クラウドERP導入は実際どのようなステップで行われるのか


クラウドERPの導入を考えている企業様向けに、準備から運用までの一連のフローをご紹介します。
実際にERPの運用をして、業務の最適化を行うには、入念な準備が必要です。費用対効果をしっかりと見定めイノベーションに取り組みましょう。
ここでは、オンプレミスとクラウド型のシステムのフローをご紹介します。

的確なステップを踏むことで短期間での運用化が可能

ERPを導入して運用するまでをスムーズに行うには、各工程のステップを的確に踏まえていくことが重要です。というのも、ERPの導入に必要な事前準備を怠ってしまった場合、運用の際に混乱をきたしてしまう恐れがあるからです。

そのため、一つひとつのステップを確実にOKサインが出るように、工程を経ていく必要があります。

ここではSAPの提言するクラウドERP導入までの必要なステップをベースに、導入の流れを見てみましょう。

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発見のステップ

このステップでは、クラウドERPを導入する前に自社の現状分析を行い、ソリューションの機能とそのメリットを理解した上で、目標に合ったERP製品の選択を行っていきます。製品の選択の際は、業務との間にクリティカルなギャップがないかなど、スコーピングの実施を行って、導入後に問題が起きないように念入りに確認をします。

そして、システム導入のスケジューリングや、導入プロジェクトチームの編成、メンバー教育などを行います。ERPをクラウド型で運用をする場合は、オンプレミスとの違いを把握していくことが重要です。

準備のステップ

実際に製品を導入した際に大きなギャップがあると混乱が生じてしまいますので、そのようなことがないように現状の業務との差異を明確にします。

この工程をクラウドERPでは「フィットトゥスタンダード」と呼んでいます。クラウド化への移行時には、あらかじめ準備されたプロセスを利用していただくため、システム自体の大幅な改変はできません。そのため、企業側が業務を標準化できるかを考えていきます。

探索のステップ

さらに推し進めて「フィットトゥスタンダード」を行っていくために、以下のようなポイントをシステムに合わせて標準化していきます。

  • ローラカイゼーション
  • 機能
  • レポート
  • 組織
  • 業務の範囲

オンプレミスの場合は、これらのギャップをシステム上でどう埋めていくかを考えながらすすめていきますが、クラウドERPの場合は、全てをシステムの改変で埋めるということはできないので、どこまで業務を合わせることができるかの判断がひつようとなります。アウトプットが同じであれば業務の変更で対応できないかを考えていきます。

実現のステップ

デプロイに向けて、ユーザーチームのキーとなる担当者が開発やテストを本格に行っていきます。

要件定義に沿って機能開発を行い、それに伴ったシステムの検証を行います。これは、個別機能のシステムテストから全体の統合テストまでを内包した幅広いテストです。最終的には、ユーザーが作成するテストケースでUATを実施していきます。

また、現在使用しているシステムからERPへデータ移行をする場合は、マスターデータやトランザクションデータの変換プログラムを作成して利用します。

この工程はクラウドERPも同様で、カスタマイズと業務のすり合わせを行っていきます。

デプロイのステップ

ここからは実際に導入をして、業務とシステムの融和が行われているかを確認していきます。

実際には、マスターデータ・DBの作成や入力、データコンバーション、システム移行時の在庫の積み増しなどを行いながら、新しいシステムを使えるように利用者を教育し、社内システムへの浸透を図っていきます。最終的には、ビジネスプロセス・リエンジニアリング(企業の業績を最適化)を目指していきます。

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運用のステップ

導入後は、システムにトラブルがあった際のフォローアップ体制の作成や、実際に利用をした上で、システムを改善するための体制などを整えていきます。

そして、導入前にあった課題をクリアできているか検証していくことになります。

短時間で運用を始めるならクラウドERPで

このようにクラウドERPの導入までの一連のフローを見てきましたが、オンプレミスとクラウド型では大きな違いがあります。

オンプレミスは、導入企業ごとに自由にシステムを書き換えることが可能ですが、クラウド型は、ある程度システムが用意されているソリューションのため、全てを書き換えるというわけにはいきません。

そうすると、一からシステムを作る方が多彩な業務に対応ができるのでは?と思うかもしれませんが、オンプレミスのようにサーバーを組み立ててシステムを一から書き換えるというと、コストと時間が大きくかかります。

その点、クラウド型の場合は、すでにある程度用意されたシステムを、インターネットを介して利用するので、導入も短期間で行えて、コストも安く済みます。

したがって、費用対効果の面でも良いということが分かります。

これから、ERPを導入する企業も、一度クラウドERPの利用を考えてみてはいかがでしょうか。

導入のためのツールが用意されたERPであればさらに短期間での導入も可能

SAPの場合は、素早く低コストによる導入を実現するために『SAP Activate』というさまざまなツール群を準備しています。例えば、クラウド型の『SAP S/4HANA Cloud』にこの「SAP Activate」を適用する場合、「SAP Activate」の中の「SAP Best Practices」(標準テンプレート)を導入企業に当て込むことで短期間での導入を実現します。

この「SAP Best Practices」はモデルカンパニーと呼ばれるビジネスプロセスを中心に成り立っています。コンテンツライブラリーにはさまざまなビジネスシナリオがあり、それぞれに合わせたビジネスフローとテストスクリプトが用意されています。
これらを上手に活用することで素早く低コストのインプリメンテーションの実現が可能となります。

実際クラウドERPであるSAP S/4HANA Cloudを導入した株式会社アイ・ピー・エスは、途中バージョンアップ待ちの待機時間があったにもかかわらず7月から本格的に稼働したこの導入プロジェクトを2018年1月に正式稼働させています。

●参考1:日立ハイテクノロジーズ導入事例

●参考2:アイ・ピー・エス導入事例

準備から運用までの一連のフローを見てみると、導入する前までの工程が長いことが分かります。
これは、ERP導入で一番重要なのが、業務とシステムとのすり合わせだからです。
この部分がしっかりと詰められていないと、実際に運用をした時にトラブルが続発してしまいます。

これから導入を考えている企業様もそのことを念頭に置き、しっかりと準備をしてから運用すれば、ERP導入を成功に導くことができます。