スイス連邦鉄道(SBB)再生可能エネルギー100%達成に向けた電力デマンド管理


スイス連邦鉄道(SBB:Schweizerische Bundesbahnen)は、スイス国内を中心に旅客および貨物の輸送を行なっており、1日あたり125万人の乗客と21万トンの貨物を運んでいます。1930年代から列車の電化を進め、現在ではすべての列車が電化されています。電力消費型産業が少ないスイスにおいて、SBBは最大の電力消費者であることから、エネルギー効率改善および温室効果ガスの排出削減に取り組んできています。

2025年までに再生可能エネルギー 100%に

SBBが消費する電力のほぼすべてが自家発電によって供給されており。かつ、その90%はスイスに豊富に存在する水力資源による再生可能エネルギーによってまかなわれています。SBBは2025年までに、再生可能エネルギー比率 100%を達成することを目標にしています。

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目標達成に向けた課題

SBBは列車の運行においてRegular Interval Timetable(等間隔時刻表)という仕組みを採用しており、ある路線の列車は主要駅を同時刻に出発します。(例えば、チューリッヒ発ベルン行きの列車は毎時00分と30分に出発など)利用者にとっては分かりやすい仕組みであるものの、同じ時刻に動き出す列車が多くなることから、電力消費が一定時刻に集中しピークデマンドを一時的に押し上げてしまいます。自家発電による電力で不足する場合には、各地域の電力会社から系統電力を購入することになり、再生可能エネルギー100%という目標達成が難しくなるほか、コスト面でも負担となってきます。

更に、SBBの旅客・貨物の輸送量は今後も右肩上がりに増加することが見込まれており、それに伴い電力消費も2030年までに現在より20-30%増大すると見込まれています。

電力のピークシェービング

SBBはこの課題を、電力インフラの増強によってではなく、ソフトウェアを利用してスマートに解決しようとしています。具体的には、エネルギー管理システムからリアルタイムに電力需要データをSAP HANAに収集、電力ピークを予測し、ピークロードが電力供給を超過すると予測される場合には、設備の電力消費を抑制することでピークシェービングを行う実証実験を進めています。昨年より電力需要が高まる冬季に、分岐器の凍結を防ぐ電熱ヒーターに遠隔制御デバイスを設置、SBBの中央電力制御室からピークデマンドに応じてデバイスを制御する一連のプロセスについて検証しています。

“私たちは、列車の運行に必要な電力のピークロードに合わせてインフラを整備する必要があります。しかし、私たちはインフラそのものへの投資を抑え、よりスマートなソフトウェアによって問題を解決しようとしています。これは投資効率の面からもより賢明な方法だと考えています。”  Beat Deuber, Head of Energy, SBBead

今後の展開

SBBでは、2022年までに4000両の列車の改修を進め、ソフトウェアによる電力デマンド管理のスコープや対象設備を拡大していく予定です。この投資は、電力インフラに投資した場合に必要な金額(約100億円)の半分以下で済むものと試算されています。また、SBBはSUGRail(SAP User Group Railway)の代表幹事として、他の鉄道会社とも取り組みを共有しながら、業界全体として持続可能な社会づくりに貢献していこうとしています。

スイス連邦鉄道(SBB)における持続可能な電力供給のためのスマートグリッド 動画はこちら

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※ 本稿は公開情報に基づき筆者が構成したもので、SBBのレビューを受けたものではありません。