デジタル時代のERPの姿とは? Fit to Standardの価値


デジタル化の波は、企業内のさまざまな領域に急速な変化を促しています。SAPジャパン株式会社、SAP S/4HANA Cloud 事業本部本部長の植木貴三は、2018年3月13日に開催されたセミナー「SAP Finance Day 2018、CFO領域におけるデジタルテクノロジーの活用」の中で、デジタル経営・中核の核となるERPを、SAP S/4HANA Cloud Public Option によって、どのように環境変化やデジタル化に対する強みに変えられるのかについて講演しました。

クラウドERPの進化をリアルタイムに享受する

 UekiSAP S/4HANA は、これからのERPのあるべき姿を反映させた次世代型のERPで、「インテリジェントコア」と呼んでいます。「守りのIT」であるコア業務はできるだけ標準に合わせ、「攻めのIT」ではAIやIoT、機械学習などの新しい技術を利用して、競合他社と差別化していこうという考え方です。

これをパブリッククラウド上で提供するのが、SAP S/4HANA Cloud Public Option です。アプリケーションも含め運用はすべてSAPが担い、利用者は、これをビジネスにどう役立てるかを考えることに集中できます。

今、ERPは急速に変化しています。カギとなるのは、蓄積したデータを活用して自動化を進め、生産性を高める「機械学習」、システム側からユーザーに提案を行い、業務を支援するAIを活用した「インテリジェントアシスタント」、蓄積されたデータを活用してリアルタイムに業務を改善する「予測分析」です。

これらが業務を大きく変えています。今までの業務のやり方は、ユーザーが課題を発見してシステムでそれを確認するなど、人間が判断してシステムを使うものでした。一方、SAP S/4HANAは、「インサイトドリブン」という考え方で設計されています。

例えば、業務メニュー上には、KPIがレベルに応じて赤、緑など視覚的にわかりやすく表示されています。「警告」である赤いタイルをクリックするとグラフが表示され、数字の推移などの詳細がわかり、さらにドリルダウンすれば、問題のトランザクションがわかり、そこで業務処理まで行うことができます。予測データなどを使った課題の発見から業務処理までが、1つの繋がったビジネスプロセスになっています。

こうしたイノベーションを迅速に体感できるのが、クラウドの大きなメリットです。先進的なテクノロジーを導入し、活用して価値を生み始めるまでの時間、すなわちTime to Valueが非常に短いと言えます。

SAP S/4HANA Cloud は、こうした考え方に則って、「クラウドスピードでの拡張」を行っています。本製品は2016年3月に最初のバージョンをリリースしており、以降、四半期ごとに新たな機能を追加しています。こうした情報はホームページで公開しており、今後さらにどんなリリースが予定されるかも、わかるようになっています。

標準ベストプラクティスに基づく短期間の導入

これまでのパッケージ型ERPでは、ほぼ1年に1度程度、新たな機能が追加されていました。一方お客様は、時間とお金をかけて一旦導入すると、次回4、5年後にアップグレードするまでは、追加された最新の機能を享受することはできません。

仮に導入時点で最適なインフラを整備しても、以降はビジネス環境が変化し、効果は減少していきます。世の中のテクノロジーの変化、新しいバージョンのOS、M&Aなどによる事業モデルの変化により、システムが現状に合わなくなり、追加投資が必要になるからです。

一方、クラウドERPの場合は、我々SAPが3カ月ごとに最新のテクノロジーをリリースすると、お客様側は好きなタイミングで利活用することができます。これが今の、新しいERPの活用法です。長期的にリターンを最大化できます。

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導入の際は、業務要件に機能が合致するかを見るFit & Gapではなく、提供機能に業務が合わせられるかを見るFit to Standardを行います。具体的には、400以上あるベストプラクティスの一覧の中から必要なものを選び、現場の人を交えて業務フローを定義。次に、「テストスクリプト」という、システムの動かし方のシナリオと、それをもとにした「スターターシステム」という、モデル企業のデータが入ったデモ環境を使って、実際に動く様子を見ながら関係者全員でシステムを考えます。「カンファレンスルームパイロット」と呼ばれるやり方です。

これまでは、要件定義だけで3~6カ月かかりましたが、この手法であれば、例えば会計領域なら標準のプロジェクト期間は11週間(3カ月)です。3~5カ月でERPを動かすことを目指しています。

どうしても標準でギャップを吸収できない場合は、「エクステンション」と呼ぶやり方で、お客様や業界固有の部分に対応します。UIやアプリケーション、データベース部分に影響を与えないように作られたIn-app拡張機能を使うか、または、APIを使って外側で開発し、APIを使って戻すという手法を取ります。このアプローチは、グローバルで増えています。

会計システムの4つの変革をサポート

今後の会計システムには、大きく4つの分野の変革が求められます。まず、自動化により会計プロセスの省力化を図る「戦略」、新規ビジネスモデルの設計を容易にする「効率化」、リスクや統制、業績に関する継続的なインサイトを提供する「リスク管理・コンプライアンス」、ビジネスに関する即時のインサイトを提供する「ビジネス業績」です。

これらはどれも、SAP S/4HANA やSAP Leonardoの最新テクノロジーが最も得意とする分野です。従来型のERPと比べて、SAP S/4HANA の新機能により、会計領域で10~20%の業務改善が実現できます。

具体的には、これまで複数の画面を使い分けながら業務を行っていたのが、1つの画面で行えるようになり、業務をシンプルにできます。さらに、これまでボトルネックになっていた、会計締め処理のバッチ処理が不要になります。ユニバーサルジャーナルができるので、いつでもリアルタイムに現在の経営状況を把握し、同じ画面から転記明細のさまざまな項目を使用した分析を行うことが可能になります。

会計はSAPが最も得意とする分野であり、それをそのまま、クラウドで利用できます。クラウドとはいえ、機能はSAP S/4HANAそのものなので、安心してご利用いただけます。

2-Tier ERPの活用によるグローバル経営管理

多くの企業では、M&Aや海外展開などで、さまざまな関連会社が増えています。これら関連会社の独自性を保ちつつ、適切なガバナンスと業務効率化を実現することは大きな課題です。これを両立するための考え方が、ERPを2階層に分けて導入する、2-Tier ERPです。例えば、親会社ではオンプレミス、子会社ではパブリッククラウドを入れ、2つを繋ぐというものです。

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オンプレミスとパブリッククラウドという違いはあっても、SAP S/4HANAですからプロセスとデータは同じです。これは、グローバル経営で大きなメリットになります。共通の分析モデルが使えますし、グローバルで標準化されたデータが蓄積されるので、機械学習に活用すれば精度が高まります。

SAP S/4HANA Cloud は、2018年内に39カ国の税制、23言語に対応する予定です。

本社ではオンプレミスでカスタマイズして自社の要件を取り込み、海外拠点ではクラウドをFit to Standardで標準化する2層構造でERPを活用するケースは増えています。そうすれば、会計データはグローバルでしっかり標準化され、将来的にはシェアードサービスに移行することも可能です。

SAP自身もシェアードサービス化を進めています。2-Tier、同じERPのオンプレミスとクラウドのサービスを組み合わせて活用する時代が、まさに目の前に来ています。上手に組み合わせることで、今までできなかった経理ガバナンスを実現できるのです。

 

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