SAP S/4HANAの拡張機能開発を強力に支援するSAP S/4HANA Cloud SDK


SAP S/4HANA Cloud SDK はSAP S/4HANA(on-premiseやCloud)の拡張アプリケーションをSAP Cloud Platform上で開発する際に利用可能なライブラリやツール、サンプルプログラムのセットです。このSDKを使用することで、拡張アプリケーションの開発者は効率的な開発や高品質のアプリケーションの開発が可能になります。

今回は9月に開催されたSAP TechEdで一般提供開始の発表がされた、このSAP S/4HANA Cloud SDKをご紹介します。

SAP S/4HANA Cloud SDK概要及び特徴

SAP S/4HANA Cloud SDKは、SAP Cloud Platform SDKおよびSAP Cloud PlatformのFoundationサービスをベースとし、その上にSAP S/4HANA拡張アプリケーションの構築から展開にいたるライフサイクル全体にわたる機能群を追加したものです。

overview

図1 S/4HANA SDK ダイヤグラム

SAP S/4HANA Cloud SDKの特徴としては以下のような点が挙げられます。

  •  仮想データモデル

Javaベースの開発環境用のSAP S/4HANA仮想データモデルおよびAPIへのネイティブアクセスを提供します。

SAP S/4HANAシステムに格納されたデータは、本質的に複雑に構成されているため、直に照会することは困難です。SAP S/4HANA Cloud SDKは、この複雑さを抽象化し、意味的に使いやすいデータを提供することを目的とした仮想データモデル(VDM)を導入しています。

Javadoc

図2 SAP S/4HANA Cloud SDK Javadoc

  • SAP Cloud Platformの抽象化

SAP Cloud Platformの抽象化により、ローカルランタイムやSAP Cloud Platform Neo、SAP Cloud Platform Cloud Foundryなどのさまざまな環境を意識することなくアプリケーションを簡単に開発およびテストできます。

クラウドアプリケーションを効率的に構築するための課題の一つに、複雑な構成手順を踏まずに、各ソフトウェアをローカルで迅速にテストして実行できることがあります。開発者がソフトウェアをローカルに構築してテストできるようにすることで、開発中の小さな変更のたびにアプリケーションをクラウドにプッシュするための時間を要する「開発 – 展開テスト」サイクルの必要性が軽減されます。

  • MavenのarchetypeによるProjectのテンプレート

Maven archetypeなどの既製のプロジェクトテンプレートを使用することで、新しいアプリケーションやプロジェクトの素早い立ち上げが可能になり、SAP S/4HANA拡張機能を迅速に作成することができます。

Maven_central_repo

図3 Maven Central – SAP S/4HANA SDK archetype

  • 継続的インテグレーション(CI)および継続的な配信(CD)パイプライン

SAP S/4HANA Cloud SDKを使用すると、ソフトウェアエンジニアリングのベストプラクティスの継続的インテグレーション(CI)および継続的な配信(CD)に従って、短いサイクルでアプリケーションを開発およびリリースすることが可能になります。

これを実現するために、以下を提供します。

  • Docker Hub経由で利用可能な事前設定されたJenkins CIサーバ。
  • SAP S/4HANA Cloud SDK archetypeの構造に準拠したアプリケーションの構築、テスト、品質チェック、および展開のためのSAP S/4HANA Cloud SDK固有のCIおよびCDパイプラインとライブラリ。

CI_CD_Pipline

図4 SAP S/4HANA Cloud SDK パイプライン

以上SAP S/4HANA Cloud SDKの特徴の一部を紹介しました。

SAP S/4HANA Cloud SDKの使用

ここからは、簡単に使用開始の方法について確認してみます。

なお以下では、統合開発環境(Integrated Development Environment : IDE)ツールとしてEclipseを使用した例をイメージとして載せております。他のツールをご利用の方は、自身の環境に合わせ適宜読みかえていただければと思います。

 新規MavenのProjectを作成

FileメニュからMaven Projectの作成を選択し、表示されるarchetypeの選択をします。この際にfilterとして “SAP S4HANA”で絞込をすることで、下図のような一覧が確認できます。ここで作成を行う環境を選択し、Projectを生成します。

4Maven_Project

図5 Marven archetypeの選択

Maven Centralの設定などがされていない場合、Preferenceで必要に応じてカタログの設定をしてください。

3Maven_Project

Projectに必要なパラメータの設定を行うと、提供されるProjectテンプレートにより必要なFileやディレクトリ階層が生成されます。

6-1Maven_Project

図7 テンプレートにより構成されるProjectイメージ

SAP Cloud Platformへ展開

サーバのAdd&RemoveメニュからSAP Cloud Platformへ展開(push)を行います。

アプリケーションの実行に必要な環境変数や、メモリのサイズなどはこの時点でも変更が可能ですし、展開後に変更することも可能です。設定情報はManifest.yamlファイルに記述することも可能です。

11set CF_SERVER

図8 アプリケーション環境変数などの調整

展開が成功すると、MapされたURLからアプリケーションの実行が可能になります。

最後に

今回はSAP S/4HANA Cloud SDKの特徴の紹介と実際にSAP S/4HANA Cloud SDKが提供するarchetypeの読み込みによる、Projectテンプレートの生成とCloud Foundry環境への展開までを簡単に説明しました。

この内容を含むより詳細なSAP S/4HANA Cloud SDKのTutorialがこちらに用意されていますので、ライブラリの活用詳細などに関して興味のある方、開発を行われる方は是非そちらをお試しください。

なお、本ブログで使用しているSAP Cloud Platformの環境に関してはこちらのBlogを参考に環境をご準備ください。また、EclipseへのCloud Foundry Pluginの設定およびサーバ設定はこちらを参照ください。

ご質問はチャットWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

●お問い合わせ先
チャットで質問する
Web問い合わせフォーム
電話: 0120-554-881(受付時間:平日 9:00~18:00)