SAP NOW展示 次世代サプライチェーン -機械学習を活用した需要予測と金額・数量両面での事業・販売計画の最適化-

作成者:斉藤 文徳 投稿日:2018年8月23日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年8月2日、SAPジャパンの年次キーイベントであるSAP NOWがザ・プリンスパークタワー東京で開催されました。昨年までのSAP Forumから名前を新たに、デジタルトランスフォーメーションやインテリジェント・エンタープライズを支援する最新のソリューションや事例をお届けしました。当ブログでは展示会場ブースにおける事業・生販在計画、サプライチェーンマネジメント関連のソリューション説明とデモを中心に数回にわたってご紹介します。

SAP NOWでは、化粧品を中心に製造販売する仮想企業を例に、経営・財務・ブランドマーケティング・営業・生産管理・工場・物流等の業務領域と、本社、生産拠点、物流拠点、販社、直営店舗、卸等のサプライチェーンを一貫したPDCAサイクルを実現するソリューションを展示しました。3つの展示ブースとデジタルボードルームを横断したデモンストレーションです。

生販在・PDCAサイクルの全社統合1

この一回目のブログでは、事業計画と販売計画の連携と機械学習による需要予測の精度向上を展示した最初のブースの内容を紹介します。

販売計画の立案にあたって需要予測を行う際に、需要との関連が想定される複数の要因(天気,SNSなどの外部変数)と過去類似製品の販売実績(製品名、販売数、販売エリアなど)との関連を機械学習エンジンが自動解析し、影響度を算出します。例えば気温、CM広告費、SNSのプロモーション数、twitterのツイート数(化粧品に関するツイート数)、中国からの観光客数などから化粧品の販売実績に影響が強い変数を抽出することができます。またどのくらいの費用や数量をかけたときに影響度が高くなるのかもわかります。

機械学習画面

機械学習(SAP Predictive Analytics)による影響要因の抽出

過去実績や影響度が高い関連変数を使用して、SAP Integrated Business Planning(IBP)の統計的需要予測機能で重回帰分析や三次指数平滑法等を実行し、予測値を算出します。統計手法の選定に関しては、過去のデータをテストデータとしてどの手法が予測精度が高いのかを検証し、精度が高い手法を将来の予測に利用することで需要予測をより確実にします。過去実績のない新製品の市場投入に対しては類似製品の過去実績をデータとして活用します。以下の動画では過去実績や機械学習からの関連変数を利用したIBPの需要予測デモをご覧いただけます。

従来、単なる過去実績からの統計分析だけでなく、様々な関連要因の中で何が影響しているのかを解析するためには高度な統計知識を持ったデータサイエンティストが多くの工数をかける必要がありました。SAPソリューションでは機械学習(SAP Predictive Analytics)がその解析を助けてくれます。そして、機械学習やAIというテクノロジーだけが独り歩きしてどの分野に使えばいいのかが不明なこともありますが、業務と組み合わせた活用を提案することがSAPの最新テクノロジーの特長となっています。

SAP NOWの展示ブースではさらに全社の事業・予算管理と販売計画とを連動し、中期から年次の予算計画と上述の需要予測も含む販売計画との統合管理を説明しました。経営・財務からマーケティング・営業組織を一貫して金額・数量双方の観点から合意された販売計画を立案し、結果や着地見込のレビューを行います。当初の収益計画に達しない状況が発生している場合には、経営・財務視点での迅速な把握に基づき、それを補う新たな販売計画、たとえば新製品シリーズの市場投入の前倒しをブランドマーケティング、営業部門と連携してシミュレートし再計画します。計画管理と連動したコラボレーション機能を利用することで、計画立案や変更の際の部門、担当者間のコミュニケーションや共同作業を円滑に進めることができます。
以下の説明動画では、当初の予算・販売計画から期中の達成状況と見通しを確認し、予算達成のために新製品の市場投入の前倒しを計画するデモをご覧いただけます。最初の動画では、経営や財務担当者が予算管理システム(SAP Business Planning & Consolidation)上で前月までの販売実績から予実差異を確認し、新製品の前倒し導入を検討します。

次に新製品の市場投入前倒しを指示されたブランドオーナーがダッシュボードで状況を確認し、計画調整を実施するデモ動画が以下の2つです。

 

SAPの統合された予算・計画・シミュレーションのソリューション(BPCおよびIBP)を活用することで、利益目標を達成するための販売計画調整を企業の階層や業務、部門を横断して整合性と合意をもって行うことができます。今回ご紹介したのは事業計画から販売計画の部分でしたが、実際には販売計画を調整すれば、在庫計画や生産計画にも影響が出ることになります。SAP Integrated Business Planningソリューションはその名の通り、財務と生販在の計画を企業グループ、部門、拠点を横断して統合(Integrated)し、SAP S/4HANAの実行系とも連動して計画に対する実行も効率化します。
次回のブログではSAP NOWの別ブースでご紹介した、目標とする販売機会を確保(目標サービスレベル・目標欠品率)するための拠点横断の在庫最適化と販売計画の調整を受けた生産能力や資材の制約を考慮した供給調整について説明します。

第2回:SAP NOW展示 サプライチェーンマネジメント 拠点横断の在庫最適化と供給計画

ご質問はチャットWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

●お問い合わせ先
チャットで質問する
Web問い合わせフォーム
電話: 0120-554-881(受付時間:平日 9:00~18:00)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連記事

SAPからのご案内

SAPジャパンブログ通信

ブログ記事の最新情報をメール配信しています。

以下のフォームより情報を入力し登録すると、メール配信が開始されます。

登録はこちら