モバイルアプリ特集①:SAP ERPとの連携で会計業務を効率化するSAPのモバイルアプリケーション
作成者:井口 和弘 投稿日:2012年10月25日
以前このブログでもご紹介した通り、SAPでは、エンタープライズに特化したモバイルアプリを、専用のアプリケーションストア経由で提供しています。2012年9月時点で、すでに80本以上のSAPアプリが登録済みで、そのうち33本は日本語化されています。そこで今回から複数回に分けて、SAPが提供する代表的なアプリとその用途を紹介します。
第1回は、
・ 取引先の財務状況を把握してリスクをコントロールするアプリ「SAP Customer Financial Fact Sheet」
・ 経費精算処理を効率化するアプリの「SAP Travel Receipt Capture」と「SAP Travel Expense Approval」
をご紹介します。
取引先の財務状況をモバイル端末から把握し未回収売掛金のリスクをヘッジ
企業間取引において、取引先の財務状況を正確に把握することが重要であることは言うまでもありません。昨今の厳しい経済環境下では、取引先が抱える経営リスクを早期に発見し、売掛金を早期に回収することが必要です。
こうした要望に応えるツールがSAP Customer Financial Fact Sheetです。支払い延滞情報や未処理の請求書、支払期日を超過した請求書などをiPhoneやiPadからリアルタイムにチェックし、必要な対策を素早く講じることができます。
例えば、読者のみなさんが自社製品を納入する得意先を何十社、何百社と抱えるメーカーの営業マネージャーだとしましょう。健全な取引を維持するためには、売掛金の未払の有無、未払期間、督促請求の状況などを正確に把握しなければなりません。状況によっては与信限度を引き下げたり、取引自体を見直したりするなどの対処も必要です。
これまでは、営業マネージャーが自ら社内の経理担当者に問い合わせたり、オフィスのPCからSAP ERPにログインして、財務状況を確認するのが一般的でした。しかし、他人任せの作業だけでは、手間と時間がかかるうえに、自分が欲しい情報をすべて得られるとは限りません。ところがSAP Customer Financial Fact Sheetを利用すれば、外出先でもオフィス内でも、あなた自身のモバイル端末からSAP ERPをチェックし、取引先の財務状況をすべて把握することができます。
まずアプリを起動すると、画面上にすべての取引先を一覧表示します。特に、期日超過など要注意項目がある取引先には、エクスクラメーションマーク(!)が付くため、チェック漏れの心配もありません。
一覧を見ながら自分が担当する取引先や、要注意事項の取引先をタップすると、支払期日の超過日数から、未払の金額、クレーム請求書の送付状況、与信限度、リスククラス、売上高の推移まで、取引先の財務に関する情報がすべてわかります。さらにドリルダウンしていくと、オリジナル請求書や督促状などを呼び出し、得意先に電子メールで送信することも可能です。iPadなら、メモ機能を利用して、経理部門などとの情報交換もできるので、オフィスに戻って改めて状況を報告したり、書類の発行を依頼したりする手間を省くこともできます。
SAP Customer Financial Fact Sheet Mobile Appは、営業担当者だけでなく、経理担当者向けの用途にも最適です。与信の観点からリスクの高い取引先を抽出し、営業担当者に取引量のセーブを要請したり、与信限度額を引き下げたりするなどして、売掛金の未回収リスクを低減することもできます。
外勤スタッフの出張後の経費申請を効率化
営業スタッフや、サービスメンテナンスのスタッフを多く抱える企業では、経費精算の処理業務に膨大な労力が割かれています。多くの場合、外勤スタッフがオフィスに戻り、まとめて経費処理を申請するのが一般的でしょう。しかし、出張回数が多かったり、長期に渡ったりすると、処理件数は肥大化し、申請者にかかる負担も少なくありません。
こうした外勤スタッフの経費精算業務の省力化に応えてくれるのが、外出先から手軽に申請処理ができるSAP Travel Receipt Captureです。
送信した申請データは即座に本社に送られ、マネージャーなどによって承認された後、SAP ERPに自動登録されます。外勤スタッフは、オフィスに戻ってから経費処理に手間を割くことなく、見積書や報告書の作成など本来の業務に専念することができます。
アプリには、写真撮影機能と音声録音機能が付属しているので、領収書を撮影し、画像ファイルとして残しておけば、万一領収書を紛失した際にも安心です。また、音声録音機能を使って経費の使用用途をメモしておけば、後からでもすぐに思い出すことができます。
いつでもどこでも経費申請の承認業務が可能
ここまでは経費を申請する外勤スタッフにスポットを当てましたが、経費申請が大量に発生する企業では、承認業務の効率化も欠かせません。マネージャーの承認作業が滞ると、会計処理に支障が出るうえに、社員への精算も遅れてしまいます。そこで、SAPではマネージャー向けの承認アプリとしてSAP Travel Expense Approvalを用意しています。
アプリを起動すると、承認待ちの申請レポートを一覧表示します。それぞれの項目をタップすると、経費の詳細を表示するので、承認する場合は「承認」をタップし、問題がある場合には「払い戻し拒否」をタップするだけです。承認した経費申請データは即座にSAP ERPに送られ、払い戻しを拒否した場合は申請者にフィードバックされます。
申請の可否を即座に行うために、アプリには「接待費の上限」「食事控除の上限」などのポリシーを設定することができ、ポリシー違反の申請には自動的にエクスクラメーションマーク(!)が付いてきます。マネージャーは申請内容を判断し、却下する場合には、コメント付きで申請者にバックすることができます。
以上のように、第1回の今回はSAP ERPと連動する会計系のモバイルアプリを解説しました。次回以降も、他の分野の注目アプリを紹介していきたいと思います。
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