ロシア通信事業者メガフォンのリテール管理改革


通信業界における顧客接点の重要性

通信産業は顧客と直接対面をしないでもサービス売上を上げることができる事業です。サービスの拡販には広範囲なマスマーケティングが唯一の手立てだと思われがちですが、実は店舗での販売施策が鍵です。特にモバイルサービスについては、スマートフォンなどの端末の魅力がサービスの満足度を決める大きな要素になっています。2,3年ごとに機種変更するタイミングが、サービスを切り替えるきっかけになることが多いのが実情です。そのため、店舗での対面販売はモバイルサービスプロバイダーにとって非常に重要な販売施策なのです。

Webなどで端末やサービスの詳細な情報が提供される現在ですが、それでも大半のモバイルユーザーは、店舗で実機を触って、店員に話を聞いて、これから2年間にわたる端末の利用を決意します。これがすなわち該当するサービスプロバイダーとの2年間のお付き合いになるわけです。

「そろそろ携帯電話を買い替えよう」「あの友人が持っていたのと同じスマホを持ってみたい」なんていう想いをもって、携帯電話ショップを訪れるユーザにとって、「すいません、その色は置いていないんです。」と言われることがどれだけがっかりすることか、想像がつくと思います。そこでユーザーは、はす向かいにある別の携帯ショップに足を運び、MNP(番号ポータビリティ)の申請をする、などということが起きます。サービスプロバイダーにしてみると、ピンクのスマホが店舗に置いていなかっただけで、本来なら入るはずだった2年分のサービス料とスマホの代金(合わせて15万円を超えるくらいでしょうか?場合によってはそれ以上かもしれません)の売上がなくなります。

これは、iPhoneだけが人気を独占する日本よりも、様々なAndroid機種が人気を競う世界の国々ではより一層深刻な問題です。

メガフォンの取り組み

MEGAFON Logo

MEGAFON Logo

メガフォンはロシア最大手の通信サービスプロバイダーとして成長を続けている企業です。顧客ベースはモバイルと固定回線を合わせて7500万を超え、3万人の従業員によって、ロシア全土へサービスを提供し、$5.3B(約6000億円)の収益を上げています。

モバイルユーザのアカウント数で言うとソフトバンクとNTTグループの間くらいですが、売り上げ規模はNTTグループの20分の1、ソフトバンクの5分の1ほどです。(物価の影響もありますが、日本の通信事業は、諸外国に比べて非常に収益が高い事業体です。)

そのメガフォンは、携帯電話の販売などのために2,000のショールーム兼小売店を持ち、正規・非正規の社員1万人によって運営しています。これらの店舗がメガフォンにとってサービスの入り口です。

MEGAFON Shop

MEGAFON Shop

メガフォンは長年のSAPユーザとして、ITシステムの主要な範囲をSAPソリューションで構築していました。メガフォンは、勃興するデジタルエコノミーをビジネスチャンスと捉え、デジタルトランスフォーメーションによる広範囲なビジネスプロセスの再構築プロジェクトとして開始しました。このプロジェクトは、設備・調達・物流・財務の各業務をつなぐエンドツーエンドなビジネスプロセスをシンプル化および自動化し、業務効率を高めることを目標としました。

具体的アプローチと成果

この大規模なデジタルトランスフォーメーションプログラムにおいて、SAPはメガフォンのサービス範囲全般にわたる携帯電話などの商品流通の計画と販売に対して、SAP Forecasting and Replenishment(SAP F&R)を提案し、さらにSAP Max Attentionによるスムーズな導入と早期立ち上げを確実にすることで、メガフォン・リテール部門の主業務をデジタルトランスフォーメーションへと導くことができました。

SAP F&Rは在庫を予測しエンドツーエンドで最適化する唯一の在庫管理ソリューションです。このソリューションを活用し、倉庫、店舗、もしくはWebショップなど5万ヶ所以上の必要な拠点への在庫補充を完全自動化するビジネスプロセスを実現しました。

これらの機能を現在の店舗のワークフローに適用させて新しいオートメーション化されたビジネスプロセスを実現することは簡単ではありません。しかし、メガフォンは早期にこれを実現することを望み、SAPのInnovation Control Center (ICC)を採用、ソリューションマネージャーがロードマップに基づく計画を作成し、多種のシステムを含むランドスケープを管理しながら、小売り部門でのプロジェクトを実施し、ERPシステムの保守管理を行いながら変更管理を実施しました。

導入の概要がビデオになっていますので、ご覧ください。

 

メガフォン・リテール部門は、POSからのデータに基づく販売予測とプロモーションを管理することができるように変革を遂げ、オムニチャネルに向けて一歩を踏み出すことができました。すなわち、店舗での在庫管理を確実に行うだけでなく、インターネットからのお客様の要望に対しても即座に対応し、店舗とインターネットというチャネルをまたいだ携帯電話・スマートフォンの販売の高度化を実現しました。このように、地域内での競争事業者に先んじて、リテール部門のデジタル化に成功し、収益に向けた活動を推進しています。これは通信事業者に対するSAP F&Rのユーラシア地域での最初の事例となりました。

メガフォン社はこのアクティビティの後、ERPそのものをSAP S/4HANAに切り替えるプロジェクトを始め、さらなるデジタルトランスフォーメーションへと向かっています。