・ITの最新技術、使えてますか?
前回は「SAP Predictive Analyticsを利用したビジネスでのデータの活用方法」をインディアナ州の政府機関の事例と共にお伝えさせて頂きました。予測分析を業務に取り入れていく事が重要だとご理解頂けていれば幸いです。
今の時代、AIや機械学習などの言葉がメディアでも会社内でも聞く機会が増えたのではないでしょうか。一方でどう使うのか疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に、「多くのCEOが最新のIT技術は大きなビジネスインパクトを残すと回答している一方で、わずか5%の企業でしか最新のIT技術の活用方法をマスターできていない」と海外調査が出ています。
では、機械学習による予測分析を例に、AIや機械学習などのITトレンドを社内でどのように活用していくべきなのかをお伝えします。
・予測分析の最初の一歩って?
『機械学習を活用した予測分析を行う。』と考えるとどうしても専門性を高く感じます。ですが予測分析の活用方法を見つけることは、業務を行っている中で問題意識がある方なら誰でも取り組めます。実際に分析前に必要なステップは以下の通りです。
- 解決したい業務課題を見つける
- 課題の要因を構造的に考えてみる
- 仮定する
- 課題と要因の関係性を把握して、課題解決の仮説を立てる
- 仮説に対しての予測分析のターゲットを決める
次に「前年度より契約顧客率を向上させる」という例題を当てはめてみましょう。
- 既存顧客を維持し、新規顧客数を増加させたい
- その為には新規顧客の獲得と、解約の課題を構造化させる
- 今回は解約(離反)の要因を詳細化する→「離反する原因がわからない」「離反する顧客の属性がわからない」「離反しやすい時期(契約年数)がわからない」「離反する原因が他社の新商品や新サービスの切り替えなのか、自分たちに不満があるのかわからない」等
- 離反する可能性のありそうな顧客に直接コミュニケーションを行うことで、離反を止める事が出来、顧客維持に繋がるのではないか
- 4の仮説が適用されるべき、離反する可能性のある顧客を予測する
仮説の細分化により予測分析のターゲットを決める事が出来ました。しかし次のステップとして仮説に対してのデータマイニングといった統計的アプローチは専門性の高い作業です。優れたデータサイエンティストや統計学者でもこの作業は時間や工数がかかります。迅速且つデータサイエンティストも新しく雇うことなく分析したい。その一つの解決策として今回SAP Predictive Analyticsをご提案します。
・SAP Predictive Analyticsで始める予測分析
もしも、競合他社が同じ課題を持っていたならば、先にアクションした方がビジネスチャンスをつかめるとは思いませんか?業務課題発見後の予測分析は出来るだけ早い方が良いビジネス結果が期待できます。それをデータマイニングの自動化により、迅速なビジネスアクションを可能にしたのがSAP Predictive Analyticsです。実際に下の図をご覧ください。よくある分析アプローチとSAP Predictive Analyticsの比較です。
通常のデータマイニングアプローチは、データ加工、分析手法とアルゴリズムの決定、汎用性のある分析モデルの選択、検証、活用まで手作業なので数週間から数か月かかります。一方でそれらを自動化したSAP Predictive Analyticsなら
- データマイニング時間を短縮することで、トライ&エラーに時間をかけられる
- 同様に他のタスクに時間をかけられる
- データマイニングプロセスの自動化により、データサイエンティストを必要としない
以上の3つを可能にしています。
・業務アプリケーションと直接つながる可能性
SAP Predictive Analyticsを活用する事は、予測分析を簡単且つ迅速に使えるだけではありません。実際に作成されたモデルをSAPの他のツールと組み合わせる事で予測分析の活用方法が広がります。
実際にCisco社、従来バラバラのシステムに存在していた受注・案件・予算・サプライチェーン・人事データなどを SAP HANA を使った DWH に集約統合して、SAP Predictive Analytics と組み合わせて分析を行いました。数ある分析ツールの中でSAPソリューションに決めた理由には、データサイエンティストや統計学者を集める必要がなかったところだとCisco社は語っています。
導入後、業務プロセスが迅速でシンプルになりました。さらに販売された製品間の相関関係を発見することで、より効果的なクロスセルや製品開発が可能になりました。既に1000億円以上の導入効果を得られたと語っています。
他にも、SAP Predictive AnalyticsはSAPの他の業務アプリケーションに、予測分析をコードレスで組み込むことができます。要するに、業務アプリケーションと連携することでデータの収集から分析・活用までを一貫することがが可能になり、時間を大幅に削減する事がSAPソリューションでは可能です。時間の削減により他の業務への時間の確保や、試行錯誤の時間の確保などのメリットが生み出されます。
今回は、最新IT技術を使った予測分析の始め方と、SAPソリューションが出来る事をお伝えいたしました。予測分析を業務に取り入れてビジネス課題を解決したい方、SAPと共に何ができるか最初の一歩を踏み出してみませんか?