JFEスチール株式会社: SAP S/4HANAでITとコアビジネスプロセスを変革


JFEスチール株式会社は、SAP S/4HANAを活用し、国内外の激変する経営環境の中で、継続的なビジネス成長を支える経営基盤を構築しました。JFEスチールおよびグループ会社合計81社で、IFRS適用に向けた対応と業務プロセスの標準化を実現しました。

グローバル事業拡大に必要なコアビジネスプロセスの変革

JFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)は、2003年に日本鋼管と川崎製鉄が経営総合して発足した日本を代表する鉄鋼企業です。「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」という企業理念のもと、産業社会を支える基礎素材である鉄鋼製品の世界有数製造企業として、独自性のある技術開発に取り組み、高品質な“鉄”を提供しています。JFEスチールはさらなる発展のため、「国内製造基盤の整備」「海外事業の推進」「品質高級化によるプロダクトミックス向上」を掲げ、それらを支える施策として「攻めのIT経営」に取り組んでいます。

JFEスチール発足時より利用していたグループ共通経理システムは、中堅企業向けの国産製品を利用し構築されていましたが、製品の機能不足を補うためのアドオン、カスタマイズが多く、システムも業務も複雑化しているという課題がありました。また、JFEスチールは、国内外の激変する経営環境の中で継続的なビジネス成長を支えるために、「経営分析の高度化」、「将来的なIFRS対応」、「業務標準化と人材継承」、「さらなるグローバル展開」にも取り組む必要がありました。

業務をシンプル化、標準化し、JFEスチールのデジタル化を促進

そこで、JFEスチールは、グループ全体のビジネスプロセスをシンプル化、標準化し、最新型のデジタル化された仕組みへ変革するプロジェクトを立ち上げました。これは、JFEスチールおよびグループ会社合計81社を対象とする非常に大規模な試みでした。

新しいビジネスソリューションの中核に何を据えるかは極めて重要であったため、JFEスチールは慎重に製品選定を行いました。複数のERPベンダーの製品について、標準機能の豊富さ、安定性、柔軟性、拡張性、さらには革新的技術が使用されているかを入念に検討し、最終的に採用されたのはSAP S/4HANAでした。

JFEスチールは、SAP S/4HANA®の標準機能を最大限活用し、カスタマイズやアドオンを極力避けることにより、わずか9カ月で導入を完了しました。以後11カ月で、約80社のグループ会社への展開も完了し、高いシステム品質を保ちつつ、予算超過もなくプロジェクトを完了させました。

「このプロジェクトにより、ビジネスプロセスの標準化、グローバル会計システムの基盤構築が実現しました。SAP S/4HANAを活用して、グループの業績をより効率的、効果的に分析できるようになりました」
JFEホールディングス株式会社 常務執行役員 田中 利弘氏

プロジェクト管理のベストプラクティスが成功を牽引

プロジェクトの成功の鍵を握っていたのは、経営層による強力なサポートでした。また、教育プログラムが適切に運営されたことにより、ユーザー定着率も上昇しました。プロトタイピングを実施するアプローチとコラボレーション用のポータルサイトも大きな効果を発揮しました。
JFE_SAPBlog1

JFEグループ共通のシステムアーキテクチャと展開作業

JFEスチールはSAPの標準機能を使用して、PoC(Proof of Concept)、プロトタイピング、開発の期間を短縮することができました。現在、JFEスチールとグループ会社の約700名がSAP S/4HANAを使用しています。

JFE_SAPBlog02

人材継承とIT運用コスト削減の両面で大きな成果を達成

プロジェクトは大成功を収め、日本および海外で事業を遂行する企業におけるSAP S/4HANAとベストプラクティスの活用モデル例となりました。大きな反響を与えたこの事例は、他の日本企業でも使用できるフレームワークと考えられています。

JFEスチールは、SAP S/4HANAを導入することで、IFRS適用に向けた対応だけでなく、人材継承を推進する上で必須となるビジネスプロセスのシンプル化、標準化、およびグローバル対応も実現しました。また、経理部門がリアルタイムにデータへアクセスし、高度なデータ分析ができるようになるなど経営分析の高度化にも繋がりました。加えて、SAP S/4HANAを使用することで、多くの人的ミスが自動的に排除されるなどのメリットもありました。

JFEスチールでは、堅牢かつシンプルなユーザー認証も整備しました。これにより、多数の会社が存在する環境においても、メンテナンスが効率的に行える仕組みとしました。これらは、JFEスチールが将来的にグローバルオペレーションを展開する際にも重要な要素になると考えています。

統合された製造業向けの基盤づくりという将来構想に向けて

JFEスチールは、日本国内に6つの製造拠点を有しています。長期的な取り組みとして、これらの製造拠点すべてのビジネスプロセスとITシステムを標準化/統合し、ナレッジや情報の共有が行えるようにしています。短期的な取り組みとしては、効率改善と働き方改革を進めていく予定です。

今日までさまざまな成果を挙げてきた経理システム刷新プロジェクト。JFEスチールにとっては長期にわたる壮大な構想に向けた最初の一歩にすぎない反面、極めて重要な一歩だといえます。

「最新のICTを活用し業務改革を実行することで、経営課題・業務の構造的課題を解決することが私のミッションです。プロジェクトの成功は、目標達成に向けた大きな第一歩となりました」JFEスチール株式会社 常務執行役員 新田 哲氏

まとめ

SAP S/4HANAを活用してグループ全体の経理システム基盤を刷新

JFEスチール株式会社(本社:東京)
http://www.jfe-steel.co.jp

業種:鉄鋼製品
事業内容:鉄鋼製品(薄鋼板、厚鋼板、形鋼、鋼管、ステンレス鋼、特殊鋼、電磁鋼板、棒鋼、線材、鉄粉など)
従業員数:4万4,395名(連結:2017年3月現在)
売上高:2兆7,150億円(2017年度)
SAPソリューション:SAP S/4HANA

導入目的

  • ベストプラクティスに基づいてグループ全体のビジネスプロセスをシンプル化、標準化
  • IFRS(国際財務報告基準)適用に向けたシステム基盤準備
  • 会計情報をリアルタイムに把握、分析し、効率的かつ効果的な意思決定を支援