変化の激しいレアアース市場での利益確保に データ分析基盤を活用した損益管理を実施


製造業における経営課題の1つに、ビジネスの成長を確実に利益の拡大に結びつけることが挙げられます。第一稀元素化学工業株式会社では、レアアース市場の激しい変化に柔軟に対応すべく、SAP BusinessObjects BIとSAP Business Planning and Consolidationを活用。精度の高い損益管理を実現しています。

レアアースショックを機に損益管理を強化

DKK_Hagiwara第一稀元素化学工業は、世界的に知られる高機能ジルコニウム製品のトップメーカーであり、自動車排ガス触媒では世界シェアの4割強を占めます。他にもスマートフォンやPC の重要部品に各分野の有力メーカーと共同開発した製品を多数提供しており、長年の経験とノウハウは他社の追随を許しません。

同社が損益管理を強化したきっかけは、激しく変化するレアアース市場で利益を確保していく上でのチャレンジでした。仕入れ価格の変動が激しく、乱高下も珍しくないレアアースは、値動きを見誤ると大変な痛手を負う可能性があります。2010年に中国が大幅な輸出削減を発表した「レアアースショック」によって買いが殺到する中でも、同社は業界への供給責任から価格高騰中でも仕入れを続けた結果、原材料費が跳ね上がり、過去最高の売上にも関わらず大赤字になってしまったことを、総務部 情報システム統括の萩原成紀氏は明かします。

「社員も毎日総出で働いているのに利益が出ない。これではいけないということで、損益を正確に把握する仕組み作りに乗り出しました」

SAP BusinessObjects BI画面の作り込みを通じてデータ分析への意欲が向上

第一稀元素化学工業が始めた「BPM(ビジネスプロセスマネジメント)推進行動」では、まず「精度の高い予測の実現と変化の兆しを逃さない仕組みづくり」を掲げ、経営判断、業務判断の迅速化と精度向上のための「見える化」システムの整備を目指しました。それには、用途や地域、受注先、品目別の損益/原価分析といった、正確な指針となる数字をわかりやすく参照できる仕組みが不可欠です。

「そうしたシステムの画面(ユーザーインターフェース)をどう開発するかが課題となり、 自分たちが見たい画面にとことんこだわって作り込んでいくことにしました」

同社では、次々に出てくるアイデアをSAP BusinessObjects BIのプロトタイプ画面として作成。売上の達成度を赤・黄・緑のマーキングでスコアボード化したり、さまざまなグラフやシグナルを駆使した「見える化」を追求した結果、1つの画面に多くの要素を盛り込みすぎて、視覚的にもシステム的にも重くなってしまったといいます。

「このペースではいくら予算があっても足りないと反省したのですが、意外なことに社内からは、もっといろいろと分析してみたいという声が上がってきたのです。それならせっかく買ったツールを、とことん使い倒すまで究めてみようと腹を決めました」

データ分析への機運が高まる中、ERPの連携なども実現

次に、同社ではSAP BusinessObjects BIの開発機能をパワーユーザーに開放するという思い切った策に出ました。すると彼らは、自分たちの欲しい画面を猛烈な勢いで作り始め、これまで以上に「はまってしまった」のですが、結果的にユーザー自身によるアナリティクス・コンテンツの開発は、みごと軌道に乗りました。

「こんなところでもCUBEが作れる、つなげられるものはとりあえずつないでみようといった前向きな姿勢が社員の間に拡がり、全社的にデータ分析への機運が高まってきました」(萩原氏)

そうした積極性が如実に表れたのが、単独で稼動する予算策定システムとして導入していたSAP Business Planning and Consolidationの活用です。同ソリューション内部のSAP Business Warehouse(SAP BW)を通じてSAP ERPとのシームレスな連携を実現しています。

「SAP BWの豊富なテンプレートを活用することで、SAP ERPのさまざまなデータをジョブ連携で取得できます。この結果、各種レポート作成の手間が改善され、予算策定以外でも活用が拡がりました。現在は、為替や仕入れ単価のシミュレーションなども行っています」

今後は製造部門の業務改善にも活用

現在、同社では従来のOA系に加えて、FA(ファクトリーオートメーション)系のデータ分析に着手しています。工場のさまざまな機器に取り付けられたシーケンサー経由で収集したデータを分析して、歩留まりなどを可視化して製造部門の業務改善につなげていくのが狙いです。

「今後のBPM推進行動では、これまでの情報分析系の取り組みをさらに進化させていく一方で、生産部門での歩留まり管理や労務費管理、改善余地の分析やシミュレーション。また資材部門での在庫シミュレーションなど、さらに多彩な分野、領域でのデータ活用に向けた取り組みを進めていきたいと考えています」

分析ツールの充実に加えて、それらの仕組みをフルに活用できる人材の育成にも注力したいと語る萩原氏。データ活用への熱意が、レアアース業界でのリーダーシップをさらに強めていくのは間違いありません。

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