SAP Master Data Governanceでマスターデータ管理基盤を短期構築!


突然ですが、貴社では商品ごとの売上高を正しく把握できていますか?得意先別の売上高や仕入先別の仕入額についてはどうですか?さらに事業部門を跨って見た場合はどうでしょう?

ひとつの事業部門内で見た場合はできていても、複数の事業部門を横断して見た場合はできていないという方が多いのではないでしょうか?これには貴社のマスターデータが正しく管理されていないことが原因の可能性があります。

複数の事業部門を跨ってマスターデータを管理する場合、マスターデータ管理ソフトの導入が有効です。但し、マスターデータ管理ソフトを導入するとなると、大掛かりなプロジェクトになりがちです。データモデルを定義して、データの検証ロジックを開発して、申請・承認ワークフローを開発して、ユーザインターフェースを開発して、、、と。

既に貴社がSAPをご利用中で、SAPのマスターをベースとしてマスターデータを管理することを考えられている場合はご安心ください。SAP Master Data Governance(以下SAP MDG)を利用することができます。SAP MDGを使用すれば、短期間・低コストでマスターデータ管理の仕組みを構築できます。

SAP MDGを使用するとなぜ短期導入および低コスト化を実現できるのか?以下では、その秘密を紐解いていきます。


秘密その1 - 基盤がSAP S/4HANAと同じ

SAP MDGはSAP S/4HANA上のビジネスファンクションとして実装されており、有効化するだけでご利用いただくことが可能です。SAP MDGの技術基盤はSAPアプリケーションと同じSAP NetWeaver Application Serverですので、すでにSAPアプリケーションをご利用中のお客様においては、技術者の方が新しい知識を身に付ける必要なく、運用・管理・監視作業を行うことが可能なほか、サポート窓口を一本化できるというコストメリットもあります。また、SAP MDGは専用のサーバを立てて利用する方式以外に、SAP S/4HANAと同居して利用する方式も可能で、後者の場合はランドスケープをシンプル化でき、導入および運用コストを低減できます。

さらに、SAP MDGのベースとなるコンポーネント(SAP Business Workflow、Business Rules Framework、Floorplan Manager for Web Dynpro ABAP、ABAP ディクショナリなど)の多くはモデル駆動型で、コードフリーによる実装をサポートしており、実装サイクルを短縮化することが可能です。

SAP MDGのアーキテクチャ

SAP MDGのアーキテクチャ

 

秘密その2 - データモデル、UI、ワークフローを標準提供

SAP MDGは、SAP S/4HANAで提供されているマスターデータのデータモデル(会計、仕入先、得意先、および品目マスターデータ)を標準で提供しています。また、ユーザインターフェース(Web DynproおよびSAP Fiori)とワークフロー(SAP Business Workflow)についても雛形を提供しており、そのままお使いいただくことが可能です。もちろん、貴社の要件に合わせてこれらを拡張いただくことも設定ベースで容易に行うことができます。他社のソリューションのようにデータモデルをゼロベースで構築する必要がないため、開発工数を削減することができるわけです。

標準提供以外のマスタを管理したい場合はどうなの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、ご心配は無用です。SAP MDGはカスタムオブジェクトという独自のデータモデルを実装するためのフレームワークも用意しており、標準以外のマスタも一元的に管理することが可能です。このカスタムオブジェクトを使用して定義したデータモデルを元にユーザインターフェースを生成できるほか、ワークフローも雛形を利用することができるので、工数をかけずに貴社独自のマスタ管理の仕組みを構築することが可能です。

SAP MDGが提供するデータモデル

SAP MDGが提供するデータモデル

 

秘密その3 - データのチェック機能の開発が不要

SAP MDGにはマスターデータの入力チェックのための検証ロジックが予め組み込まれており、そのままお使いいただくことが可能です。また、SAP Business SuiteやSAP S/4HANAで貴社固有の検証ロジックを実装されている場合には、そのロジックをSAP MDGにそのまま適用することが可能なので、改めてロジックを開発する必要はありません。

また、SAP MDG上で独自の検証ロジックを構築したり、既存の検証ロジックを拡張する必要がある場合は、SAPのルールフレームワークであるBusiness Rules Framework(BRFplus)を利用できます。BRFplusを使用するとビジネスルールをビジネスロジックと切り離して管理することができ、ルールが変更された場合でも柔軟かつ迅速に対応することが可能になります。

また、SAP HANAの類似性検索機能を使用した高品質の重複検出や、住所データの検証機能も標準で提供しています。

SAP MDGのデータ品質保証

SAP MDGのデータ品質保証

どうでしょう?SAP MDGを利用することでマスターデータ管理基盤を短期間で構築できることがお分かりいただけたのではないでしょうか。当然ですが、短期導入のためにはプロジェクトの進め方も重要になります。是非こちらのブログもご覧ください。


それでは次にSAP MDGの主要な特徴について、いくつかご紹介します。

特徴その1 - 集中管理だけでなく統合シナリオにも対応

SAP MDGは、中央のシステムで集中的にマスターデータを登録・変更し、各システムへ配信を行う集中管理シナリオだけでなく、各システムでバラバラに管理されているマスターデータを中央のシステムにマージする統合シナリオの両方に単一製品で対応可能なマスターデータ管理ソリューションです。

集中シナリオと統合シナリオに対応

集中シナリオと統合シナリオに対応

 

集中管理シナリオ

SAP MDGの集中管理シナリオでは、マスターデータを一元的に管理・維持する仕組みを提供します。マスターデータは販売、購買、生産や経理など、複数部門のエキスパートが絡んで1つのレコードをくみ上げていく必要がありますが、SAP MDGの申請・承認ワークフローを使用してこれを実現できます。さらに、これら複数部門の人が、1つのレコードを同時に変更することも可能です。また、SAP MDGはマスターデータに対するすべての変更を記録しており、コンプライアンスと完全な監査証跡をサポートします。

仕掛中のマスターデータは承認されるまで、本番のマスターデータとは別のステージング領域と呼ばれる場所で管理され、承認後に本番のマスターデータに反映されます。その後、指定したタイミングで各システムに配信することが可能で、S/4HANAやSAP以外の企業システムに対して、一貫したマスターデータの複製を提供します。

SAP MDGの集中管理シナリオ

SAP MDGの集中管理シナリオ

 

統合シナリオ

SAP MDGの統合シナリオを集中管理シナリオと一緒に使用することで、マスターデータの透明性を一元的に管理しながら、マスターデータの分散管理が可能になります。統合シナリオでは、異なるソースからマスターデータを集約し、標準化し、重複を検出するための機能を提供しています。重複しているとみなされたレコード群(マッチグループ)のそれぞれについて、SAP MDGはマスターデータ属性の生存ルールを使用して重複レコードの中からベストレコードを算出します。これらのベストレコード(即ちゴールデンレコード)は、その後、分析やビジネスシナリオで使用することができます。

マスターデータの集約にはSAP HANAのSmart Data Integration機能を利用でき、各種ソースシステムから高速にSAP HANAにロードすることが可能です。また、データの標準化や重複検出もSAP HANAのSmart Data Quality機能をネイティブに利用できるため、データの移動が発生せず、高速かつ効率的なデータ統合プロセスを実現しています。

SAP MDGの統合シナリオ

SAP MDGの統合シナリオ

 

特徴その2 - SAP HANAとの密な連携

SAP MDGはNetWeaverがサポートする様々なデータベース上でご利用いただくことが可能ですが、SAP HANA上で実行することをお勧めします。SAP HANAと一緒に使用することで多大なメリットを享受することが可能です。例えばSAP HANAのカラムストア型の特性を生かした高速な属性ベースの検索や、マスターデータ管理プロセスに対する高速なHANAベース分析を利用できたり、SAP HANAの類似性検索機能を使用した高品質でパワフルな重複の検出が可能になります。さらに上記「特徴その3」で説明したように、SAP HANAのSmart Data Quality機能をネイティブに使用してデータの標準化、マッチングを行うことができるため、統合シナリオのスループットを最適化できます。

SAP MDGとSAP HANAを一緒に使用することによるメリット

SAP MDGとSAP HANAを一緒に使用することによるメリット

 

特徴その3 - データ品質の見える化と継続的改善

データの登録時や変更時は、常にSAP MDGがデータの内容を検証しますが、データの品質は1回だけチェックすればいいものではなく、継続的に監視して改善していくことが重要です。データの品質が設定した目標を満たせているかを日々監視し、必要な対応をとることが求められます。

SAPではそのためのツールとしてSAP Information Stewardを提供しており、SAP MDGに組み込んで利用いただくことが可能です。SAP Information Stewardを使用すると、①データの品質目標(閾値)を定義し、②データがビジネスルールに従っているかどうかをチェックする検証ルールを作成し、③作成した検証ルールを実際のデータに対して検証するチェックタスクを実行し、④算出されたスコアをスコアカードとして過去から現在までの傾向とともにビジュアルに表示することができますので、SAP MDGと一緒に利用することで、マスターデータの品質改善を効率的に実行することが可能になります。

SAP MDGとSAP Information Stewardによるデータ品質向上アプローチ

SAP MDGとSAP Information Stewardによるデータ品質向上アプローチ

 


SAP MDGで短期導入が可能な理由と主要な特徴について説明しました。今回ご紹介した以外にもSAP MDGにはマスターデータを効率的に管理するための機能を数多く実装しています。また、先日SAP S/4HANA 1709がリリースされましたが、これに伴ってSAP MDGも機能強化がされています。これらの機能については、引き続き本ブログでご紹介していきたいと思います。

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