SAPの連結会計ソリューションのご紹介


読者の皆様は、SAPが連結ソリューションを提供していることをご存知でしょうか?実は以前から様々なソリューションをご提供させていただいているのですが、今回のブログでは「SAP連結会計ソリューションの今」についてご紹介させていただきます。

【3つの製品から目的に合わせて利用可能】

連結会計に関するご検討の際には、大枠としては制度連結や管理連結への対応が求められるかと思います。SAPでもこうしたご要望に応えられるように、例えば制度連結用のテンプレートを提供したり管理連結でのご要望に柔軟に対応できるような基盤を用意したりなど様々なソリューションを実現する製品をご提供しています。
さらにサブ連結への対応や連結をベースとした中長期計画の作成はどうするのか?といった業務的な要件から、連結用データの収集方法をどうするのか?といったシステム的な要件まで、お客様により様々なご要望や重点とするものがあるかと思います。

SAPではこれまでにも20年以上にわたり連結ソリューションを提供させて頂いてきましたが、現在では様々なお客様のご要望に応じられるように、主に図1に掲載させて頂いた3つの製品を目的に合わせて利用できるように提供させて頂いています。

図1

図1

 

[1] SAP Financial Consolidation (FC)

SAP Financial Consolidation(以下、FC)はSAPが2008年1月にBusinessObjects社を買収して以来、すでに10年にわたりSAPにて様々な改良を重ねながら提供させて頂いている製品となります。早くから国際会計基準への対応を行いながら日本基準や米国基準等の早期導入用テンプレートを用意しているのが特長となります。

図2

図2

 

◆主な特長

FCは複数のシステムからの定期的なトランザクションデータ取得をサポートするように設計された専用の連結アプリケーションとして提供しており、次の3つのパーツで構成されています。

1)データ収集機能

WebやExcelインタフェースによるマニュアルでのデータ収集に対応しており、各社の業務・システム環境に応じたデータ収集の方法を様々に選択することができます。また、財務数値以外にも、データごとに最大2,000文字までのコメントなど非財務データの収集も可能です。

データの自動収集にも対応しています。FCではFinancial Information Management(FIM)というツールを提供しており、SAP S/4HANA(以下、S/4HANA)からの自動連係はもちろん、ファイルでの連携によりSAP以外のシステムとの自動連係も行うことができます。特にS/4HANAとの親和性は高く、ドリルバック機能を利用してFCのレポートから取込元となるオリジナルデータを参照する画面を呼び出したり、最新バージョン(最新サポートパッケージ)では従来のトラディショナルな連結システムとは異なりデータをFCに複製することなく直接参照しながら連結の処理を行うこともできます。

収集したデータはパッケージデータとしてFCにて一元的に管理しますが、その際に、提出や承認といったステータスやワークフローの管理を行ったり、収集されたデータの整合性チェックを行うこともできます。

2)連結処理機能

FCはテンプレートの提供などにより制度連結にも十二分に対応をしていますが、柔軟な連結定義による管理連結への対応能力に大変優れた製品となります。その秘訣は、図3のように「連結範囲」「ルールセット」「換算レート」「勘定体系」という4つのピースを複数個別に定義でき、多様な連結業務に合わせてそれらを任意に組み合わせていくつでも連結シナリオを定義できることにあります。

図3

図3

これにより、例えば「複数会計基準の対応でJGAAP/IFRSは対象とする組織の連結方法が異なるため連結範囲を分ける」「連結処理が異なるためルールセットを分ける」のような設定を行うことができます。同様に全社連結とサブ連結対象で連結範囲だけを変更した連結定義を定義したり、旧組織と新組織の比較ができるように複数バージョンを保持したりなど、様々な応用が可能です。尚、連結定義を適用する元となるパッケージデータは共有することができるため、連結定義ごとに同じ元データを複数保存する必要はありません。

3)レポーティング機能

FCでは標準でレポートツールを提供しており、付属のレポートデザイナ機能でパラメーター設定を行うだけでレポートを作成することができます。テンプレートにて会計基準に準拠したものなど100種類以上のレポートが標準で提供されているため、基本的にはテンプレートを修正したり、コピーして別のレポートを作成するなどにより、お客様の様々な用途に迅速に対応する事が可能です。経営情報を管理するために最大で22個まで分析軸(次元)の追加定義も可能なため、事業別や品目別など用途に応じた様々な分析を行うことが出来ます。
また、SAP BusinessObjectsのBIツールとの連携もスムーズに行えるため、ダッシュボードの作成やより柔軟な分析業務などに対応頂くことも可能です。
※SAP BusinessObjects BIに関しては、こちらのブログにてご紹介させて頂いています。

◆Starter Kit(テンプレート)

迅速な開発や法制度等の改正に対応できるように、SAPでは「IFRS Starter Kit」というテンプレートを提供しています(図4参照)。IFRS Starter KitはFCのインストール後に追加で適用頂くことができ、独自にサポートパッケージも提供しているため、お客様のご要望や法制度に対応して常に最新のテンプレートをご使用頂けます。またSAPのパートナー企業様により、様々なテンプレートも提供されています。

図4

図4

 

[2] SAP Business Planning and Consolidation (BPC)

SAP Business Planning and Consolidation(以下、BPC)は、SAP製品との融合を進めながら10年以上にわたり進化してきた製品となります。現在のロードマップでは以下2つを主力バージョンとして提供しています。
※()内は略称
①SAP BPC 11.0, version for SAP BW/4HANA (BPC11.0またはBPC for BW/4)
※BPC11.0に関しては、こちらのブログにてご紹介させて頂いています。
②SAP BPC optimized for SAP S/4HANA Finance (BPC for S/4)

上記2つのバージョンではベースとなる基盤が「SAP BW/4HANA(独立サーバー型)」か「S/4HANA内のBW on HANA(S/4HANA統合型)」かの違いが主な相違点となりますが、現時点ではBPCとして提供しているコアの機能はほぼ同等となります(一部機能に関しては、BPC11.0の方がより洗練された機能が搭載されています)。
※BW/4HANAに関しては、こちらのブログにてご紹介させて頂いています。

BPCはその名に「Planning」と冠している通り、計画関連=予算編成や予算管理の機能が非常に充実している製品となります。本ブログでは連結機能が主体のため詳細は取り扱いませんが、中長期経営計画からB/S計画・P/L計画・CF計画等の総合予算、利益計画、経費予算、原価計画、PSI計画、人員計画、購買計画、資金計画、設備投資計画などなど、企業の予算管理/予算編成を幅広く強力に支援いたします。
中長期計画や原価計画などでは連結の処理を行う必要が生じることがあります。BPCではそうした要件に対応する必要もある事から連結機能も搭載しており、その連結機能を更に充実させることで制度連結や管理連結にも対応できるよう「Consolidation」の名に恥じないソリューションを提供しています。

◆BPC連結コア機能

BPCの連結機能では、FCと同様のトラディショナルな連結システムとして、複数のシステムからの定期的な複製によるトランザクションデータ取得をサポートするように次の3つのパーツを使用することができます。

1)データ収集機能

BPCでは、マニュアルでのデータ収集に関してSAP BusinessObjects BIのツール群を使用します。そのなかでもデータの入力が可能なのは、ExcelベースのAnalysis OfficeとWebベースのLumira Designer (旧Design Studio)となります。その他にもBPC専用のWebレポート/入力フォームおよび仕訳帳機能を使用してデータをマニュアルで収集することも可能です。また、財務数値以外にもデータごとにコメントを付与するなど非財務データの収集も可能です。

図5

図5

データの自動収集では、ベースとなっているBW(SAPが提供するDWH製品)のETL機能を利用します。SAP S/4HANAからの自動連係はもちろん、ファイルでの連携によりSAP以外のシステムとの自動連係も行うことができます。上述させていただいたFCと同様にS/4HANAとの親和性は高く、ドリルバック機能を利用して、BPCのレポートから取込元となるオリジナルデータを参照することができます。従来型の連結システムとは異なりデータをBPCに複製することなく直接参照しながら連結の処理を行うこともできます。さらに、FCではマスタデータは複製を行いますが、BPCではマスタデータもS/4HANAを直接参照させることが可能となっています。

収集されたデータはBPC(BW)にて一元的に管理されますが、その際に提出や承認といったステータスやワークフローの管理を行ったり、収集されたデータの整合性チェックを行うこともできます。

2)連結処理機能

BPCでももちろん制度連結や管理連結に対応する機能を保持しています。BPCではBWにデータを物理または論理的に格納しますが、そのデータに対して連結処理を行うために以下の定義を行います。

環境 : BPCで連結や計画の処理を定義したり実施したりする際の仮想コンテナを定義
例)「全社連結用環境」「北米連結用環境」など、管理しやすい単位で登録することになります。
モデル : 環境内で連結や計画の処理を実際に行う単位として「連結処理対象」「持分比率」「換算レート」を指定
例)「全社連結用モデル」「北米連結用モデル」
ビジネスルール : 連結用自動計算処理を指定
例)「勘定ベースの計算」「外貨換算」「会社間転記」「消去および調整」「残高繰越」

FCと同様にBPCでも環境やモデル、ビジネスルールの定義を工夫頂くことで、複数会計基準の対応やサブ連結の対応、旧組織と新組織の比較といった様々な応用が可能となります。

3)レポーティング機能

BPCではSAP BusinessObjectsのBIツール群をレポートツールとして使用頂けます。BPCで連結の処理を行ったデータも、データとしてはベースとなるBWに格納されます。そのため、BPCではBWからのレポート出力とまったく同様の方法でレポーティングを行って頂くことになります。経営情報を管理するための軸を(最大で200個程度)追加定義したりなど、様々な機能で連結業務を支援いたします。

◆Real Time Consolidation (RTC)機能の提供

※こちらの機能はBPC optimized for SAP S/4HANA Finance専用機能となります。

一般的に従来型の連結ソリューションの場合、「各個社での単体決算⇒ETLによるデータ複製⇒連結処理の実行および調整⇒レポート分析」というプロセスを踏むことになります。この場合、図6のような問題が生じるのではないでしょうか。

図6

図6

 

BPCではこうした問題をできる限り解消できるように、データを複製することなく直接連結元となるS/4HANAのデータにアクセスできるようにするなどの工夫を行ってきました。BPC optimized for SAP S/4HANA FinanceではS/4HANAの「リアルタイム」というコンセプトに同調することで更なる工夫を凝らし、こうした問題への解決策を提示しています。それがS/4HANA1610より提供を開始した「Real Time Consolidation(RTC = リアルタイム連結)」機能の提供となります。

RTCでは、上述のBPCの連結コア機能をフルに活用しながらS/4HANA Finance側にも機能を追加開発しています。これによりデータの参照や通貨換算、連結用調整データの入力や提出/承認といった連結の処理をできる限りS/4HANAのレベルで行うことで、限りなくリアルタイムに近い連結処理を行うことが出来ます。

結果として、RTCによって図7のようなメリットをお客様に提供することが可能となっています。

図7

図7

 

S/4HANAには様々なグループ会社の連結用のデータが入っているかと思いますが、中にはS/4HANAには入ってこない個社のデータもあるかと思います。RTCではそうした企業にも対応できるようにファイルアップロードの機能も保持しています。また、S/4HANAのCentral Financeの機能も併用頂くことでより連結対象のデータがS/4HANAに集まってくることになり、RTCの効果がより発揮できるようになります。
※Central Financeに関しては、こちらのブログこちらのブログにてご紹介させて頂いています。

 

[3] Financial Consolidation with SAP S/4HANA Cloud (Cloud Consolidation)

2015年にSAPは「次世代ERP」としてSAP S/4HANAをリリースいたしましたが、そのパブリッククラウド版を2016年8月にSAP S/4HANA Cloud1608としてリリースしています。その後11月に1611、翌年2017年2月に1702と3か月ごとのサイクルでリリースさせて頂いています。そして、2017年5月にリリースされた1705にて、連結会計に対応したコンポーネント=Cloud Consolidationが新規に登場いたしました。
※SAP S/4HANA Cloudに関しては、こちらのブログでご紹介させて頂いています。

SAP S/4HANA Cloudのコンセプトに則り、Cloud Consolidationもパブリッククラウドサービスとして迅速かつシンプルに導入頂けるようにベストプラクティスに基づく機能群が提供されおり、ユーザーはデータの投入や連結の処理からレポートまで、すべてFioriアプリにより行って頂けます。
Cloud Consolidationでは、具体的には下図のプロセスが提供されています。

図8

図8

 

SAPではS/4HANAを2-Tierアプローチで導入頂く構成もご案内させて頂いています。具体的には「本社(HQ)にてS/4HANAオンプレミス(もしくはプライベートクラウド)をご利用頂き、海外個社や買収した子会社に対してS/4HANA Cloudを適用するといった導入アプローチとなります(英語となりますが、こちらのブログにて詳細をご紹介させていただいています)。本社ではグループ全体の連結結果をCentral FinanceおよびRTC等によって参照いたしますが、別途各海外個社では自社のサブ連結の範囲でより迅速に自社の要件に応じて分析等の業務を行いたい場合もあります。例えば上記のようなケースの場合に、Cloud Consolidationを有効にご活用いただけます。

 

【最後に】

今回のブログでは、SAPで提供させて頂いている3つの連結ソリューションをご紹介させて頂きました。それぞれ特徴のある製品となりますが、例えば以下のようなケースでお客様のご要望に合わせて最適なソリューションをご選択頂けるかと思います。

例1) 計画から連結までのプロセスを効率的(一気通貫)に行いたい。連結予実管理をもっと効率化したい。
->SAP Business Planning and Consolidation
例2) 迅速な制度連結の実装や法制度対応も行いつつ、より柔軟な管理連結も行いたい。
->SAP Financial Consolidation
例3) 海外個社グループが自社の連結結果(HQにおけるサブ連結結果)をすぐに確認したい。
->Financial Consolidation with SAP S/4HANA Cloud

ここまで本ブログを読んで頂きありがとうございました。連結ソリューションをご検討の際に、選定の一助となれば幸いです。

 

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