my震度 — 白山工業とSAPの地震防災の取り組み、世界へ!
作成者:松井 昌代 投稿日:2018年6月21日
SAPジャパンは2016年4月より白山工業様と協業させていただいています。テーマは地震防災。白山工業様は地震観測のプロフェッショナル集団、弊社はインメモリーコンピューティングプラットフォームSAP HANAの提供元。この2社の強力なタッグで未だこの世にない地震防災のしくみの構築を目指しています。
2016年 One Billion Lives
弊社の企業ビジョンは”Help the world run better, and improve people’s lives.”。このビジョンに則り始まったのがOne Billion Livesです。2016年3月、アジアパシフィックジャパン地域から集まった180件のアイデアの中から3件のプロジェクトが選出されました。このうちのひとつがSAPジャパン有志によるアイディア「地震国日本からアジアへ、個別の建物毎に震度センサーを設置して軽微な地震の震度を測定することで大規模な地震の際の影響を予測。個別の防災対策に活用するとともに、測定したデータをビッグデータとして利活用する」でした。
白山工業様との出会い
さて、私たちは「個別の建物毎の揺れを測定」というアイディアで実行予算を獲得したものの、実は地震についても建物についても全くの素人でした。そこで日本における地震計のトップメーカーであり、日本全国にある地震観測ネットワークの多くを設計・開発・設置した白山工業様にコンタクトしたところ、既にiPhone/iPod touch/iPadの加速度センサーを活用して震動を測定するアプリ、「i地震」「i震度」を開発しリリースされていることがわかりました。
早速府中の白山工業様本社に伺ったところ、まさしくお互いを補完しあうWin-Winの関係であり、何より同じ理念を掲げる同志であるとして、弊社とのパートナリングのお願いを快く受け入れてくださいました。
我々のプロジェクトが具体的にやっているのは、建物の躯体に固着させたiPhone/iPod touch/iPadで揺れを測る「my震度」というスマホアプリを白山工業に開発していただき、そのアプリから収集した震度データをSAP Could Platformに集めるというものです。
以来、my震度アプリをインストールしたモバイルデバイスをSAPジャパンオフィスおよび社員宅100か所に設置して地震観測を続け、将来の大規模運営に向けた知見をためています。並行して地震データを活用したビジネスをお考えの企業・組織とのディスカッションを進めています。
また白山工業の吉田社長には、広くmy震度を知っていただくためにさまざまな機会にご登壇いただき、お取り組みのご紹介をいただきました。
SAP Forum 2016でのご登壇。-> 記事はこちら
SAP Business Innovators’ Network 2016でのご登壇。-> 記事はこちら
2017年 日本を代表し社会を変革するIoT活用の先進例として
2017年はアジアパシフィックを超えてmy震度を世界にお披露目した年になりました。3月にハノーバーで開催された世界最大級のIT見本市CeBITでは、SAPジャパンが進めている日本発のIoTの取り組みのひとつとして動画配信しました。-> 動画はこちら
またCeBITでのJapan Summitでは、弊社開発部門責任者バーント・ロイケが登壇し、白山工業様と弊社の取り組みを紹介しました。-> 動画はこちら
さらに7月に開催されたSAP Leonardo Liveでは、CTOの田中様にご登壇いただき、インタビューに応じていただきました。-> 動画はこちら
デジタル・プラットフォームの4層構造
さまざまな機会でmy震度のご紹介をすると、どなたからも「これいいね!」と言っていただきます。おそらく直感的に「スジの良さ」を感じていただけるせいだと思います。
では、スジの良さとは何でしょうか。
成功しているビッグデータビジネスには共通するスキームがあります。あらかじめ消費者・顧客・社会といった最終受益者のニーズを捉え、匿名化等の必要な処理を施したオープンデータを活用したソリューションを、プラットフォームに格納したデータを元に提供することで対価を得られるように、価値あるデータを取得する手立てごと、構築されている点が共通しています。
図にすると右の形になり、我々は「デジタル・プラットフォームの4層構造」と呼んでいます。
実はシーメンスのMindSphere 、コマツのLANDLOG、アメリカ臨床腫瘍学会のCancerLinQ、ウォーターワッチ・コーぺラティブの農作物病害警告アプリなども、この4層構造で成り立っています。
my震度は、日本における地震計のトップメーカーが開発したアプリを使って、まず個々人が自分や家族が居る、あるいは所有する建物の揺れを測ることで、大規模地震の際の被害を予測できます。つまりデータ発生源でのユーザーにとってのメリットがまずあることが最大の強みであり、これこそがビッグデータを蓄積するための推進力です。データがプラットフォームに集まれば集まるほど、その利活用によって多様なステークホルダーに貢献でき、それによって永続的なデジタルプラットフォームになることを目指しています。
2018年 地震の被害を受ける世界中の人々に向けて
2018年、my震度はSAPのグローバルマーケティングキャンペーンのモデルプロジェクトに採用され、4月にはWall Street Journal 北米版にSAPの全面広告として掲載されました。さらに7月から世界の主要な15空港に広告が掲示されます。
■掲示空港:羽田、成田、ニューヨーク(JFK)、ニューアーク、ワシントンDC、シカゴ、トロント、フランクフルト、アムステルダム、モスクワ、ドバイ、上海、北京、シンガポール、メキシコシティ
ぜひ空港でこの広告を見つけてください。
我々はいずれ世界中の地震の被害を受ける人々に貢献することを目指し、現在日本での実績を作ることに注力しています。
<2018年7月31日更新>
このブログを読んでご自身のいらっしゃる建物の揺れを測りたいとお思いの方へ
このたびコンシューマ向け新アプリ「地震あんしんカルテ」がリリースされました。
これまでのアプリもスマートフォンでその場の震度(正しくは震度相当値)がすぐに分かるものでした。しかし、表示された震度がその建物にとって安全なのか危険なのかは一般の人にはわかりません。この最新アプリではその判断も示すのが特徴です。ベストエフォートながらアプリから「健全」と言ってもらえたら、とても安心だと思います。
地震あんしんカルテアプリ -> リンクはこちら
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