Connected Industries 構想におけるデータ活用の未来とは?


2017年5月、経済産業省は将来の日本社会と産業を提案する報告書「新産業構造ビジョン」を発表しました。同報告書には次世代の日本社会像として「Society 5.0」、その社会を実現する産業構造として「Connected Industries」が描かれています。この「Connected Industries」と、新しい産業構造に進化する過程で浮上する問題である「データオーナーシップ」について解説します。

「Society 5.0」と「Connected Industries」の関係

「Society 5.0」とは20世紀末に起こった「情報革命」がさらに進展した社会とされています。ここでは、情報はヒトとモノによってシェアされ、現在よりさらに緊密なネットワークを形成。ヒトは、その情報のネットワークから必要なモノやサービスを最適な形で利用できるようになります。その結果、「年齢、性別、地域、⾔語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」が実現されるのです(経済産業省「第5期科学技術基本計画」より)。
この「Society 5.0」を実現する産業構造が「Connected Industries」です。Connected Industriesでは、現在進化が著しい技術であるビッグデータ、AI、IoT、ロボットが融合して、企業が業種の垣根を越えて協働します。

そして、異業種間での協働から新たな価値が創出されるのです。そうした協働は、AIと自動車が融合した自律運転技術のように現在でもすでにその萌芽を見ることができます。

Connected Industries -「Society 5.0」と「Connected Industries」の関係

データ共有に伴う「データオーナーシップ」の重要性

Connected Industriesにおいて、新たな課題として浮上するのが企業間でのデータ共有です。データを共有する場合、関係企業相互の利益を損なわないためにも、データ利用権限の所在とその範囲を決定する必要があります。こうしたデータ利用権限はデータオーナーシップと呼ばれますが、これに関しては明確な法制度も商習慣もないのが現状です。
そこで経済産業省は、2017年5月、データオーナーシップの決定と運用に関する指針をまとめた資料「データの利用権限に関する契約ガイドライン」を発表しました。同資料では、データオーナーシップを以下のような手順で策定することを推奨しています。

 1. データ利用に関する申入れ、事前確認
 2. データの選定
 3. 利用権限の決定
 4. 条項の作成

ここで特に重要なのが「利用権限の決定」です。この手順において、データ共有する企業間でデータ利用に関する権限=データオーナーシップを決定します。具体的には、データ共有によって新たに発生する成果物(成果物もデータであることが多い)に関して、利用権限がある企業を決定することになります。データから生じた成果物の利用権限を決定する際には、単一の企業のみに権限の保持を制限する必要はありません。というのも、データは基本的に多くの関係者に共有されることによって、その価値が増すからです。
データオーナーシップに関する取り決めがまとまったら、その内容を契約書として文書化する手順が「条項の作成」です。契約書にはデータ利用権限の明記はもちろんのこと、データの二次利用といった契約業務完了後に発生しうるデータの取り扱いにも留意することが望ましいでしょう。

Connected Industries への進化を支援する「SAP Leonardo」

実のところ、以上のようなConnected Industriesに対応するように企業の進化を支援するテクノロジーは、すでに存在します。それこそがSAPの「SAP Leonardo」です。
SAP Leonardoは、SAPが25の業界において45年間で蓄積してきたビジネスプロセスと、同社が強みとするビッグデータ管理技術が融合したものです。このテクノロジーによって、企業におけるモノとモノ、さらにはヒトとモノの最適な結びつきが実現します。こうして実現する企業活動は、まさにConnected Industriesに相応しいものです。
そして、本記事で解説したデータオーナーシップは、Connected Industriesに対応した先進企業間のコラボレーションにおける新たな「常識」となる、と考えてよいのではないでしょうか。

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参考:
新産業構造ビジョン|経済産業省

データの利用権限に関する契約ガイドライン|経済産業省

SAP Leonardo IoTポートフォリオ向けのジャンプスタートイネーブルメントプログラムを発表