SAP S/4HANA 小売業向けの垂直統合ソリューション

作成者:吉野 誓一 投稿日:2017年12月8日

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ブログ“SAP S/4HANA Retail の最新情報”で紹介しましたようにSAP S/4HANA 1610において、小売業向けの機能がSAP S/4HANAのコアに統合されました。但し、SAP S/4HANA 1610ではSAP Fashion Management Solution(以降 FMS)の機能は統合されなかったので、ファッションアパレルや製造小売業様の一般的な要件である実在庫と将来在庫を得意先や店舗からの受注伝票にシステムが自動で割当てることが出来ませんでした。最新のリリースSAP S/4HANA 1709に於いてFMSの機能の一部がSAP S/4HANA for fashion and vertical business(以降 SAP S/4HANA Fashion)に取り込まれました。これによりその制約がなくなり、店舗と卸売などの複数チャネルを仕入から販売までをシームレスに扱い、グローバルなリアルタイムソリューションとして自社ブランドを持つような小売業様の業務を強力にサポートします。今回のブログでは、その新しく追加されましたSAP S/4HANA Fashionのハイライトをご紹介します。

SAP S/4HANA Fashion 1709 イノベーションハイライト

今回のSAP S/4HANA Fashion 1709リリースでは、今までの小売の機能に加えて複数チャネルをシームレスに扱えるようにする為、コアの見直し及び機能が追加されました。主な内容は以下の通りです。

  1. ファッション卸の有効化
  2. 需給セグメンテーション
  3. 受注配分実行(ARun)

1. ファッション卸の有効化

SAP S/4HANA Fashionは、マルチチャネルの垂直統合ソリューションです。1つのバックエンドシステムで卸売および小売プロセスを統合します。SAP S/4HANA Fashionでは以下の機能が追加もしくは拡張されています。
これらの機能は、SAP S/4HANA のコア機能をベースに機能追加されています。多くの機能が修正されているように見えますが、これらは主に需給セグメンテーションをサポートする為に、機能拡張されています。
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2. 需給セグメンテーション

需給セグメンテーションの機能を有効にする事により、論理的に在庫を分けて管理することが可能になります。例えば、ECと店舗を持たれている小売業様に於いて、配送センターにある在庫を、EC用と店舗用に論理的に分けて簡単に管理することが出来ます。また、ファッションアパレルなどでよく見かける商品の品質や原産国などの違いによって在庫を分けて管理したいというご要望にも、商品コードを分けずに、在庫を分けて管理することが可能です。このように、論理的なものと物理的なものに起因するものがありますが、システムでは特に区別せずに管理します。
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また、一つの商品に対して複数のセグメンテーションを定義することができます。例えば、販売チャネルと生産国のセグメンテーションを同じ商品に対して両方のセグメンテーションを定義することができます。
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3. 受注配分実行(ARun)

アパレル及び製造小売業様の一般的な要件として、実在庫だけではなく将来の在庫に対して割当てを行うことがあります。SAP S/4HANAの標準でも入荷予定までを考慮した合計数量の確認という意味での引当は可能でしたが、受注に対して入荷予定や個別の在庫を引き当てて特定の受注用に確保することはできませんでした。その為、どうしても手作業による割当て作業が発生していました。
SAP S/4HANA Fashionで提供される受注配分実行(以降ARun)では、あらかじめ定義した割当ルールに基づいて店舗や得意先の受注伝票に対して入荷予定を含む在庫を自動で割当を行うことが出来ます。これによりユーザーの負荷を軽減することが出来ます。また、システムで自動で割当てた結果を必要に応じてマニュアルで修正することも可能です。
システムで自動に割当てることにより、実在庫だけではなく将来の在庫を加味して需給のバランスをとりながら、在庫数量と在庫日数の削減に貢献します。
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今回はSAP S/4HANA Fashion 1709でリリースされた代表的なものをご紹介させていただきました。イベントやポータルサイト等を通じて継続的に情報発信していく予定です。

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