SAP製品と繋がるiOSアプリの開発を容易にするSAP Cloud Platform SDK for iOS


今やSaaS系のアプリケーションであれば、ブラウザ経由だけでなく、iOSやAndroid向けのモバイルアプリケーションが提供されている便利な時代です。SAPの製品ラインナップの中でもSAP Business ByDesignSAP Hybris Cloud for CustomerConcurなどのSaaSアプリケーションでモバイルアプリケーションが提供されています。

一方で、SAP ERPSAP S/4HANAなどのオンプレミスでも運用されることの多い基幹システムではどうでしょうか。基本的に、社内ネットワーク、つまりFirewallの内側に存在する基幹システムのデータを外部からアクセスするには、VPNなどセキュリティを担保するための仕組みを別途構築する必要があり、基幹データを利用したモバイルアプリケーションの開発は、少々ハードルが高いというのが実情かと思います。

上記問題以外にも、SAPではオンプレミス製品のSAP Mobile Platform (旧 SAP Unwired Platform)を利用することで、基幹システムと連携するネイティブモバイルアプリケーション開発が可能ですが、ハードウェア、ソフトウェアを含めた環境構築面で、あまり手軽な選択肢ではありませんでした。

こういった現状を変える新たなソリューションが、SAPがPaaSとして提供しているSAP Cloud Platform Mobile Serviceです。今回はこのMobile Serviceの概要に加え、iOSのネイティブアプリケーション開発を可能にするSAP Cloud Platform SDK for iOSについてご紹介いたします。

 

SAP Cloud Platform Mobile Service

SAP Cloud Platformで提供されている多くのサービスの一つに、モバイルアプリケーションの開発・運用やデバイス管理の機能を提供するMobile Serviceがあります。

この開発・運用の機能においては、iOSやAndroidのネイティブ開発や、ハイブリッド、ブラウザベースのアプリケーションなど、様々な開発手法があります。

Development Option

Development Option

そして、上記の様々な手法で開発するにあたり、バックエンドの基幹システムをデータソースとして連携するためのアーキテクチャの概略が下図になります。MobileService004ポイントはオンプレミス内に導入するCloud Connectorというソフトウェアです。これはインターネット上のSAP Cloud Platformとオンプレミス間を安全に通信させるために、暗号化されたトンネリングセッションを確立するエージェントです。また、その仕組み上オンプレミス内のFirewallの追加設定が不要なため、非常に容易に接続を実現することができます。(Cloud Connectorの詳細についてはこちらを参照ください)

バックエンドシステムとのデータ連携には、ODataというオープンなプロトコルを利用し、SAP Cloud Platform上に登録されたODataサービスを、モバイルアプリケーションがアクセスする形になります。また、バックエンドシステムに限らず、SAP Cloud Platformの様々なサービスを組み合わせて開発したアプリケーションやAPIも、ODataサービス化することで同様に利用が可能です。

このODataサービスを始めとしたSAP Cloud Platformの各種サービスとの連携や、プッシュ通知、オフライン機能などを含めた開発を実現するために、各種モバイルデバイス向けのSAP Cloud Platform SDKがMobile Service for development & operationsとして提供されています。

 

SAP Cloud Platform SDK for iOS

前置きが長くなりましたが、ここからがいよいよ本題です。ここまでお話ししたSAP Cloud Platform Mobile Serviceに、iOSのネイティブアプリケーション開発を可能にするSDKが、AppleとSAPの協業により2017年3月にリリースされました。これにより、バックエンドにあるSAPシステムなどの基幹データやプロセスを活用したiOSアプリケーションを、これまでよりも容易に開発することができるようになりました。

このSAP Cloud Platform SDK for iOSの特徴として下記の3点があります。

1. SAP Cloud Platformのサービスやバックエンドシステムとの容易な連携

最も大きな利点としては、前述の通りバックエンドシステムとの接続です。SAP Cloud Platformでは、Cloud Connectorを通してバックエンドシステムとセキュアに接続する環境が提供され、SAP Cloud Platform上に定義されたODataサービスを呼び出すためのSwift APIがこのSDKにより提供されます。また、バックエンドシステムのデータやプロセスとの連携だけでなく、SAP Cloud Platformで提供されるサービス群、例えばWorkflowサービスによる承認プロセスとの連携や、API Managementを活用した複数システムのサービスを組み合わせたマッシュアップアプリの開発などが可能になります。MobileService010

2. ネイティブiOSテクノロジーとFiori UIデザイン

開発環境としてはXcodeを利用しますので、開発者はネイティブのiOSフレームワークやTouch IDやジャイロセンサー、GPS、3D Touchなどのテクノロジーを活用して、最新のインターフェースやセンサー技術を利用したiOSアプリケーションの開発が可能です。

また、SAPではSAP S/4HANAを中心にユーザーインターフェースをSAP FioriというUIデザインに
統一を進めており、このSDK for iOSでもiOS向けの新しいFiori UIエレメントを提供しています。これにより、業務アプリケーションに適した様々なUIコンポーネントを組み合わせることで、ユーザーエクスペリエンスの高いアプリケーションの開発を効率良く進められます。MobileService008

3. SDK AssistantとSAP Fiori Menterアプリ

開発を更に効率良くするために、2つのツールが提供されています。

一つはSDK AssistantというMac用アプリケーションです。これはSAP Cloud Platformに定義されたODataサービスやMobile Serviceで提供される各機能を組み込んだ状態で、Xcode用のプロジェクトを生成するアシスタントツールです。

MobileService009

もう一つはSAP Fiori MenterというiPad用アプリケーションです。SAP FioriのUIコンポーネントのサンプルのプレビューや、それを実装するために必要なソースコードを表示することができるため、用途に適したUIのソースコードをApple製品のユニバーサルクリッップボード機能を使って、Mac側のXcodeにシームレスに適用するといった使い方もできます。MobileService011MobileService012

 

各種コンテンツ情報

以上、SAP Cloud Platform SDK for iOSの概要についてご紹介してきましたが、Mobile Serviceを含め、SAP Cloud Platformはトライアルアカウントが無償で提供されているため、今すぐお試し頂けます。また、オンラインビデオトレーニングのopenSAPでも、ショッピングアプリケーションの開発トレーニングが無償で提供されています。

ぜひ今回ご紹介したSAP Cloud Platform SDK for iOSをご自身の環境で試して頂き、バックエンドシステムと繋がるiOSアプリケーションの開発をご体験ください。

最後に、次の機会にはSAP Cloud Platform SDK for iOSの技術を利用した、コーディングレスのモバイルアプリケーション開発が可能な最新機能であるSAP Enterprise App Modelerについて、ご紹介したいと思います。

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