クラウドERPとBIの連携効果は? – 経営課題の解決は可視化から
作成者:SAP編集部 投稿日:2017年11月10日
「ビッグデータ」「IoT」などの業務現場のデータ活用が注目されています。これらのデータ活用は、IoT時代のものづくりに欠かせないものです。ただ、こうした現場由来のデータは業務現場の設備やシステムから発生していることも多く、情報システム部門の管轄ではないということも多いのではないでしょうか。経営の「見える化」の推進に向けた、IoT時代のクラウドERPとBI(ビジネスインテリジェンス)の連携を考えていきましょう。
なぜ現場の「見える化」が必要なのか
BIとは、現場でのデータ活用を意味します。BIツールを導入し、製造現場にかかわるさまざまなデータを可視化(見える化)することで、これまでベテランの勘に頼っていた生産管理業務も、担当者のスキルに依存することなく効率的に行えるようになります。今後、日本の少子高齢化で労働人口が減っていくなか、属人的なスキルに頼ることなく、業務を均一化していくことは、ものづくり現場の大きな課題です。さらに昨今では、ものづくりのグローバル化により、生産拠点が海外数カ国にまたがっていることも増えています。BIツールを導入して生産管理や販売管理を均一化することで、グローバル対応の実現にもつながります。
また、モバイル端末とBIを組み合わせることで、リアルタイムでの生産管理も可能になります。例えば、生産の能率の向上や不良率の削減、非生産時間の設定などを実施することで、リアルタイムでの業務改善がしやすくなり、意思決定スピードを速めることが可能です。意思決定スピードの高速化は、グローバル時代の必勝法といえるでしょう。
ERPとBIの連携でなにができる?
IoT時代の幕開けとともに、製造現場で蓄積されるさまざまなデータ活用への期待が高まっていますが、実際のところ、うまく活用できているという事例はまだまだ少ないようです。それというのも、これまでERPなどの基幹システムやPOSなどの販売管理システムは、主に社内の情報システム部門が構築し、現場に提供していました。しかし、「ビッグデータ」や「IoT」などに利用される製造データは、現場の設備やシステムから発生していることも多く、情報システム部門の管轄外とされているケースも見られます。そうした場合、システム操作に不慣れな現場担当者が、苦心の末なんとかBIを使いこなしているということも少なくありません。これでは、せっかく導入したBIツールも宝の持ち腐れになってしまいます。そこで、意識されているのがERPとBIの連携です。
ERPの基本的な役割は会計システムを中心として、生産管理、販売管理、人事システムなどから得たデータの蓄積です。企業運営の頭脳、もしくは心臓部ともいえます。
ERPシステムとBIを連携させ、ERPで蓄積された大量のデータをBIで可視化することで、データをさまざまな角度から分析することが可能になります。なかでも、昨今主流となり始めているオンライン上でデータ共有できるクラウドERPなら、意思決定に必要な情報に世界のどこからでもアクセスできます。その結果、製品のリードタイム短縮や、生産調整が容易となり、製造コストの低下が実現できるのです。
導入事例の紹介
SAPのBIツールは、オンプレミスだけでなくクラウド上からも利用可能です。IoT時代の経営に必須のツールだといえるでしょう。SAPのBI活用事例として、MANN+HUMMEL社の取り組みを紹介します。
SAPと同じくドイツを本拠とするMANN+HUMMEL社は、濾過(ろか)技術では世界をリードする企業として知られています。主な製品は、自動車の空気清浄装置やフィルターです。同社は世界60カ所の工場で16種類の空気清浄装置を製造しています。
同社では、システム不具合が出た場合、個別にIT部門へ問い合わせし、対応していました。しかし、世界60カ所からの対応を引き受けるのは容易ではありません。各拠点のIT部門では、生産の効率化や高品質化に向けて、統合的な可視化システムの構築が求められていました。
MANN+HUMMEL社は、SAPのERP、ビジネスウェアハウス、サプライチェーンマネジメント・ソリューションを導入したことで、販売部門から管理部門まで一貫した管理体制の構築に成功。さらに、BIツールの導入によって、フロントエンドでのマーケティング戦略が立てやすくなったといいます。
MANN+HUMMEL社の担当者は、「SAPのBIツールはシンプルながら効果的だった」とコメントしており、BI導入は成功裏に完了しました。
BI導入でデータを現場レベルでも効率活用
ビジネスのグローバリゼーションや競争激化のなかで、経営情報の可視化は必須です。ERPで蓄積した経営情報を「見える化」し効率的に活用するには、情報システムの支援に加えて、現場レベルで簡単に扱えるBIツールの活用が効果的といえます。SAPのBIソリューションなら、ユーザーフレンドリーなデータビジュアル化ツールを用いて、意思決定に必要な情報にセルフサービス方式で簡単にアクセスできます。
IoT時代のクラウドERPとBIの連携で、改善のPDCAを高速に回し、攻めの経営を目指しましょう。