バイヤー/サプライヤーの双方にAriba Networkがもたらすビジネスネットワークの価値 – SAP Ariba Live Tokyo 2018


世界中のバイヤーとサプライヤーをつなぐAriba Network。グローバルで300万社以上のサプライヤーが登録され、現在も20秒に1社の割合で増え続けています。Ariba Networkによる企業間の年間取引金額は200兆円を超え、Amazon、アリババ、eBayの合計取引額の2倍を上回っています。2018年8月1日に開催された「SAP Ariba Live」のカスタマー サプライヤー パネルセッションでは、Ariba Networkがもたらすサプライチェーン改革について、バイヤーの立場からアディダスジャパンと横浜ゴム、サプライヤーの立場からミスミグループ本社のキーマンが登壇し、調達/購買業務の効率化、購買統制、コストの低減などの観点からディスカッションしました。

調達/購買のグローバル展開は、成功モデルを多く作ること

ドイツに本社を置くスポーツ用品メーカー、アディダスの調達/購買組織は、アメリカ、欧州、アジアパシフィックのリージョン単位で業務を遂行しており、日本法人のアディダスジャパンは、アジアパシフィックに所属します。日本の間接材購買業務は3名体制で、年間数百億円規模の調達を実施。毎年KPIが定められ、年間数億円規模のコスト軽減が求められているといいます。

グローバルではSAP Aribaを採用していますが、日本ではソーシング(業者選定業務)機能のみを現時点では利用。アディダスジャパンのグループファイナンス グループプロキュアメント シニアマネージャーの 雀部浩一氏は、「SAP Ariba活用のメリットは、サプライヤー決定プロセスの情報収集過程におけるRFI、RFP、RFQをすべてオンラインで対応できることと、サプライヤーを探す手間が省けることにあります」と語ります。

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(写真左から:SAPジャパン 太田  /  アディダスジャパン 雀部 氏 / 横浜ゴム 廣川氏 /
ミスミグループ本社 金田氏)

同社ではグローバル統一の調達/購買ポリシーのもと、数百万円以上は調達/購買部門が関与し、数千万円以上の間接材の調達はSAP Aribaを利用することが義務付けられています。それによって数少ないリソースを活用し、最大の効果を出すことを目的にしています。アディダスジャパンでは現在、発注/支払にSAP SRMを利用しており、請求処理は中国・大連のBPOセンターにアウトソーシングしています。基本的には各部門がセルフサービスで申請を上げ、金額に応じて上長が確認、承認するプロセスを取っています。今後は数年以内にSAP SRMからSAP Aribaに切り替え、調達コストの軽減に向けてフル活用していく考えです。

調達/購買業務のグローバル展開について、雀部氏は次のように語っています。「国のProcurement部門の成熟度や重要度に応じて優先順位を付けることが大切です。例えば、アディダスでSAP SRMを導入した際、ドイツ、アメリカに次ぐ3か国目が日本でした。日本の購買プロセスに対する問題意識の高さから、導入しやすい国として本社が優先順位を上げたためです。調達/購買のグローバル展開では、成功モデルを多く作ることが重要だと思います。」

SAP Aribaの導入により取引先とのコミュニケーションを強化

FAなど自動機の標準部品や、自動車や電子機器などの金型用部品の製造と、生産現場で使用する製造副資材や消耗品などを販売する流通事業を展開するミスミグループ。アジア、北米、欧州を中心にグローバルネットワークを展開する同グループは、4年ほど前からSAP Ariba経由で顧客との取引を開始しました。

ミスミグループ本社のMIGサービスプラットフォーム MIGオープンネットワーク推進室 ジェネラルマネージャーの金田博之氏は「特に製造業におけるバイヤー顧客の購買のグローバル化には、e調達による電子化/自動化/標準化/可視化に加え、共通部品化による在庫の抑制、購買統制による価格の安定化が必要です」と語ります。その他にも生産ラインを海外に展開する際、日本で調達していた部品が海外で調達できるかを確認することも重要です。

ミスミグループがSAP Ariba経由でのバイヤー顧客との取引によって得られた効果の1つが、顧客側とのコミュニケーション強化です。特に各地域の現場や経営層と、バイヤーとサプライヤーの立場を超えて議論することは重要です。双方の経営課題を理解しながら目標を設定し、共通のKPIをもとに目標の達成を目指すことがパートナーシップの強化につながるといいます。

また、SAP Ariba経由でのバイヤー顧客との取引開始後、ミスミグループと取引をする顧客の調達コストは平均5~10%削減されました。コミュニケーションの強化によって業務のスピードは確実に速まり、1部品あたりの調達時間は22分から9分に短縮されています。また、グローバルレベルのコミュニケーション環境の強化は、結果としてバイヤー顧客の調達の最適化とグローバルオペレーションの加速につながりました。金田氏は、SAP Aribaとの取引を開始してからの4年間を振り返り、「1人で始めた組織が現在は10名体制まで成長し、ビジネスの投資の1つとしてSAP Ariba経由でのお客様との取引の価値は十分に得られました」と話しています。

SAP Aribaを介して、超大手から小規模なサプライヤーまで取引を拡大

タイヤ製造大手の横浜ゴムは2003年にオンプレミス版のSAP Aribaを導入し、日本国内で10数年にわたり利用してきました。2017年にはクラウド版のSAP Aribaへの切り替えを決定し、現在は移行作業を進めています。2019年度以降は海外工場にもSAP Aribaを展開して、グローバル統合を進めていく構想です。

「オンプレミス版のSAP Aribaは現在、購買申請の『Buying and Invoicing』のみの利用ですが、クラウド版ではソーシングの機能を追加して、新規のサプライヤー開拓による調達コストの軽減を目指す考えです。グローバル展開に向けては、調達/購買のコストの可視化から着手します」と資材調達部 部長の廣川靖夫氏は語ります。調達部門は従来、タイヤ工場の建設における大規模な生産設備の調達には関わっていたものの、文房具など少額の間接材については関与してきませんでした。そこで今回は調達全体をグローバルで可視化して、海外工場の生産性向上を目指すという構想を持っています。それによって海外とのコミュニケーションを活性化させ、さらなるコスト削減や業績の向上を目指すのが同社の狙いです。また、SAP Aribaを介して、超大手から小規模なサプライヤーまで新たな取引の拡大も期待しています。

バイヤー、サプライヤーと立場がそれぞれ異なる3社の取り組みからわかるように、調達/購買では双方のパートナーシップが重要であることが浮かび上がってきます。それぞれの役割分担を切り分ける、グローバルではBPOを活用するなど、組織全体でサプライヤーを巻き込んでいくことが重要です。モデレータを努めたSAPジャパンのDigital Transformation Organization ディレクターの太田 智は、「3社のディスカッションから、バイヤーとサプライヤーの共創が、結果としてコスト削減や業務効率を超えた、経営全体に貢献していくことがおわかりいただけたかと思います」とセッションを締めくくりました。