eコマースサイトのショッピングエクスペリエンスを旅行予約でも実現 ー ドイツTUIの挑戦


皆さんは旅行の予約をどのようにされていますか? 業務上の出張であれば、提携先の旅行会社にメールなどで連絡して予約手続きを進めたり、SAP Concurをお使いの場合は、自分自身でフライトやホテルを検索し予約される方も多いかもしれません。SAP Concurでは経費精算だけでなく、コーポレートポリシーに合った出張予約も可能であり、複雑な旅程の出張でなければセルフサービスで予約が可能です。(下記画面ご参照)

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プライベートな旅行ではどうでしょうか? おそらくこのブログを読まれている方の多くはオンラインで予約を済まされる方が多く、旅行会社の店頭でパンフレットなど見ながら対面で予約される方は極めて少ないのではないでしょうか?

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OTAの躍進と新規事業者の参入、リアル事業者のオンライン強化、メタサーチ

オンラインでの旅行予約に特化したOTA(Online Travel Agency)として、グローバルではExpedia、Booking.comという米系2社に加え中国のCtripの3社で合計8割以上の圧倒的シェアを有しています。国内でも楽天トラベル、じゃらんといったOTAがシェアを伸ばしてきており、楽天は旅行業界で国内トップのJTBに次ぐ2位の売上にまで成長しています。この急成長する市場を狙って、DMM、LINEなど異業種からの新規事業者の参入も相次いでいるほか、JTB、近畿日本ツーリストといった多くの店舗を構える旅行会社もオンライン販売を強化しています。更には、OTAサイトのあまりの増加に伴い、OTAサイトを横断的に検索するtrivavoやtripadvisorといった「メタサーチ」サイトも増加してきています。(いわばカカクコムの旅行業版)

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ダイナミック在庫の増加とFIT化

旅行会社やOTAは、基本的に販売している商材(ホテルの客室やフライトの座席など)を自社で保有している訳ではなく、予め客室や座席を仕入れ、在庫として管理し、自社で値決めして販売しています。このような従来型の在庫を「スタティック在庫」と呼んでいますが、近年は利用者が入力した検索条件に応じて、リアルタイムにホテルやフライトを検索する「ダイナミック在庫」の比率が高まってきています。ホテルチェーンや航空会社にとっても需給状況に応じて、ダイナミックに販売価格を調整することで売り残しリスクを低減したり、より高い価格で販売できる可能性もあることから今後主流になってくると考えられます。

旅行会社やOTAは、ホテルやフライトなどの商材を組み合わせ、パッケージツアーも販売していますが、旅程と価格が固定されたものよりも、自由に旅程や付帯サービスを選択し、価格も変動する「FIT(Foreign Independent Traveler)」タイプの比率が高まってきています。旅行会社はこのような顧客嗜好の変化に対応したシステムを構築し、多くの競合に打ち勝って行く必要があります。

eコマースサイトのショッピングエクスペリエンスを旅行予約にも

SAP C/4HANAは、営業活動のみに焦点を当てていた従来のCRMソリューションを刷新し、全てのボトルネックを排除し、最良のカスタマーエクスペリエンスを実現することを目的とする製品であり、近年買収した製品を統合した下記の主要コンポーネントで構成されています。

  • SAP Customer Data Cloud(買収したGigyaを含む)
  • SAP Marketing Cloud
  • SAP Commerce Cloud(買収したHybrisを含む)
  • SAP Sales Cloud(買収したCallidusCloudを含む)
  • SAP Service Cloud(買収したCore Systemsを含む)

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これまで日本の旅行業界では、スクラッチでシステムを構築することが大半であり、ダイナミック在庫やFITといった新しい業務要件、更には個人情報保護に向けた欧州GDPRやIATA NDCなど新たな規制対応に多大な対応コストを支払ってきています。

ドイツ ハノーバーに本拠を置く世界有数の旅行会社であるTUIは、SAP C/4HANAを活用して旅行予約システムを再構築しこれら課題へ対応されたのでご紹介します。

TUIの取り組み

TUI(Touristik Union International)は、旅行会社という枠には収まりきらない企業です。1600のリアルな店舗網を有するほか、150機の航空機、複数ブランドのホテル&リゾートを380箇所、更にはクルーズ船 16隻も自社で保有しています。

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TUIは買収を重ねながら成長を遂げてきたため、そのシステムは業態毎にばらばらであり、お客様に一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供することが難しい状況でした。TUIはSAP C/4HANAを利用して、実店舗とオンラインの双方で、フライト、ホテル、クルーズなどの商材をすべて扱える旅行予約システムを構築しました。こちらのYouTube動画をご覧下さい。

TUI – エンドツーエンドの最適なエクスペリエンスを提供 動画はこちら

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TUIはSAPを利用してオンライン、店舗、コールセンター、SNS、ホテルや空港のカウンターといったすべての顧客チャンネルでお客様に関する情報を統合することで、アップセルやクロスセルのコンバージョンレートを30%改善することに成功しています。

旅行業向け機能強化  ー SAP Travel Accelerator

SAPは、オンラインでの販売の中核となるSAP Commerce Cloudについて、TUIでの経験をもとに旅行業界向け機能強化を行い、SAP Travel Acceleratorとして販売しており、すでに海外の航空会社、ホテルチェーン、クルーズライン、旅行会社などで利用されています。 主要機能は下記となります。

  • 旅行業向けデータモデル(顧客、ホテル、フライト、付帯サービス)
  • 顧客向けストアフロントUI
  • バックオフィスUI(下記参照)
  • マーチャンダイジング
  • 商材のパッケージング機能とルールエンジン
  • NDC(IATA New Distribution Capability) Level3 対応など

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SAP Travel Acceleratorを利用することで、旅行者は、フライトやホテルに加え、現地でのアクティビティや交通手段、お土産など様々な付帯サービスも一緒にショッピングカートに追加、ひとつのオーダー番号で管理し、支払も一括して行うことが可能になります。これは、旅行予約に普段使いなれたeコマースサイトと同様のエクスペリエンスを提供するものとして注目されています。

SAPでは、SAP C/4HANA + Travel Acceleratorを日本の航空会社、鉄道会社、ホテルチェーン、旅行会社など幅広いお客様に提案していくとともに、今後も継続的にGDPR、NDC、One Orderといった新規要件への対応を製品レベルで進めていきます。

※ 本稿は公開情報に基づき筆者が構成したもので、TUIはじめ文中の各社のレビューを受けたものではありません。