BIツールが活用されない原因はデータの信頼性。では、情報の鮮度と精度を維持するには?


こんにちは、SAPジャパンの奥野です。前回お話した最適な瞬間にタイミングを合わせて、リアルタイムなアクションを起こすためのデータ分析において、何より重要となるのが分析対象になるデータの「精度」と「鮮度」です。今回はこの点について、少し掘り下げてお話したいと思います。

そもそもBIツールを選定する際の判断ミスとは?

BIツールをすでに導入済みというお客様は、少なくありません。しかし一方で、「せっかくBIを入れたのに、誰も活用していない」という嘆きもしばしば耳にします。たとえ使っていても、データをCSVファイルに落とすだけ。あとはCSVファイル上で加工して、結局経営者が見るのはMicrosoft Excelのスプレッドシートというケースも珍しくありません。せっかく多機能なBIツールを導入しておきながら、どうしてこうしたことが起こるのでしょう?

多くの企業でBIツールが使われていない大きな理由には、操作の難しさ以上に情報の信頼性、データ品質の問題があります。BIツールはバックエンドにあるさまざまなシステムからデータを抽出してきますが、システムごとに取得やバッチ処理のタイミングはバラバラです。またデータ転送のための変換やマッピングといった作業に時間をとられるうちに、データの鮮度は徐々に低下します。このため、せっかくBIツールからデータを取得しても、再度担当者が手作業で最新の正確なデータと照らし合わせて補正しないことには、情報としての価値、信頼性が保てないのが実情です。

ここには、BIツールを選定する際の判断ミスもあります。精度、鮮度の高い情報によって、スピーディかつ的確な意思決定が下せるようになることが、BIツールの本来の目的です。しかし、ツールの選定においてはどうしてもグラフ表示の美しさや、レポート表現のリッチさに目が行きがちで、本来の目的に沿ったツール選定ができていない企業も多いようです。

情報管理プラットフォームの視点で情報の精度/鮮度の底上げを図る

「マーフィーの法則」の中で「樽いっぱいのワインにスプーン一杯の汚水を混ぜると、樽いっぱいの汚水になる」という言葉が出てきます。BIに表示される情報の精度/鮮度についても、まったく同じです。さまざまなデータソースからさまざまなタイミングで取り出された情報をマージして表現するBIでは、もっとも精度/鮮度の低い情報が、その最終的なレポートの信頼性を決定します。古くてあやふやな情報が混在していると、BIレポート自体の信頼性もそのレベルに下がってしまうのです。

以上をふまえると、BIを成功させるための鍵は、そこから得られる情報の精度と鮮度を、最終的な分析用途にかなうレベルに維持しておくことです。それには、BIのバックエンドに存在する情報系システム全体を「インフォメーション・マネージメント・プラットフォーム」としてとらえて管理する取り組みが必要です。SAPはそうした観点から、あらゆる情報をリアルタイムかつ正確にとらえることができる、“究極の情報系”の実現を目指しています。

“究極の情報系”の実現には、プラットフォームやシステムのすべてに必要十分な機能を持つコンポーネントが提供され、充分なサポートを受けられることが不可欠です。その点SAPは、インフォメーション・マネージメントに必要なあらゆるピースを1社で提供できる数少ないベンダーであり、“究極の情報系”を構築するにふさわしい役割を担っているといえます。SAPが提供する主なBI関連ツールは下のとおりです。

  1. 情報を集めてくるためのETLツール(SAP Data Integrator)やレプリケーション技術(SAP Landscape Transformation、SAP Sybase Replication Server)
  2. データの品質や精度を上げるための、クレンジングツール(SAP Data Quality Management)やマスタ管理ツール(SAP NetWeaver MDM/SAP Mastre Data Governance
  3. データウエアハウス構築に最適なDB(SAP HANA, SAP Sybase IQ
  4. フロントエンドとしてのBI(SAP BusinessObjects
  5. 上記のピースの上に情報系全体の構造を「見える化」するメタデータ管理の仕組み(SAP Information Steward

SAP Information Stewardで実現するデータ資産の「見える化」とリアルタイムのデータ活用

上でご紹介したSAPの情報系ツールの中で特に注目したいのが、SAP Information Stewardです。これは企業内のさまざまなシステムに散在するデータ資産を発見し、明確な定義を行って情報系全体を「見える化」し、データ品質の向上はもちろん継続的な監視・統制まで、すべての企業データ管理を一元化できるユニークなアプリケーションです。

すべての情報を「見える化」してデータの身元を保証

SAP Information Stewardを利用することで、データの来歴や格納されているシステムなどすべての情報を「見える化」できます。いわばデータの身元調査が可能になり、利用したいデータの信頼性や精度を保証する上で大きな助けとなるのです。では、SAP Information Stewardで具体的にどのようなことがわかるのでしょうか。

  1. あるレポートに表示されたデータが、どのデータベースのどのテーブルから、どのように抽出され、加工され、レポートに利用されているのかが判明する
  2. 逆に、あるデータベースのテーブルのデータが、どのような過程を経て、最終的にどのレポートで利用されているかも知ることができる

情報系プラットフォームのボトルネックを発見してデータ品質をアップ

SAP Information Stewardで情報系全体の構造を「見える化」することによって、情報系プラットフォームのボトルネックを見つけ、改善することも可能です。たとえば下のような例です。

  1. あるレポートに表示されている情報の一部が、特定のデータベースから日次バッチでデータウエアハウスへ抽出され、さらに1日かけてデータマートへコピーされ、さらにもう1日かけてパフォーマンスを確保するために必要な加工がバッチ処理で行われていた
  2. 抽出から最終的なレポート完成まで3日間を要するため、リアルタイム性を求められるレポートにはデータ精度/鮮度が不足している点が問題視されていた
  3. そこで、この部分をSAP HANAにリプレースした結果、データマートへのコピーやパフォーマンス向上のためのバッチ処理が不要になり、これまで3日前の情報が混ざってしまっていたレポートをリアルタイム化することができた

異なるシステム間のデータでもリアルタイムで参照が可能

あるレポートに必要な情報をバックエンドのシステムAとシステムBからそれぞれ収集するのに、この2つのシステムで異なるマスタコードが利用されているため、コードマッピングのための日次バッチが必要となっているようなケースでは、このバッチ処理のロスタイムをSAP NetWeaver MDMで解消することを検討するのが良いでしょう。

SAP NetWeaver MDMを利用してマスタ管理のための仕組みを構築し、システムAとシステムBをその配信先として構成することで、バッチ処理を介さなくとも、リアルタイムにデータを見ることができるようになるのです。

以上の例でおわかりのように、

  1. 情報系システム全体をプラットフォームとしてとらえてボトルネックを発見し、そこに適切な解決策を施していく
  2. こうした一連のPDCAサイクルを回していくことで、システム全体にわたり情報の精度/鮮度を向上させ、リアルタイムな情報系基盤を構築可能にする

といったアプローチが実現できるのも、インフォメーション・マネージメントに必要なあらゆるピースを1社で提供できるSAPならではの強みであり、これまで世界中の企業に向けてトータルな情報活用の効率化を提案してきたSAPの原動力なのです。

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