成長は続く ー SAP Cloud Platformの変遷を追ってみる

作成者:山澤 雅史 投稿日:2017年9月21日

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SAPのイベントや説明会などで SAP Cloud Platformの話を聞いていると,“Neo”とか“CF”といった言葉を最近聞くようになってきていますが、「いったい何のことだろう?」とか思ったりしていませんか? また、マルチクラウド対応とかも言われていますが、「どう関係するのだろう?」 と思ったりしていませんか?

今ではSAPのソリューションの拡張や新しいイノベーションのプラットフォームとして 切り離すことはできなくなってきている SAP Cloud Platformに関して、上記の疑問解消の手助けになるべく、その生い立ちを振り返ってみましょう。

以降の記載内容は全体的な変遷を示すことを目的としており、時期や名称などに正確な情報ではない箇所も含まれる可能性があることをご了承ください。

On-demand Platformの登場

最初に世間にお披露目されたのは 実は2011年。

2011年のSAP TechEdにてOn-demand Platform-NetWeaver Neo(この時点では名称は未確定とされていました) という呼称でいくつかのセッションで紹介されています。 また、同時期に一部顧客やパートナに対するベータプログラムを開始しています。この時点での主な機能としてはJavaの実行環境、データの永続化サービス、ドキュメントサービス、クラウドコネクタなどを提供しています。

NetWeaver Cloudの発表

2012年SAPの最大の年次イベントSAPPHIRE NOW - ここで当時のKeyNoteで使用されたのがこのスライドです。SAP NetWeaver Cloudが注力クラウドソリューションの上下に位置しPaaS, Integrationとして紹介されています。

この当時はSAPがクラウドに本気で舵をきるということでいくつかの発表を行っていた内容に”ふと”挟み込まれた印象でした。

Neo_adjust

2012年SAPPHIRE Now KeyNoteの一コマ

2012年のSAP TechEdのタイミングで初めてSAP NetWeaver Cloudという名前で公式に発表がありました。

蛇足ではありますが、この当時はまだ“NetWeaver“ブランドもSAPの技術ブランドとして健在で、 今後の技術動向を見据えたRoadmapではオンプレミス版とクラウド版のNetWeaverソリューションを並列にシームレスに連携としていました。

この時点でSAP NetWeaver Cloudは技術的にはオープンソースなどの技術を多々取り入れ構成されていたため、NetWeaverの各種ソリューション(コンポーネント)と並列にあっても技術的には異なっていました。

参考:http://news.sap.com/sap-netweaver-cloud-achieves-java-enterprise-edition-6-web-profile-compatibility/

さて、冒頭ででてきた”Neo”ですが、このNetWeaver Cloudの開発コードと言われています。2011年度のベータプログラムではこの呼称のままで、提供が行われていました。 その意味の通り“次世代の”Platformを目指してのネーミングだと思われます。 蛇足ですが、映画MA〇〇〇Xを思い出してしまうのは、自分だけでしょうか?

開発コードといわれる”Neo”ですが、CLI(コマンドラインインターフェース)を使用してSAP Cloud Platformを使用したことのある方は、これがそのままコマンドの名前になっていることに気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。

コックピットからのインターフェースでカバーしていない機能でも、こちらのNeoコマンドで対応しているものも多々あります。 詳しくはドキュメントをご参照ください。

SAP HANA Cloud Platformへ!

その後2013年第一四半期に、従来のSAP NetWeaver Cloudは HANA Cloud のApp Serviceなどとして、SAP HANA Cloud Platformの一部として取り込まれました。

DBaaS(データベースのクラウドサービス)として SAP HANAを活用できるということになり、HANA Cloud DB Serviceが一般に提供開始できたのもこの時期だと思います。名実ともにSAP HANA Cloud Platform が板についてきた時期です。 ちなみにこの当時はクラウドでSAP HANAのサービスを提供できていたのがAWSでの HANA Oneくらいでした。

SAP HANAが インメモリデータベースという位置づけからインメモリプラットフォームということで周辺機能を強化していく中でその機能がクラウドでも使用できる、さらにはSAP HANA Cloud として個別にサービスを追加していく中でPaaSとしての機能を強化し活用の幅を大いに広げ始めてきた時期とも重なります。

ただ、同じ頃にSAP HANA Enterprise Cloud(通称HEC)も発表されていることから、混同された方も多かったかもしれません。

Cloud Foundryの採用とSAP Cloud Platformへの改称

CloudFoundry_Neo

2014年の7月にSAPはCloud Foundry にコミットし、Foundationの設立に際してPlatinum Memberとして参画することを発表しました。同時に、将来のSAP HANA Cloud Platform(当時の名称)に Cloud Foundryを採用することを表明し、Roadmapにも示してきています。

2017年の2月にSAP HANA Cloud Platformは SAP Cloud Platformへと改称しました。これは SAPがPaaS(Platform As a Service)として提供しているのが、SAP HANAのインメモリー・プラットフォームとしての機能の提供のみではないことをより明確にするためです。

そして、2017年の5月のSAPPHIRE NOWでマルチクラウド対応SAP Cloud Platform として、Cloud Foundryをべースとした拡張を発表しました。 これが冒頭にでてきた“CF”を示しています。

Cloud Foundryが各種のインフラ上に展開可能な仕組みであるため、SAPは自社のデータセンタのみからのサービス提供ではなく、幾つかのクラウドプロバイダからもサービスを提供することでマルチクラウド対応としています。

現状と今後

従来のSAP Cloud PlatformにCloud Foundry環境が加わることで、開発言語選択の自由度、使用可能なデータベース種類の増加や高負荷トランザクションへの容易な対応など、そのソリューションの幅がさらに広がりました。開発や拡張のための機能追加や、各種サービスの追加はこれからも やむことなく行われていき、クラウドのプラットフォームとして、より強化していきます。

CP_OverView

SAP Cloud Platform 全体イメージ

こうして、大きなトピックだけを拾い上げて変遷をみてみてもSAP Cloud Platformが短期間に大きな拡張を遂げていることがわかります。 詳細な変更に関してもこちらの過去のRelease Noteから確認することが可能です。  今回の内容にご興味のあるかたは 是非こちらもご覧ください。

最後に、

以前のBlogで紹介したopenSAPのSAP Cloud Platform Essentialsのコースが上記の“CF”の情報も含めて更新された内容で、開催されています。(2017年9月6日時点)(今回は日本語字幕はないのですが)、是非最新情報の取得の意味も含め受講ご検討ください。

 

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