照明でお客様のビジネスに貢献するシグニファイ


日々の生活で意識せず存在する照明。電気の歴史とともに照明は人類の生活をより快適なものにしてきました。今回のブログではこの照明(ライト)にスポットライトを当て、製造業における変革について考察します。

シグニファイ(Signify)という会社をご存知でしょうか?

おそらく照明業界のリーディングカンパニーであるフィリップスライティング(Philips Lighting)はご存知の方も多いと思われますが、シグニファイという会社名を初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?実はこのシグニファイ、日本では2019年1月にフィリップスライティングが社名変更してできた会社です。フィリップスライティングが面白いビジネスモデルを始めたと知ったのは2015年のことで当時ブログに取り上げたこともありました。

2015年に取り上げた筆者のブログ
産業界で起きているビジネスモデル変革のうねり――第1回:現場で起きているレベニューイノベーション

フィリップスからフィリップスライティング社として事業分離したのは2016年でした。

そのフィリップスライティングが社名変更すると知り、この会社は大きく変革しようとしているのでは?と興味を持ちました。

フィリップスライティングからシグニファイへ、社名変更に込めたメッセージとは

2018年5月16日にフィリップスライティングがシグニファイへ社名変更するとアナウンスがありました。日本では2019年1月7日に日本法人名をシグニファイジャパン合同会社に変更しています。シグニファイ社の2017年の売り上げは70億ユーロ、世界70か国に約32,000人の従業員を擁する照明製品を扱うリーディングカンパニーです。では、なぜシグニファイへ社名変更したのでしょうか。それはブランドステートメントの中に込められています。

”照明はいま、新たな言語となった。

人と。モノと。ビジネスと。そして社会と。

世の中の様々な事象とつながることで、

「意味を伝達する」という新たな役割を手に入れた。

しかしそれは、進化の過程にすぎない。

私たちは、照明の未知なる可能性を引き出して、

新しいイノベーションを生み出していく。

100年以上にわたり、

照明の最前線に立ち続けてきた経験と、

前例に縛られない自由な発想力を頼りに。

Signify それは、照明に新たな意味を見出すこと。

照明の未来は、Signifyとともにある。

照明は、新たな時代へ。

Philips Lightingは、Signifyへ。”

シグニファイ(Signify:直訳すると”意味する”)は照明に新たな意味を見出す企業と理解できます。つまり照明から放たれる明かりに意味を持たせ、人に感動や幸せを伝達する企業へ変革する決意を社名に込めたのでしょう。

シグニファイには一般用照明と業務用照明といった大きく2つのビジネスエリアがあります。一般用照明のPhilips Hueは日本でも量販店で売られておりなじみがある方も多いと思います。一方、業務用照明は公共機関、建造物、スタジアムなどで使用される製品やシステム、サービスなどです。この業務用照明では特に興味深い取り組みがされています。

シグニファイが顧客に提供する価値

海外旅行を計画する際に、ウェブサイトやパンフレットを見て旅先を決めることもありますが、SNSを通じて友人、知人が投稿したものを見て旅先を決めることもりますよね。ライトアップされた建造物、モニュメント、夜景などをSNSで見て“いいね”を押したり、Webの記事やレビューをみて次は自分も行ってみようと思い、実際旅行した経験をお持ちの方も多くいるのではないでしょうか。ソーシャルパワーが人の行動を左右する時代である昨今、シグニファイは観覧車、スタジアム、ブリッジなどをライトアップすることで街の価値を高めるばかりか、街の経済効果を高めることをライトアップで支援しているのです。こちらの動画では、フィリップスライティングの社名の時に顧客に提供している価値についてどのように考えているかが語られています。

Signify1

建築照明を使用して都市に付加価値を提供する Signify
(画像をクリックすると動画に飛びます)

こちらの動画でも登場するサンフランシスコのベイブリッジでは以下のインパクトが謳われています。

  • 5000万人がライトアップを見た
  • 10万回以上のYouTube再生
  • 6億5000万件以上 メディアおよびソーシャルメディアで話題になった
  • 地域経済に1,800万ドルの増益インパクト

情報ソース

建造物を見る人を感動させたり幸せな気分にさせたりするパワーが照明による演出にはありそうですが、なかなか効果がわかりづらいものです。そこで根拠となるソーシャルデータを集め、ビックデータをもとにセンチメント分析を実施し、ポジティブなのかネガティブなのか、照明によるソーシャルインパクトを顧客に分かりやすい形で同社は提供しています。同社の取り組みは街に住む人々のみならず、そこを訪れる観光客にも良い体験を提供し、さらにお客様であるビルや施設を管理する公益事業者やサービス企業にもその効果をわかりやすい形でフィードバックすることで、さらによりよい市民サービス、観光体験に繋がるのでしょう。同社が提供するのはサービスや体験という”意味”もありそうです。

このベイブリッジの取り組み一つとっても、同社が顧客視点を追求した結果、照明の製品売りから脱却し、付加価値のあるシステム、サービスを提供する会社に変わってきていることがわかります。

Lighting as a Serviceという新たなビジネスモデル

さらに同社の取り組みは続きます。シグニファイと社名を変えるほどの覚悟で臨むのが新たなビジネスモデルです。こちらの動画をご覧ください。

Signify2

照明ビジネスの変革を進める Signify
(画像をクリックすると動画に飛びます)

照明製品を扱う同社が次のステージに向かっていることがわかります。それがLighting as a Serviceです。従来固定料金制だったところを照明の使用に応じた変動制にするビジネスモデルに変更したのです。オランダのアイントフォーフェンにあるシグニファイ社の拠点では建物、フロア、部屋単位で照明コストがわかるようにして、さらに数か月先のコスト削減予測もできるようにしています。つまり新たなビジネスモデルをシグニファイ社自身でも実践しているのです。その裏側ではシグニファイ社のIoTプラットフォームであるInteractとSAP Cloud Platformをつなぎ、さらにはSAP Subscription Billingを活用することで照明の使用に応じた変動制課金ビジネスの基盤が支えています。シグニファイ社はこのLighting as a Serviceにより他社との圧倒的な差別化が図れると考えています。シグニファイ社が提供する価値にはビジネスモデルを変えることで収益の面でも”意味”があるということでしょう。

シグニファイ社の取り組みからの学び

顧客のビジネスに踏み込み、ビジネスモデルを変えている同社。シグニファイと社名を変え普段身近に存在する”照明”ビジネスを別次元に引き上げ、デジタル技術を武器に圧倒的な差別化をはかる同社の取り組みは、いくつかポイントがあると考えています。

  • 自社が提供している製品は顧客および顧客の顧客にどのような価値を提供しているか見つめなおす
  • 顧客に提供している価値をわかりやすい形でフィードバックを行い、顧客とともに価値を提供し続ける
  • 需要の変動を考慮し顧客に支払っていただく価格モデルを見直す
    (X as a Serviceなどのビジネスモデル定義もひとつの打ち手)

そして上記を実現するためには人、モノ、ビジネスを有機的につなげることが欠かせません。一昔前は技術の制約も大きく実現不可能だったことが、今やソーシャル、ビックデータ、アナリティクス、IoTなどの最新のデジタル技術を活用することで短期に実現できる時代になってきたことも大きなポイントだと考えてます。

今回取り上げたシグニファイ社の取り組みはいかがでしたでしょうか。このシグニファイ社からの学びは照明ビジネスに限らないと思います。多くの製品売りをしている製造業にとって、自社の伝統的なビジネスを再創造する際に大いに参考になるのではないでしょうか。

※本稿は公開情報に基づき筆者が構成したもので、シグニファイ社のレビューを受けたものではありません。