SAPアプリケーションの機械学習による自動化と予測


今回は、SAPアプリケーションの機械学習による自動化と予測に関してご紹介します。

SAPは、企業のデジタル戦略を支える最新プラットフォームとして「インテリジェントエンタープライズ」を提供しています。

この「インテリジェントエンタープライズ」は、以下の3つの要素で構成されます。
・インテリジェントスイート
・インテリジェントテクノロジー
・デジタルプラットフォーム
今回ご紹介する機械学習は、「インテリジェントテクノロジー」の核となる技術です。

機械学習自体は、様々な用途で活用されていますが、SAPは、ビジネスプロセスそのものにAI(機械学習)を組込み、業務をより早く、正確に進めることが出来る世界を目指しています。

業務アプリケーションにおける機械学習の必要性

SAP製品に限らず、ここ数年、業務アプリケーションにおける機械学習適用が活発化しています。

下図は、機械学習の適用例になります。今までは、何かしら予測する場合、ルールベースで対応したり、専用の外部システムで対応していました。
SAPは、これらの予測機能をSAPアプリケーション内ですぐに実行出来るように、予測分析のテンプレートを提供します。また、個別要件に応じ新規の予測モデル開発にも対応します。

SAPアプリケーションの機械学習適用範囲

機械学習において重要なものは何か? 答えは、品質の高い大量のデータ。

とりわけ、ERPを中心とした業務アプリケーションには、複数部門のデータや異なる業務データを統合した環境、且つ厳密な入力ルールにより品質の高いデータが蓄積されており、分析データとしては最適です。言い方を変えれば、機械学習による効果が見込める分野です。

  • 予測分析において、異常値や欠損値が入っていると正常な分析は出来ません。
    高品質の大量データを利用することにより、様々なデータパターンを学習し、より精度の高い予測結果を導き出すことが出来ます。

機械学習を業務アプリケーションに適用する場合の課題

これまで見てきた通り業務アプリケーションに対して機械学習の適合性は高いのですが、一方で実際にはそれほど多くの企業が実践出来ているわけではありません。
それは主に2つの課題に直面するためです。その2つの課題と、それに対してSAPが提供する解決策について考えていきたいと思います。

①予測モデル作成:データサイエンティストが時間をかけて対応する専門領域

 SAPによる解決!

 ・SAP Predictive Analyticsを利用し、業務ユーザーでも簡単に予測モデルを作成出来ます。
 ・SAPがテンプレートとなる予測シナリオを提供します。

②予測モデルのアプリケーション組込み:手作業や専用プログラムを別途開発

 SAPによる解決!

 ・SAP Predictive Analytics Integratorのフレームワークにより、予測モデルを簡単に
  SAPアプリケーションに組込みます。
 ・日々の運用もSAPアプリケーション側で対応(モデル管理や再学習など)します。

この2つの課題を解決出来ることは、機械学習運用において最重要です。

 

順番が前後しましたが、下記製品と具体的な予測シナリオをご紹介します。

・SAP Predictive Analytics:予測モデルの自動作成ツール
・SAP Predictive Analytics Integrator:SAPアプリケーションに予測モデルを組込むフレームワーク

SAP Predictive Analytics ( PA )

機械学習の自動化ツールです。近年、この手のツールは色々出てきておりますが、PAは機械学習を商用のアプリケーション化した初めてのソフトウェアで、歴史も古く実績も豊富な製品です(分析アーキテクチャも確立されています)

PAは、KXEN社の製品になります。KXEN社自体は1998年に設立され、機械学習専業で事業を営んできました。2013年にSAPが買収し、さらなる機能拡張を続けています。SAP HANAや各種SAPアプリケーションとの連携に関しても注力しており実装済みです。

SAP Predictive Analyticsの概要説明に関しては、過去ブログをご参照ください。

SAP Predictive Analytics Integrator ( PAi )

SAP Predictive AnalyticsとSAPアプリケーションを連携する仕組みです(下図参照)
SAPアプリケーションとは、SAP S/4HANAはもちろん、SAP C/4HANAやSAP SuccessFactors、その他SAP製品との連携が可能です。

PAi

PAiは、ABAP / HANAレイヤでPAの予測モデルを実行する為の複数の機能・サービスから構成されます。また、モデルの再学習や結果を確認するためのFiori画面が付属します。
SAP S/4HANAに付属する標準の予測シナリオを実行するだけであればPAは不要です。

・標準の予測シナリオをカスタマイズしたり、新規モデルを作成する場合はPAが必要です。
・「SAP Cash Application」や「SAP Brand Impact」等のアプリケーションは、SAP Leonardo Machine Learning Foundationから構成されており、PAやPAiと仕組みが異なります。各種アプリケーションに関しては、過去ブログをご参照ください。

SAPのノウハウを活かし、予測分析の具体的な使い方を組込み済

どのような予測シナリオ、ユースケースがあれば、業務ユーザーがより効率的・効果的に作業を行えるか?
SAPは多くのERP導入実績より得たノウハウを集結しBest Practiceとなる予測シナリオを生成、予測値を参照するための画面も合わせて、SAPアプリケーションの標準機能としてリリースします。

SAP S/4HANAでは昨年リリースのバージョンからスタートし、新しいリリースバージョン毎に、以下のようなユースケースシナリオを追加、今後も順次追加のロードマップがひかれています。

・SAP S/4HANA Cloud 1708 – 輸送中在庫予測 (Produce)
・SAP Hybris Cloud for Customer 1708 – 案件確度予測
・SAP S/4HANA On Premise 1709 ‐ 数量契約消費予測 (Procurement)
・SAP S/4HANA Cloud 1802 – 見積り受注確率予測
・SAP S/4HANA Cloud 1805 – 配送遅延予測, 取引先支払タイミング予測, プロジェクト経費予測

輸送中在庫予測(Stock in Transit) のコンセプト動画をご覧ください。

 

では、予測シナリオのBest Practiceって何だろう? と思われる方。
SAP Business Warehouse(SAP BW)のビジネスコンテンツを思い出してください。

例えば、BIでレポート作成する場合、複雑なDB構造を全て把握するのは非常に困難です。
SAP BWのビジネスコンテンツを利用すれば、レポートやダッシュボード構築においてデータモデルを教科書的に活用したり、要件によってはそのまま利用することが出来ます。

SAPが提供する予測シナリオも考え方は同じです。標準シナリオをそのまま利用することも出来ますし、カスタマイズが必要なもの、もしくは新しい予測モデルが必要な場合、PAを利用して簡単に対応することが出来ます。
SAP提供の予測シナリオは、あくまでもSAPアプリケーション内のデータのみを利用したものになりますが、他システムのデータと連携したり、外部データ(例:天気、為替、SNS、競合情報など)を活用するような、新しい予測モデルを作成することも可能です。

まとめ

SAPアプリケーションへの機械学習適用イメージをおおまかにご理解いただけましたでしょうか。機械学習のアプリケーション適用は、SAPの戦略の中でも重要な位置付けと考えており、今後も多くの予測シナリオがリリースされます。

予測モデルの開発~アプリケーション組込み、そして日々の運用も自動化出来るようになった今、機械学習を活用し業務プロセスの自動化・効率化を目指してみてはいかがでしょうか。

是非、SAPアプリケーションと一緒に、ビジネスの新たな価値を創造して行きましょう。

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