水資源の保護—清潔で安全な飲める水の普及に向けた取り組み


水道の蛇口をひねれば衛生的な水が出てくる。日本では当たり前の日常も、社会基盤が十分整備されていない発展途上国では大きな課題です。インドでは6300万人もの人々が飲用水を手に入れられない環境で暮らしています。特に地方においては、上水道の普及は限定的であり、清潔で安全な飲める水の共有を受けているのは1億6780万世帯のうち、わずか2690万世帯のみとなっています。さらに、施設設備のメンテナンスも十分とは言い難く、実に40%もの水が漏水している、という調査結果もあります。

このような危機的状況に立ち上がったのがインドの会社のVectusです。
Vectus社は水タンクや水道管、継ぎ手などのインドでは有数の製造メーカーで、インド全土に13の生産拠点を持ち、3500社のディラーと連携し、1300人の従業員を有しています。優れた技術を背景に同社は年平均35%成長を遂げており、同時に、オペレーションの効率化が喫緊の課題となっていました。
オペレーションの効率化とは、単にデータを一元化・集中管理することではありません。様々な従業員、ベンダーが必要な情報をタイムリーに入手することで効率よくかつ正確に業務遂行したり、事業実施したりすることが重要となります。このことにより、インド全土に対しビジネス展開している同社は、「清潔で安全な飲める水」をインド国内のより広い地域に届けることを手助けし、次の世代につながる価値を創出できる、これらを目的として、Vectus社は基幹システムとしてSAP S/4HANAの導入を決定しました。


モバイル活動の支援(mobile APP)

配管業者はVectus社と水利用者をつなぐ重要な窓口です(BtoBtoC)。Vectus社はSAP S/4HANAの導入を通じて内部での請求・管理業務の効率化・高度化を図りましたが、同時に、配管業者向けのアプリも開発し、配管業者も効率的に作業を行うことを可能としました。app

このアプリでは、Vectus社への注文や支払ができるだけではなく、自身の顧客管理を行うこともできます。また、水タンクや水道管、継ぎ手などの技術情報や、それらを組み合わせてどのように設置するかなどの情報も提供しているため、配管業者は現場でこのアプリを使いながら効率的に作業を行うことが可能になっているのです。

クリックすると動画を見ることができます(3分2秒)

ビジネス活動の可視化(BI/BO Dashboards)

オペレーションの効率化をリアルタイムで把握し、すぐに改善につなげるためには、わかりやすい可視化が重要となります。Vectus社は様々な情報を分析しダッシュボードで表示することで、経営改革を図りました。

生産 生産量(計画比、目標比)、廃棄率、工数、輸送コスト・・・
販売 返品率、従業員給与(売上費)、販売成績・・・
注文分析 納品日数、期日順守率、監査レポート・・・
調達 発注状況、原価率、価格と品質の変動・・・
品質管理 品質適合率、廃棄状況・・・
人事 従業員数、退職率、新規雇用人数、コスト・・・
財務 €バランスシート、資金計画、支払計画、決算・・・

BI

システムを導入するのに2年かかりましたが、その間我々は常に前進していました。ユーザは非常に満足しています。組織内部の部署も、現場の営業担当も一元化した情報を参照し、お客様が関心を持っている課題の解決を図っています。会議では、モバイルアプリから入手したデータ分析による修理日数やパフォーマンス、稼働率、在庫状況の時系列推移などを用いて議論が進められています。モバイルアプリとのシームレスな連携によりこのようなことが可能になっているのです。このアプリは常に順調に稼働し、適切にアップグレードされているため、今まで一度もOEMベンダーにサポート依頼をする必要が出ていません。

– Manish Sinha, Head IT

 また、エンドツーエンドのオペレーション効率化を図るために、セールス活動の記録・追跡や調達・契約管理に対しても先進的な技術を導入しています。
セールス活動の記録・追跡
(SAP Hybris C4C)
・注文管理工数半減
・経費精算日数50日→15日
・セールス活動の透明性向上
・実働・稼働率の可視化
調達・契約管理
(ARIBA)
・サプライヤ登録期間40日→21日
・調達期間半減
・真の市場価値での購買
・透明性向上

C4Cにより我々のセールス活動は完全に可視化され、組織の成長のために日夜働いている営業マンに強い自信をもたらしただけでなく、投資家のに対する説明責任も果たせるようになりました。
– C S Singh, CFO

Ariba Platformのお蔭で、節約できることはもとより、将来の成功に向けた戦略を築くことも可能になりました。
– Atul Ladha, Managing Director


公共・公益サービスをエンド・ツー・エンドでつなぎ、最終消費者に対する価値を創出するためには、関係者すべてがWin-Winで繋がることが重要です。
インドでは、Vectus社がその存在感とこれまで築き上げたネットワークを生かし、モバイルアプリを通じて更なる付加価値を提供することで、従業員のみならずベンダーも力を合わせて「事業のデジタル化」を行うコミュニティが形成できました。SAPでは、この取り組みを”The Best-Run Businesses  Make The World Run Better” ~技術によるイノベーションの加速化、よりよい世界の実現に向けた挑戦~ の事例の一つとして様々なメディアで紹介しています。

saving every last drop

日本においては、協調領域におけるデータの収集・活用等を行う民間事業者の取り組みを支援する制度が創設される等、産業活性化や社会課題解決に向けたデータの利活用にますます着目が集まっています。

経済産業省「リアルデータの共有・利活用」

弊社はこれらをプラットフォームとして支える基盤や、データ連携・管理を容易とするソリューションの提供のみならず、取り組みそのものを促進したり、活性化するためのコミュニティ作りなどでも社会課題の解決に寄与したいと考えています。

新たなオープンエコシステム構築を目指すSAPジャパンの挑戦

ビジネスイノベーションスペース「(仮称)TechLab」を開設

一企業ではできないことでも、コミュニティが力を合わせ、更には官民が連携することで、日本全体を変えられる。そういう社会を目指し、今後も国境や文化の壁を越え、イノベーションを起こし、機会を拡大するソリューションの提供を目指します。

water

 

最新技術のおかげで水不足が劇的に改善された
貯水量や配水の問題も解決した
一年中 水が使えるからとても助かるよ
おかげで 年間収穫量が上がったんだ

 

※本稿は参考文献をもとに筆者が構成したものであり、Vectus社のレビューを受けたものではありません。

参考文献:
https://www.forbes.com/sites/sap/2017/07/19/digitalization-is-helping-to-deliver-clean-water-to-millions-in-india/#39bddf7f6a5b
https://www.hindustantimes.com/india-news/6-3-crore-indians-do-not-have-access-to-clean-drinking-water/story-dWIEyP962FnM8Mturbc52N.html
http://sctimes.io/news/article.aspx?tid=29&aid=4307
https://www.sap.com/bin/sapdxc/inm/attachment.19594/pitch-deck.pdf
https://discover.sap.com/best-run/en-us/customer-vectus/index.html