失敗のないERPの導入を目指すには?(第2弾)~成功事例に学ぶポイント


従来の基幹システムでは解決し得なかった問題を解消し、経営資源をより有効に活用するため、情報を一元管理するERPの導入が多くの企業で進んでいます。機能も多彩で、効果的に利用すれば大きな成果が得られるEPRですが、導入に失敗して活かしきれていない企業が存在することも事実です。ここではそんな失敗をなくすため、ERPの導入において企業が取り組むべき内容をまとめています。

ERPは企業の戦略において重要なシステム

ERPを企業の基幹システムとして導入することで、企業活動において発生する多くの情報管理を一元的に図る事が可能になります。いくつもの部門を同時に動かし、必要に応じて互いに連携させていくために、ERPシステムが大きな役割を担うのです。

テクノロジーの進化により、ERPシステムが提供するサポートは、その範囲をより広げ、スピーディーな経営的判断を支援します。蓄積されたデータに対する定型的な処理だけでなく、機械学習の活用も組み込んで今後の傾向などを分析します。現状把握に加え、これまでのデータから将来予測の精度を高めることで、経営戦略の決定に役立ちます。

特に現在、ERPシステムの利用環境がクラウドに移行しつつあることから、よりリアルタイムの意思決定の実現に向かっています。

ShippainonaiERP2-1S

ERP導入には失敗例もある

ERPの導入は、多くの企業に業務課題の解決や、生産性の向上をもたらすでしょう。しかしERPの導入による失敗例も起きています。ここではERP導入に伴う典型的な失敗パターンを簡単に紹介します。

ひとつは、企業がERP導入に対する効果や目標設定を、漠然としか理解・把握していないケースです。何を実現するのかが曖昧であれば、必然的にどのような運用をすべきか、具体的な理解もできません。

ほかにも、導入にかかるコストへの認識不足や、運用にあたり必要な機能を上手く使えていないケースもあります。

EPRは魔法のツールではありません。使いこなすのは人であり、多くの失敗例ではその人的要素が関係しています。この部分の改善をすることで失敗を防ぐようにしなくてはなりません。

失敗しないためには事前の予測や準備が大切

ERP導入で失敗を回避するには、導入してからの対応ではなく、事前の想定や準備が重要になります。

例えば株式会社日立ハイテクノロジーズでは、EPRとして「SAP S/4HANA Cloud」を採用していますが、導入に当たってはプロジェクトを結成し、SAP担当者とのコミュニケーションを取りながら進めることで、スピーディーな導入に成功しています。ShippainonaiERP2-2SEPRはその導入が終わりではなく、その後に如何に運用をするかに意味があります。自社にERPを導入する際には、どのような事態が起こり得るのかを予測し、それに対応できるようにしておかなくてはなりません。導入するERPシステムへの理解はもちろん、既存の業務やシステムに対する受け入れ準備、摺り合わせを整えていく必要があるでしょう。

以下では、失敗しないためにできることとして、コストの予測や運用のための体制、目標設定の確立について紹介していきます。

導入で発生するコストの予測

ERPの導入によりどのようなコストが発生するのかを計算し、実際に運用したときの効果などから、総合的に可否の評価をしていきます。そのために、まずは現在かかえる課題を解決することで、どれだけ損失が減り、利益を高めることができるのかを考えます。その上でERPシステムの機能を理解し、どの程度のコストで、どれだけの効果が期待できるのかを弾き出します。

例えば、費用は導入の形式によっても変わってきます。従来は自社内の環境にERPシステムを組み込むオンプレミス型が一般的でしたが、近年クラウド化が進んだことで、必ずしも自社内にサーバを用意する必要はなくなりました。オンプレミスとクラウド、どちらもメリット・デメリットがあり、企業の環境によって、どちらが良いかは変わってきます。しかし、クラウド型の方が初期費用が少なく、導入期間も比較的短くて済むため、一般的には好まれる傾向にあります。機能面でのメリットと併せ、低コスト・短期間で利用できることから、多くの企業がクラウドERPを導入しています。

運用フローなど体制の確立

導入の決定に伴い、実際に運用をしていくための体制を整える事になります。その際は、ユーザー視点でできるだけ複雑さを排すること、またサービス提供元とのコミュニケーションを図り、研修等を通して一般社員の理解を深めることも重要です。
日立ハイテクノロジーズにおける事例でも、ワークショップを通して機能の理解を進める事で、EPRの導入に成功しています。「SAP S/4HANA Cloud」など、クラウドERPが短期間での導入を可能にしている理由は、システムが「Fit to Standard」の考え方に基づいているためです。業務要件に機能が合致するかではなく、システムを通して提供される機能に、既存の業務が合わせられるのかという見方をします。そのため運用フローを理解し、企業側の体制や業務環境を整えていくことが、導入成功のために非常に重要となってきます。

達成したい目標をできる限り明確に

ERPの導入で失敗しないためには、そもそもの導入目的を明らかにしておくことが重要です。なぜ導入する必要があるのか、そして導入によって何を目指すのか。これらを明らかにしておくことで、導入に向けた能動的な取り組みがしやすくなります。

日立ハイテクノロジーズの場合、多国間に展開している海外の事業部門の買収がその導入背景にありました。これに伴いIT基盤を立ち上げ、役割が異なる基幹システムを統合することをひとつの目標としたのです。ERPは、多くの業務システムと比べると長期的な導入期間を要します。計画的な導入を進めるためにも、目標はできるだけ明確にしておくことが望ましいのです。

デモ版があれば利用してみる

実際の導入に先立ち、デモ版でEPRの利用体験を試せる場合があります。具体的なイメージを掴むためにも、是非活用しましょう。機能性だけでなく、操作性など様々な視点で評価を下せるようになります。

●参照1:失敗のないERP導入を目指すには?(第1弾)-確認したい4つのポイント
●参照2:日立ハイテクノロジーズ導入事例ホワイトペーパー

企業がERPの導入で失敗してしまう背景には、そもそも企業側での準備不足があげられます。こうした失敗をなくすためには、事前に目標を明確化して費用対効果の評価を行うと共に、既存の業務や社内の体制をシステムに合わせる準備をしておく必要があります。
「SAP S/4HANA Cloud」は、低コストでの導入ができるだけでなく、準備段階からそうした望ましい社内環境を作り上げていくために、担当者との連携や支援が望めます。クラウド環境により導入へのハードルも低いため、今後ERPの導入を考えている企業にとっては、有力な選択肢になるでしょう。