売れ筋商品を常にお客様のそばに-トラスコ中山株式会社:SAP HANA導入事例③

作成者:SAP編集部 投稿日:2012年10月22日

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前回まではこちら
100万アイテムを超える卸売業の膨大なトランザクションを支える情報基盤-トラスコ中山株式会社:SAP HANA導入事例①

SAP ERPとのリアルタイムなデータ連携を評価-トラスコ中山株式会社:SAP HANA導入事例②

在庫管理を適正化し、顧客満足度を向上

前回に引き続き、SAP HANAによってトラスコ中山様が新しく構築される業務システムと、その特長を見ていきたいと思います。

■在庫適正化システム

トラスコ中山様の在庫拠点は、階層構造になっています。まず中心的な拠点であり、なおかつもっともアイテム数が多い「コアセンタ-」、次いで地域ごとに置かれた「エリアセンター」、そして全国32か所の支店にもそれぞれ在庫が置かれています。しかし、いくら豊富に在庫があっても、肝心の売れ筋商品が「コアセンター」だけに置かれているのでは、せっかく注文を受けても納品まで無駄な日数がかかってしまいます。

「そこで売上や受発注データから売れ筋商品の情報をリアルタイムで抽出し、各拠点やエリアのどこに何を、どれくらいの数量で配置すればよいかを割り出し、もっともお客様に近い場所にもっとも売れる商品をおくことが重要になってくるのです」と、トラスコ中山株式会社 経営管理本部 情報システム部 部長 佐々木伸昌氏は強調します。

そうすることで売上を最大化するのはもちろん、売れ行きの動向を予測してすばやく補充し、売れる在庫を売れる場所に切らさない=機会損失を生じさせないというのが、この在庫適正化システムの大きなねらいです。

課題としては、各拠点在庫の引き当てと受発注データを連動させることで、自動的に在庫の適正化を実現する仕組みを作り上げられるかどうかというところだと、佐々木氏は押さえるべきポイントを指摘します。

「そうした自動化された一連のフローの中で、受発注データをもとに商品在庫の推移予測を計算し、その計算をもとにSAP HANAからSAP ERPにデータが流し込まれ、在庫配置の指示がキックされる……といったPDCAサイクルの円滑化を目指しています」

発注点の計算にしても、今までは単純に過去の売り上げ実績をかけ合わせた計算だったのを、さらに需要予測的な要素や、在庫のポートフォリオを明確に区分して、それに対してどのようなアクションを起こしたらよいのかと言ったレベルまでを、しっかり実現できるだけの作り込みを行っていくのが今回の目標だと佐々木氏は語ります。

ERPのデータ処理の負荷を軽減し、お客様の問い合わせにも迅速回答

■Web受注システム

価格と在庫に関してWebから照会があったときに、SAP ERP側に負荷をかけることなく回答を返す仕組みを構築するのが狙いです。SAP ERP側の最新情報をSLTを使って引き出し、ニア・リアルタイムで回答をWeb経由で返すといった流れを、自動的に実行できる仕組みです。

この結果、SAP ERP側の負荷は軽くなり、お客様への回答までのリードタイムが短縮されて顧客サービスの向上につながります。

佐々木氏はこの他にもモバイルの活用にふれ、「現在すでに営業担当者にiPadを配布してあるので、将来的にはこのモバイルを活用したSAP HANA利用の可能性も積極的に探っていきたい。具体的なプランは今後急ぎ詰めていくことになる」と付け加えます。

SAP HANAのパフォーマンスがもたらす新たな価値創造への期待

佐々木氏は今後の進捗と展望について、SAP HANAの導入によって飛躍的にデータ処理のパフォーマンスが向上し、ユーザーのストレスが解消されることで、新たな展開が見られるかもしれないと期待を語ります。

ERPのパフォーマンスが上がることで、業務のあちらこちらにある色々なストレスが解消されていくと確信しています。これまでは業務システムの連携が不十分で、結果的にお待たせしてしまっていたお客様の不満を解消することにもつながります。こうした改善の中から、まったく予測しなかった新たな動きや試みが可能になってくるでしょう」。

その時は、またSAP HANAを活用 して新しいサービスや価値を提供できるときだと語る佐々木氏。日本国内における先駆的な導入事例として、来年の本格的なサービスインが今から待たれるところです。

【参考リンク】
トラスコ中山株式会社
トラスコ中山は、モノづくりの現場で必要とされる機械工具、物流機器、環境安全用品をはじめとしたMRO商材(工場用副資材)の卸売および自社ブランド「TRUSCO」の企画・開発を事業としています。

株式会社野村総合研究所
野村総合研究所(NRI)は、日本初の民間シンクタンクである野村総合研究所と、システムインテグレーターの草分けである野村コンピュータシステムの合併によって生まれました。未来を洞察し、広く社会に提言する力、お客様の立場で考え、徹底して品質にこだわる姿勢など、それぞれの前身から受け継いだDNAを融合しながら、時代を先取りする企業活動を進めてきました。予測、分析、政策提言などによって問題発見から解決策を導くまでの「ナビゲーション」と、その解決策を業務改革やシステムの設計、構築、運用によって実現する「ソリューション」、この2 つを相乗的に機能させ、問題発見から問題解決までのトータルソリューションを提供しています。

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