SAP S/4HANAにおけるスケールアウト対応における留意点


 こんにちは、SAPジャパンの境です。

SAP S/4HANA(以下S/4HANA)ではSAP HANAのスケールアウト構成がサポートされるようになりました。今回はこちらについて少々ご紹介したいと思います。

ビジネスの成長に準じて、データのサイズが増加するということがあります。この場合はデータベース容量の増加が必要です。S/4HANAにおいてはS/4HANA Release 1610 FPS1(以上)とHANA 2.0 SPS 00(以上)の組み合わせにおいてスケールアウト構成が利用できるようになりました
これによりS/4HANAを御使用中のお客様は将来の容量増加時の選択肢が増えたことになります。

SAP HANAにおけるデータ容量増加方法

インメモリープラットフォームであるSAP HANA(以下HANA)において、管理するデータ容量を増加したいという場合は2つの方法があります。

1. スケールアップ

使用しているHANAのサーバーハードウェアにメモリやCPU,ディスクを追加するという方法です。scaleup
2. スケールアウト

HANAプラットフォームを複数台のサーバーハードウェアで構成させる設定です。scaleout

ハードウェアの対応

残念ながらスケールアップ/スケールアウトの両方法とも全てのHANAアプライアンスハードウェアで利用できるということではありません。Certified and Supported SAP HANA® Hardware Directory

hardwaredir

Appliance TypeとしてScale-up、もしくはScale-outを選択して表示されたアプライアンスハードウェアのみこれらの方法を取ることができます。HANAのライセンスの問題はさておき、スケールアップの場合はそのハードウェアで認定が取得されている最大のメモリサイズまでスケールアップが可能です。また基本的にメモリのみを増加するということはできません。大半の場合はCPUやディスクも一緒に増加する必要があります。詳しくは御使用中のアプライアンスハードウェアベンダー様にお問い合わせ下さい。

スケールアップがこれ以上出来ないという場合の選択肢は
・サーバーハードウェアのリプレース
・スケールアウト
となります。スケールアウトの場合は同一ベンダーのマシンを用意する必要があります。これによりハードウェアの制限を超えてデータ容量を増加させることが出来ます。

S/4HANAでの制限

S/4HANAでのスケールアウト構成には先に挙げたバージョンの制限(S/4HANA Release 1610 FPS1(以上)とHANA 2.0 SPS 00(以上)の組み合わせ)の他に以下のような制限があります。(Note 2408419 – SAP S/4HANA – Multi-Node Support  より)

Intel CPUのマシンの場合:
– 1ノードあたりCPUは最低8ソケット、メモリは最低6TB
– スケールアウトの構成ノード数は最大4ノード+1スタンバイノード
– それぞれのノードは同一構成・設定であること
– 仮想環境はサポートされません
IBM Power のマシンの場合:
– LPARが使用可能です。設定はSAP Note 2188482 – SAP HANA on IBM Power Systems: Allowed hardwareに従って下さい
– 1ノードあたりCPUは最低64コア、メモリは最低6 TB
– スケールアウトの構成ノード数は最大4ノード+1スタンバイノード
– それぞれのノードは同一構成・設定であること

これらの制限は今後緩和される可能性がありますので適宜確認するようにして下さい。

S/4HANAスケールアウト環境のサイジング

HANAのスケールアウト環境では、テーブル単位、もしくはパーティション単位でデータを各ノードに分散配置させますが、これはS/4HANAにおいても同様で、S/4HANAスケールアウト環境ではテーブル類は各ノードに分散配置します。但し、通常のHANAの様にテーブルやパーティション単位ではなくテーブルグループ単位の分散配置になることに注意して下さい。1つのグループは1つのノードにまとめて配置する必要があり、グループ内でテーブルを別のノードに分散配置することは出来ません。これが何を意味するかというと、「現在のシングルノード環境に収まっているデータは、その半分の容量のマシン2台で構成されたスケールアウト環境に収まるとは限らない」ということです。均等配分されるということではありません。

ではスケールアウト環境では1ノードあたりどのくらいの大きさのノードが必要なのかを判断するにはどのようにしたらよいか?ですが、これはかつてのBusiness SuiteからSuite on HANAやS/4HANAへ移行した際に使用した”サイジングレポート” (SAP Note 1872170 – Business Suite on HANA and S/4HANA sizing report) に記載されるようになっています。現在S/4HANAを御利用されているお客様でもサイジングレポートを使用することで現行のデータでスケールアウト環境を構築する場合は1ノードあたりどのくらいの大きさのHANAが必要かを判断することが出来ます。また、テーブルグループに関しての情報は”グルーピングレポート”(SAP Note 2447004 – Table Grouping Report for S/4HANA in scale-out systems)で取得する事ができます。

スケールアップとスケールアウトの選択

容量を増加する際にスケールアップとスケールアウト、どちらを選択するのが良いのかと聞かれることがあります。これは“現在は”スケールアップの方をお薦めします
理由は
・スケールアウトでのノード間の接続は高速ではあるもののシングルノード内のメモリのスピードには敵わない
・スケールアウトは複数のハードウェアによる構成。HANAデータベースとしては1つだが、ハードウェア的な管理としては複数台の管理となる。
が挙げられます。両方選択できる場合はスケールアップを選択し、スケールアップが上限に達した場合にスケールアウト(もしくはハードウェアリプレース)が考慮事項になると考えたほうがよいでしょう。
もちろん今後ハードウェアの進歩によりこの推奨は変わることもあります。

まとめ

これまではスケールアップの限界に達した場合はハードウェアのリプレースをお願いしていましたが、今後はスケールアウトも選択いただけるようになりました。日進月歩の世界ですので、実際に限界が近づいた際にスケールアウトとリプレースでどちらがコストや性能、運用、環境にマッチするかを考慮した上で御選択いただければと思います。

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