現状分析から「次に何をするのか?」の洞察に広がる データアナリティクスの最前線


IoTやAI、機械学習といった技術革新を追い風に、データ分析の用途や幅が拡がりつつあります。2017年11月に東京・半蔵門で開催されたSAP Analytics Summitでは、SAP APJ & GCのバイスプレジデント/チーフエバンジェリストとしてAnalyticsとLeonardoを担当するシャイレンドラ・クマールが登壇し、「Making Money Out of Data ~デジタルエコノミー時代におけるアナリティクス戦略~」と題して講演。アナリティクス=データ分析が、今後のビジネス成長のカギとなることを示唆しました。

変化の時代を生き抜く想像力を支える重要なツール

DSC_0212例えば、自動運転車は2007年には笑い話でしたが、2013年には現実になっていました。たった6年で世界が変わるような時代には、アイデアを出すことが何よりも重要です。そこで、数値情報にとどまらずにアナリティクスを活用することが、アイデアを現実化するためのクリエイティビティ=想像力を働かせるのを助ける力となります。

例えば商品販売では、売上や顧客動向の分析結果をもとに、より適正な価格を割り出すことができます。しかしシャイレンドラは、結果を示すだけではなく、その理由や原因を解明することがより大切だと強調します。ビジネスに何らかの課題や問題が起こった場合でも、その理由さえ分かれば対策や予防が十分に可能になるからです。

さまざまなビジネスで活用されるアナリティクス

アナリティクスの活用によってビジネスの成果が表れた好例として、シャイレンドラはアメリカの自動車保険会社の活用を挙げました。自動車事故が起きた場合、従来は当事者が保険会社に電話をかけることから始め、調査員の派遣、保険資料の作成、修理依頼と、解決までに何週間もかかるのが一般的でした。しかし今では、事故が起きたら現場で写真を撮って保険会社のWebサイトにアップすれば、すぐにディープラーニング(深層学習)を使って写真をもとにダメージ評価と修理の見積もりが自動で行われ、保険適用に向けたワークフローが開始されます。GPS情報をもとに、現場に救援を呼ぶことも可能です。

アメリカの保険会社ではすでにこのプロセスが実用化されており、1,000万ドル以上のコストが削減されています。

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その他に、離職率を下げるための取り組みなども進んでいます。あるアメリカの大手企業では、社内データやソーシャルデータ、eメールデータなどをもとに予測モデルを構築し、1年以内に辞めてしまう社員のプロファイルを特定する「辞職スコア」を作成。その結果、何と「猫を飼っている社員はすぐにやめてしまう可能性が高い」ことが判明したとシャイレンドラは明かします。「まさかと思うでしょうが、採用面接時に猫を飼っているかどうか確認することで、退職率を20%低下することができたのです」

「今あることの分析」から「この先に向けた洞察」へ

AS_0102アナリティクス自体は新しい手法ではなく、以前から「さまざまなデータから実用的な洞察力と成果を引き出すために、量的な方法を使用するプロセス」として定義づけられてきました。では、かつてのデータ分析と現代のアナリティクスは、一体何が異なっているのでしょうか。

変わった点は、企業側から問いかける内容です。先月との売上額の比較など、ある事象や状況から法則性や事実を見いだすのにとどまらず、次がどうなるかということへの洞察や指針が強く求められるようになっています。アナリティクスに求められるのは、もはや現状を改善するための「ベストプラクティス」ではなく、「ネクストプラクティス=次に何をするのか?」ということになります。

また、テクノロジーの急激な進化も追い風となっています。ハードウェアのスペック向上と価格の低下、ソーシャルメディアやデータベースの進歩によって、分析のデータソースもますます多様化しています。ビジネス戦略に貢献するアナリティクスを実現する上で、さまざまな側面から環境が整いつつあると言えます。

ゴール設定から始めて成果を獲得

企業が新時代のアナリティクスを事業戦略に取り込んでいくためのポイントとして、シャイレンドラは「予測分析と洞察への移行」を挙げます。これまでのようにデータ分析に大きな労力をさいていてはビジネスの変化に間に合わないため、デジタルツールによって分析作業を自動化し、洞察の部分により大きな比重を置いていかなくてはなりません。高度な分析に基づいて得られた予測や決定を、一目でわかるように可視化して共有・実践する、スピード感にあふれた組織に変わっていく必要があります。

シャイレンドラは、アナリティクスのもっとも重要な成功のポイントを「ゴール設定から始めること」だと強調します。自分たちが達成したい目標を明確にしないまま、やみくもにデータを集めても意味がありません。

「行うべきことは、(1)チームを集めて成果(ゴール)を明確にする、(2)分析手法を明確にする、(3)必要かつ精度の高い計画を立てる、という3つの準備です。まずデータ集めに走るのではなく、獲得したい成果から始めることが重要だということを覚えておいてください」とシャイレンドラは語り、基調講演を締めくくりました。

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