SAP S/4HANA の最新版、1709リリースが提供開始


SAPの次世代ERP、SAP S/4HANAの最新版 1709リリースの提供が開始されました。(プレスリリースはこちら。)

SAP S/4HANAは、2015年にSAP HANAに最適化された次世代ERPとしてSAP S/4HANA 1511がリリースされ、昨年のSAP S/4HANA 1610を経て、データモデルやアーキテクチャーの見直しによるパフォーマンス向上、SAP Fioriによる直観的なユーザー・エクスペリエンスの実現、様々な業務別・業種別SAPソリューションのSAP S/4HANAへの統合によるシステム・ランドスケープのシンプル化を実現してきました。最新版のSAP S/4HANA 1709においてもこの方向性のもとでさらに機能拡張を図るとともに、最新の技術の取り込みも行われています。

今回はこの最新リリースのハイライトをご紹介します。

SAP S/4HANA 1709の主要なイノベーション

今回のリリースの特徴は大きく以下の3点になります。

  • ユーザー・エクスペリエンスの革新と機械学習の取り込み
  • 機能のさらなる拡張・高度化
  • 業務別・業種別機能のさらなる統合

ユーザー・エクスペリエンスの革新と機械学習の取り込み

SAP FioriはSAP S/4HANAのユーザビリティを高めた新しいUIとして、ユーザーが日々の業務で必要な気付きを得て迅速にアクションできるように設計されています。今回のリリースでも各種の業務領域で新たなSAP Fioriアプリケーションが多数リリースされています。SAP Fiori概要ページという、ユーザが日々の業務で必要とする分析を一画面に集めて業務の効率化を支援する機能が、これまでの購買、販売領域だけでなく、プロジェクト管理、在庫管理、財務取引管理の領域でも提供されています。下図は販売担当者向けの概要ページの例ですが、自分が担当する販売関連情報に簡単にアクセスすることができるようになっています。

SalesOverviewPage

販売担当者向けの概要ページの例

また、近年AIが非常に注目を集めていますが、その基礎となる技術である機械学習にSAPは積極的に取り組んでおり、SAP Leonardo Machine Learningとして様々な技術開発、アプリケーションの開発を強化しております。このSAP Leonardo Machine Learningの能力を活用したアプリケーションとして今回リリースされたのがSAP Cash Applicationです。過去の請求・入金消込の履歴データを機械学習エンジンに取り込むことで照合基準を学習し、自動消込や消込提案を行います。

さらに、この機械学習の能力をSAP Fioriに取り込んだ会話型デジタルアシスタントとしてSAP CoPilotが来年SAP S/4HANA 1709向けに提供される予定です。(SAP CoPilotはこちらのブログでも紹介されています。)

機能のさらなる拡張・高度化

製造領域では需要主導型MRPという新しい機能が提供されます。需要主導型MRPというのはDemand Driven Institue(https://www.demanddriveninstitute.com/)が提唱する新しいMRP方式で、需要変動の激しい製品の製造において欠品・余剰在庫のリスクを避けるため、中長期のフォーキャストに基づく手配ではなく、短期の実需要に基づいてキーパーツの在庫レベルや補充量を自動で調整することで在庫の過不足を防ぐ考え方です。SAP S/4HANA 1709ではこの需要主導型MRPに対応するための一連の機能を提供しています。

また、仕様選定のためのバリアント・コンフィグレーション機能にAdvanced Variant Configurationという高機能版が新たに提供されます。この新機能では、SAP HANAに最適化したコンフィグレーションエンジンを新開発し、SAP HANAの処理能力を活かした高パフォーマンスを実現するとともに、シミュレーション環境を新たに提供し、選定された仕様情報を分析に利用することが容易になっています。

会計領域では、拡張コンプライアンス・レポーティングという新機能により、各国の法定レポートを作成・出力・監視・監査するための共通フレームワークが提供されます。

業務別・業種別機能のさらなる統合

これまで別ソリューションだった機能をSAP S/4HANAのコア機能に統合することも引き続き行われています。物流領域で拡張倉庫管理(SAP Extended Warehouse Management)が昨年の1610リリースでコア機能に統合されましたが、今回の1709リリースでは輸送管理(SAP Transportation Management)の機能が統合されました。これにより、販売・購買・生産から倉庫・輸送管理までのエンド・ツー・エンドのプロセスが単一のSAP S/4HANA環境の中で密接に統合されます。

また、会計領域では、これまで拡張コンポーネントとして提供されていた決算コックピットがコア機能に統合され、新たにいくつかのFiori UIも提供されます。

業種別機能もこれまで組立製造業・素材業界、石油・ガス業界、小売業界等様々な業界向け機能がコア機能に統合されてきましたが、今回の1709リリースでは新たにファッション卸売業界向け機能が統合されました。将来的にはファッション製造に向けた機能も統合され、製造小売(SPA)業態にSAP S/4HANAを展開していくことも期待できます。

今回、SAP S/4HANA 1709リリースの概要をご紹介してきました。今後のブログでも新機能についてお伝えしていく予定です。

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