BIによる「気づき」を「アクション」につなげる理想の循環サイクル

作成者:奥野 和弘 投稿日:2012年12月5日

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こんにちは、SAPジャパンの奥野です。前回の連載では、情報系システム全体にわたってデータの精度と鮮度を高めることが、BIを活用した信頼できる情報の提供には不可欠というお話をしました。

しかし、いくらリアルタイムな判断が可能になったとしても、それを具体的なアクションにつなげることができなければ、せっかくのデータの精度と鮮度も生かされません。企業の経営者や情報システム担当者は、情報をリアルタイムで入手できる仕組みを構築するだけではなく、同時にその情報にもとづいてリアルタイムにアクションできる仕組みを考えていく必要があるのです。

SAP社内では、以前からしばしば “Process in BI” という言葉が使われてきました。これはBIによって発見された「気づき」にもとづいて、アクションのプロセスを動かすことを意味しています。

以前このブログでも書きましたが(SAPが“テクノロジー製品”に注力する理由とは?)、SAPはテクノロジー製品も取り扱うベンダーです。ERPだけではカバーし切れないビジネスプロセスも、これらの製品群によって最大限連携させていくことで、リアルタイムでのビジネスプロセスを促し、パフォーマンスを最大化していくことがSAPの狙いです。

具体的には、企業独自のビジネスプロセスをIT化するBPMのテクノロジー(SAP NetWeaver Business Process Management)や、一般にEAIと呼ばれる異種アプリケーション間の連携を行う基盤(SAP NetWeaver Process Integration)、さらにはモバイルアプリケーション構築のためのプラットフォームなど、多種多様なテクノロジーを提供しています。これらのテクノロジーを情報系システムと連動させることで初めて、「リアルタイムな情報」を「リアルタイムなアクション」へつなげるプロセスの構築が可能になるのです。

「気づき」を「アクション」に結びつける循環サイクル

リアルタイムな情報をリアルタイムなアクションへとつなげるプロセスの構築には、以下の3つの要素が必要になると考えられます。

  1. ビジネスの現場から業務系・情報系システムまでの情報を分析し、判断、そして最終のアクションにつなげること
  2. さらに、アクションの結果を現場にフィードバックして、再びアクションまでのプロセスを実行できること
  3. 上記のサイクルをリアルタイム情報にもとづいて、可能な限り迅速に回すこと

昨今「ビッグデータ」という言葉がよく使われますが、このビッグデータの価値は情報系システムが業務系システムとうまく連携することによって、はじめて享受できるものだと私は考えています。なぜなら、情報系に入ってくるデータの大半は、いずれかの社内システムから来るはずだからです。

BIによる「気づき」は、最終的にアクションによって活かされ、その結果が業務の現場に戻され、データとして蓄積されます。もし、こうした業務の実態をリアルに伝えるデータが情報系と連携する仕組みがなかったら、リアルタイムなデータ活用は実現しません。そればかりか、気づきからアクションまでを一気通貫で結ぶサイクルが回らないままでは、業務プロセスの改善はありえないのです*1

*1:本ブログバックナンバー「ビッグデータかどうかは重要ではない。速いかどうか、である。

SAPのテクノロジー基盤が実現するリアルタイムな業務プロセス連携

では、「リアルタイムな情報をアクションへとつなぐ業務プロセス」とは、具体的にどんなものでしょうか。例を挙げてみます。

  1. BIツールを利用して、ある製品の売上が急速に悪化していることに気づく=気づき
  2. 状況がさらに悪化するのを防ぐため、即座に値引きを実施したいと考える=判断
  3. 担当者が、状況を示すBIレポートを添付して、即座にBPMで構築した値引き承認プロセスを開始する=アクション

上記のようなスムーズなプロセスの実行が、SAPのテクノロジープラットフォームを利用して構築されたシステムであれば可能なのです。もし、これが他の情報系に対象を限定したデータ連携やプロセス連携機能を持たないBI分析システムであれば、「判断」と「アクション」の間には大きな壁が立ちふさがってしまうでしょう。

SAPのテクノロジープラットフォームを基盤に、さらにプロセスは進行します。

  1. 緊急値引き承認を求める通知が、承認者のモバイル端末に到着する
  2. 承認者はモバイルBIを利用して状況を確認し、モバイル端末から即座に値引き承認を出す
  3. 承認された値引きを売場の価格表示に反映させる。SAP NetWeaver Process Integrationを介して業務系システムに完全自動で反映させることも可能

価格変更までのプロセスが完了した後は、変更後の売上データが業務システムに追加され、再びプロセスを回していくことになります。こうしたBI情報活用のサイクルが可能なのも、SAPがあらゆる企業情報をトータルにマネージメントできるベンダーだからです。

SAPは、単なるERPベンダーでもBIベンダーでもありません。業務系システムと情報系システムの両方でナンバーワンのベンダーであり、それがもっとも重要なことです。それは、SAPが業務系システムと情報系システムを連動させ、そのサイクルを極限まで速めることでお客様企業に貢献できるという事実を、製品群と実績をもとにリアルに語れる数少ないベンダーだということを意味しているのです。

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