ファストファッションの終焉:ミスガイデッド どのようにファッショントレンドを味方につけているのか?


2009年イギリスのオンラインでスタートしたファストファッション ミスガイデッド。missguided-blog-full

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ミレニアル世代を中心に多くのフォロワーを持ち、ソーシャルメディアやポップスターとのタイアップでトレンドの先端を走っています。

 

 

毎月リリースされる2,000以上ものスタイルのミレニアルのトレンドをいち早く正確に把握し急成長し、2016年、フィジカルストアの立ち上げや海外、新たなチャネルへの拡大のため、たった5か月という短期間で基幹システムを強化しました。特に、ミレニアルとのデジタルエンゲージメントを強化し、変化の激しいファッショントレンドに迅速に対応するためにサプライチェーン全体をデジタル化することに成功しています。

ファッションマネジメントのアプリケーションで、私たちは仕入から販売までのサプライチェーンをデジタル変革することに成功した。
John Rignall,  IT Director, Missguided Limited

ファストファッションの終焉

2000年頃、ZARAとH&M、フォーエバー21に代表されるような、最新トレンドを取り入れた低価格のファッションを短サイクルで大量に生産・販売する”ファストファッション” *1 が確立されました。日本にも2008年ファストファッションが上陸し、あれから10年デジタルの発展とさらなる低価格競争が激化し、行列をなしていた銀座や原宿のフラッグシップ店も閉店、撤退したブランドも多くファストファッションは終焉を迎えました。そして更なる2極化が進んでいきます。

①低価格ラピッドファッションの台頭

前述のミスガイデッドのようなファストファッションのさらに下の価格を打ち出すアパレルチェーンがオンライン、オフライン共に各国のローカル市場に登場し新興勢力として台頭しています。

ミスガイデッドは、自らファストファッションではなく、ラピッドファッションだと言っています。生産拠点を主要マーケット近くに持ち、企画から生産、販売のスピードをわずか1週間に短縮しサプライチェーンの効率化に成功しています。H&Mが半年、ZARAの5週間といわれたスピードからすると圧倒的なスピードで、もともとリアル店舗を構えないため、出店にかかわる経費、人件費などの固定費がかからない上、リアルの売れ筋データを活用しながら売れるものを作り販売できるところが強みです。

デジタル生まれの企業はリアル店舗をショールームのような体験を提供する接点としてとらえ、リアル店舗との融合が図られています。ミスガイデッドのフラッグシップ店は、「ライブ」でのショッピングの体験の「On-Air」のコンセプトで、テレビスタジオを模倣するように設計されています。イマーシブな環境での買い物体験を提供しており、いたるところにソーシャルやデジタルでの訴求がありオンラインオフラインを感じさせない空間づくりをしています。

店舗では商品を選び、家へ配送するオムニチャネルのオペレーションをグローバルに展開できるように、小売・卸・コマースのサプライチェーンを1つのプラットフォーム上に実現し、在庫の一元化を実現。財務の一元化とサプライチェーンのものの動きに合わせたリアルタイムの損益管理の実現によって、変化の激しい市場での意思決定を行うことに成功しています。*2

②高付加価値の差別化製品を求めるラグジュアリー

一方でラグジュアリーは、商品が生まれるまでのデザイナーや職人たちの試行錯誤の歴史やストーリーが、ブランドのイメージを支えています。歴史や品質への信頼サステナビリティを差別化要素として、ソーシャルやリアルタイムでRunwayのライブ配信をしたり店舗以外での顧客接点のデジタルのエンゲージとともに、店舗の接客時に在庫や商品情報、その他店舗にない在庫でも手元で確認し予約やお取り寄せ案内できるよう、ストアアソシエイトのデジタル武装化を進めています。

③メルカリなどのリユース市場の拡大

経産省の発表によると日本市場ではメルカリをはじめとしたデジタルで販売から決済まで完結するC to Cのビジネスも大きく成長し、リユースのフリマ市場5000億円規模だと報告されています。*3 消費者も最後には販売目的でブランド商品を買う人や、リユース市場やレンタルでシェアリングする新たな市場も急成長しています。

日本のファッションブランドの戦い方

日本には、2極化に属さないミドルアッパー層のブランドが多く、店舗販売をベースにしたビジネスで安易な価格競争に自ら陥り、シーズン落ちはアウトレットへという消耗戦を繰り返し、短いシーズンの中で取引の複雑さと返品や在庫、不採算の店舗の閉鎖を余儀なくされる問題を抱えています。

品質やローカルトレンドを作り短い生産リードタイムで製造できるブランドは製品の差別化をすることで独自のブランドの価値を提供できますが、そうではないブランドは今後デジタルネイティブ世代に追随できる顧客接点とそれに追随できるサプライチェーンにおいてデジタル変革が必要不可欠になるでしょう。販売の数か月前に在庫を積み上げる店舗販売を長年やってきた会社は、人間が介在せざるを得ない独自の業務や属人化した現場最適化されたエクセルに頼り、今後の人手不足、デジタル時代では、消費者のスピードと乖離した業務となりどんどん差が開いていくことでしょう。

デジタル化が比較的遅れている日本はまだ店舗での売り上げが主なチャネルですが、単にコマースサイトをたてるというデジタル化ではなく、在庫やサプライチェーンこそデジタル変革を行い柔軟に自動化やスピードアップできる準備をする必要があると思います。

現場の匠の職人技で工夫や改善をし続ける企業は、あっという間にデジタルネイティブの企業に追い越されていくでしょう。基幹システムをたった5か月で完成させるのですから。さらに、2025年の崖を迎える日本の企業は、さらに深刻な状況になるでしょう。もうすでに、IT市場は、まれにみる売り手市場になっています。この際2025年という時期は忘れ、善は急げで着手されるのが得策と考えます。

 

※本稿は公開情報に基づき筆者が構成したもので、ミスガイデッド(Missguided)のレビューを受けたものではありません


■ ミスガイデッド(Missguided)
英国のオンラインでスタートした16〜35歳の女性を対象としたファストファッション*1 を販売するマルチチャネルのリテーラー。同社のコレクションは、トール、プチ、プラスサイズ、ランジェリー、ナイトウェアなどを提供し、イギリスで急成長を遂げ、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツへと拡大。

*1 ファストファッション
最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態。 (Wikipedia)

*2 導入ソリューションと公開されている効果

  • SAP HANA
  • SAP Fashion Management
  • SAP Customer Activity Repository
  • SAP Merchandise Planning (FInancial)
  • たった5か月でSAP Fashion Management SolutionとCARを導入
  •  インストールしてすぐに使えるアパレルファッションのベストプラクティス
  • エンドトゥエンドでオムニチャネルを考慮してグローバルで在庫を一元化
  • MD計画機能により、グローバルのオムニチャネルを考慮した柔軟な計画の実現

*3「電子商取引きに関する市場調査」経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 平成 30 年 4 月https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/h29reportv3.pdf