しかったような初期段階からでも、試作(実物化)して開発プロセスを進めることが出来るようになるので、より効率的な開発プロセスを実現します。

 

製造プロセスにおけるメリット

消費者嗜好の多様化によりマスカスタマイゼーションへの対応は今後様々な業界で必要となってくると予想されますが、一方であまり出ない部品や顧客仕様でユニークなカスタマイズ部品を製造する必要があり、いつどれだけの量が来るか分からない部品の為に専用の設備を保持する必要があったり、専用の部品の在庫を抱えておく必要があります。しかし、SAP DIMを活用する事で、そのような設備や在庫を保持することなく必要な時に必要な分だけ製造する事が可能となり、顧客注文に対する部品製造の柔軟性を向上させながらマスカスタマイゼーションへの対応が可能となります。

 

アフターサービスにおけるメリット

特に長期保守対象製品等では、使用期限が来てしまうようなサービスパーツを製造する為に使用頻度は少ないが必要な金型や設備を残しておく必要がありました。また使用期限を気にしないものであってもサービスパーツ用に対象の品目を多く作り置きしておく必要があり、いつ出荷するか分からないような多くの在庫を抱える必要がありました。場合によっては紙の図面を紛失してしまったり、倉庫の奥にしまった金型が見つからない、久しぶりに使用する設備の段取りに手間取る、といったような非常に非効率なオペレーションをする必要がありました。SAP DIMを活用する事で、使用頻度の低い設備やいつ出荷されるか分からない大量の在庫を抱えることなく、必要な時に必要な分だけを供給する事が可能となります。また図面や技術情報もクラウド上に保持しておくことが可能で、紛失のリスクを回避できます。

SAP DIM上のサービスプロバイダーにはGlobalでビジネスを展開している企業もあるので、自社で製造・出荷するのに比べて、コストや必要となる時間を大幅に節約する事も可能です。量産時には日本でしか製造していなかった部品でも、注文を受けた当日に3Dプリンティングサービスプロバイダーの最寄りの工場等からアメリカやヨーロッパ等海外の顧客の必要な工場や倉庫に直接納入させるといったようなオペレーションも可能となります。

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今後もSAP DIM自体の機能の強化はもちろんの事、SAP S/4HANAとの統合シナリオが順次拡張されていく予定となっていますので、ご興味があれば是非弊社までお問合せ下さい。また、製品の最新情報や利用ガイド等を纏めたサイトも御座いますので、こちらも是非参照頂ければと思います。

 

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