ビジネスユーザーとITプロフェッショナルのブリッジとなる製品への進化 ~ SAP Lumira 2.0登場 !~

作成者:小野 美紀 投稿日:2017年9月25日

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SAPはビジネスユーザーのためのデータビジュアライゼーションツール「SAP Lumira」に多くの機能強化を加え、2017年8月16日に新しく「SAP Lumira 2.0」を公開しました。
2012年の製品リリース以降、はじめてのメジャーバージョンアップを迎えた SAP Lumira がどのように進化しているのか、本記事では製品の新たな全体像と新機能のハイライトをご紹介します。

 

BIアプリケーション開発ツール「SAP BusinessObjects Design Studio」との統合

SAP BusinessObjects Design Studioは、定型的なKPIダッシュボードや分析のためのインタラクティブなBIアプリケーションの開発に有効な、ITプロフェッショナル向けのデザインツールです。
チャートや表といったビジュアライゼーション部品だけでなく、ボタンやメニューといったコントロール部品を持ち、スクリプティングによる細やかな制御や緻密な画面レイアウト設定機能を備えています。

一方、従来バージョンのSAP Lumiraは、ビジネスユーザーがデータ探索やビジュアライゼーションをセルフサービスで行いやすいよう、視覚化・分析に機能を特化し、シンプルな操作性を特長としたデータディスカバリーツールです。
ビジネスユーザーは自らが作成したビジュアライゼーションのコレクションをストーリーボードに仕立て上げ、SAP BusinessObjects BIプラットフォームに公開し、分析から自身が得た気づきを他のユーザーに共有することができます。

しかしながら、それらのストーリーボードを洗練化し、エグゼクティブの閲覧に適したKPIダッシュボードへと発展させる作業を従来のSAP Lumiraで行うことは困難でした。
たとえば複数チャートをまたがったドリルダウンや複雑なフィルタ動作を実装したり、複数のストーリーボードの内容を1つのダッシュボードに集約したりといった作業はSAP BusinessObjects Design Studioを使用して行うことになりますが、従来のSAP LumiraとSAP BusinessObjects Design Studioのオブジェクトには互換性がなかったため、ビジネスユーザーが作成したアウトプットを直接再利用してダッシュボードを開発することができず、同様のコンテンツを一から作成し直さなければなりませんでした。

このような開発効率の問題を解消するために、SAP Lumira 2.0 ではSAP BusinessObjects Design Studioを従来のSAP Lumiraに統合して単一製品とし、ダッシュボード開発プロセスのシンプル化を目指しました。
SAP Lumira 2.0 ではデータディスカバリーツールとBIアプリケーション開発ツールが利用する基盤テクノロジーを共通化し、SAP Lumiraが持つインメモリデータエンジン内のデータや、グラフや表などのビジュアライゼーションを、ストーリーボードとKPIダッシュボードとの間で相互に利用できるようになりました。

この2つのツールの相互運用性は、オブジェクト再利用によるダッシュボードアプリケーションの開発効率の向上だけではなく、ビジネスの現場で意思決定を行うユーザーが持つ分析ニーズをダイレクトにダッシュボードに反映できるという効果ももたらします。

SAP Lumira 2.0 Interoperability

ビジネスユーザーとITプロフェッショナルのブリッジとなる製品への進化 ─── これがSAP Lumira 2.0 製品開発のテーマです。

 

SAP Lumira 2.0 のシステム全体像

単一の製品へと統合を行いながら、ビジネスユーザーとITプロフェッショナルという異なるニーズを持つ利用者に最適なUIを提供するため、SAP Lumira 2.0ではクライアントツールの集約は行わず、バージョン1.xを踏襲した以下の2タイプのクライアントツールを持ちます:

  • SAP Lumira, discovery edition – ビジネスユーザー向けのデータディスカバリークライアントツール、SAP Lumira Desktop 1.xの後継
  • SAP Lumira, designer edition – ITプロフェッショナル向けのBIアプリケーション開発ツール 、SAP BusinessObjects Design Studio 1.xクライアントの後継

データの閲覧や視覚化だけでなく、クエリ作成やデータ加工までをも含めた分析操作を行うパワーユーザーや、BIアプリケーションの開発を行うITユーザーは、これらのクライアントツールをPCにローカルインストールし、コンテンツの作成を行います。

両UIで作成したコンテンツをユーザー間で共有するためのプラットフォームにはSAP BusinessObjects BI Platformを使用します。クライアントツールからSAP BusinessObjects BI PlatformにアップロードされたLumiraドキュメントは、BIコンテンツのWebポータルシステムであるBIラウンチパッドをとおして閲覧ユーザーに共有されます。

SAP LumiraのサーバーコンポーネントであるSAP Lumira, server editionをアドオンとしてSAP BusinessObjects BI Platformにインストールすることにより、システム管理者はSAP BusinessObjects BIのその他のフロントエンドツールで作成されたコンテンツ同様に、ユーザー認証、アクセス権限、ユーザーアクティビティーの監査といったセキュリティに関する設定や、開発・テスト環境から本番環境へのコンテンツプロモーションといった管理タスクを統合BIプラットフォーム上で行うことができます。
また、SAP Lumiraドキュメントに特化した管理タスクとして、閲覧ユーザーが保存したブックマークの管理を行うメニューも提供します。

閲覧ユーザーはWebブラウザを使用してBIラウンチパッドにアクセスすることにより、PCにクライアントツールをローカルインストールすることなく、公開されたストーリーやダッシュボードアプリケーションの参照やフィルタ変更、ドリルダウンといった視点の変更、ビジュアライゼーションのパーソナライズとブックマーク保存を行うことができます。

Lumira 2.0 Components and system overview

各コンポーネントのシステム要件の詳細はProduct Availability Matrixの文書で確認することができます。

 

SAP Business Warehouse、SAP S/4HANAライブデータ参照とデータディスカバリー

SAP BusinessObjects Design StudioはSAP Business Warehouse(SAP BW)との親和性が高く、SAP BW ライブデータ参照が可能であることを製品リリース当初から特長としていました。
一方、従来の SAP Lumira では自身のインメモリデータエンジンにSAP BWデータをインポートしてオフライン参照する方式のみをサポートしていましたが、SAP BusinessObjects Design Studioとの統合により、SAP Lumira 2.0ではSAP BW ライブデータを使用したデータディスカバリーが可能になりました。

ライブデータ参照方式のサポートによって、ビジネスユーザーによるデータ探索やビジュアライゼーション作成の際に必要となる集計処理をSAP BWに依頼することができるようになり、特にSAP BW/4HANAのように、エンジンにSAP HANAを利用している構成ではパフォーマンス面での効果が期待できます。
同時に、これまでよりも多くのSAP BW技術要素をSAP Lumiraのデータディスカバリーツールから利用できるよう対応強化を行い、SAP BWとの親和性が向上しました。

SAP Lumira 2.0 BW live analysis

(画像クリックで拡大表示できます)

SAP Lumira 2.0 の データディスカバリーツールから SAP BWへの接続方法、SAP BW技術要素の使用に関する注意事項などの詳細は、製品ガイドを参照してください。使用可能なSAP BW技術要素の一覧については、KBA#186950の添付文書(Excel)を参照してください(2017年9月12日現在、編集中のため非公開)。

さらに、SAP S/4HANAについてもSAP BWと同様にライブデータ参照をサポートします。
SAP Lumira 2.0 クライアントからSAP S/4HANAが持つAnalytical Engineに対してTransient BExクエリを呼び出すことにより、SAP S/4HANAのCDS Viewにアクセスすることができます。

この新たなサポートによって、データ抽出のためのIT部門の操作を待つことなく、S/4HANAにあるオリジナルデータにいつでもアクセスすることができるようになるため、鮮度の高い情報に基づいた分析環境をビジネスユーザーに対して提供することが可能になります。

SAP S/4HANA Embedded Analyticsに含まれるサンプルCDS View ”C_SALESANALYTICSQRY_CDS” を例に、SAP Lumira 2.0のデータディスカバリーツールからCDS Viewデータにアクセスする方法をまとめた記事をSAP Communityに公開しています。記事は英文ですが、スクリーンショット付きで解りやすく説明していますので、ぜひ併せてご参照ください。

 


今回は SAP Lumira 2.0 の全体像と、大きな新機能の一つであるSAP BWとSAP S/4HANAライブデータ参照のサポートについてご紹介しました。

SAP Lumira 2.0 にはこの他にも多数の新機能があり、たとえば データディスカバリーツールの機能強化の一例として:

  • ユーザーエクスペリエンスの刷新
  • チャートタイプの集約とメニューのシンプル化
  • クロスタブでのドラッグ&ドロップ操作
  • フィルター適用範囲の設定、複数フィルターの組み合わせ
  • ドラッグ&ドロップによる入力コントロール作成
  • ディメンション値に基づくアラートの設定
  • キャンバスのアスペクト比指定
  • ストーリー、ページの複製
  • ビジュアライゼーションのコピー&ペーストによる再利用
  • ドキュメントファイルにデータを含めずに保存するオプション

といったものが挙げられます。
これらの新機能やバージョン1.xからのアップグレードに関する情報など、引き続き本ブログでご紹介していきます。

 

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