設計~製造現場情報の一気通貫化。Production Engineering & Operation (PEO)について


日本の製造業の強みは生産技術・製造部門の高度な摺合せにあると言われていますが、システムは分断されており往々にして強みの阻害要因でした。Production Engineering & Operation(以下PEO)で技術部門と製造現場管理の情報を一気通貫化し、更なる競争力強化が実現できます。

グローバル化/マスカスタマイゼーションによる製品数の増加により以下の様な課題が増えてきているのではと思います。

  • 部品表(BOM)種類が増えているが設計部品表と製造部品表の整合が手作業。工数増。

設計変更があった場合、素早く確実に製造部品表や工程表、指図に修正を反映する必要がありますが、手作業ですと漏れや版間違いが起き、サプライヤー再発注、製造開始遅延による損失が増えてきているという実態を伺います。

差分反映の仕組みがあれば手戻りを撲滅する事が可能です。

  • 工場増加に伴い工程数が増えているが工程設計情報が個人持ちになっている。作業指示書の注記事項が増え、作業指示書作成膨大な時間を使っている。その為リードタイム増加。

工程設計する場合、過去の設計意図や現在の工場の状態を確認した上で設計に入ると思いますが、担当の異動などで過去の工程設計情報の多くが散逸してしまっている場合があります。

現場改善で工程が変わっている場合は情報収集に時間がかかる事になります。

工程情報に品目情報・設備などを紐づけ一元管理する事で工程設計リードタイムの向上が期待できます。

  • 現場作業管理が紙主体な為、現場分析改善が困難。正味作業率が上げられない。

生産管理まではシステムで管理しているが現場の作業差立、作業着手完了の記録は紙主体という場合が多いのではないでしょうか。

その場合、計画工数と実際工数の差を確認する事が非常に困難になりますし、大日程/中日程/小日程間での整合を取る工数が取られることになります。

正しく分析し正味作業率を向上させれば競争力向上に繋がります。

  • トレーサビリティの範囲が年々増大

1. どの購入部品を  2.どの工程の  3.どの作業ロットで  4.どの様な要素作業が  5.誰によって行われ  6.どの様な作業実績になり  7.どの配送によって  8.誰に納入されたか、

を突き止めるには様々な資料を追いかけなければならず負担が増大しているという話をよく伺います。デジタル管理する事でトレーサビリティ内容を即答出来れば顧客満足度向上に繋がります。

以上の様な課題に加え、超短納期化、低コスト化といった市場要求に対応するにはどういったシステム機能が必要でしょうか。

エンジニアリング情報管理と製造管理を一体化し、マスカスタマイゼーションに即応するシステム

SAPでは、SAP S/4HANAのモジュールとしてPEOを提供することで上記の課題解決を実現します。

以下大きな特徴があります。

  • 変更管理

変更番号で変更一覧を一括管理する事が可能です。設計部品表に変更があった場合は関連する製造部品表内の部品、作業工程内の作業、製造指図の作業を表示します。

変更影響範囲一覧

これにより変更番号に関連する変更を一括管理する事が可能です。

切替タブをクリックすると以下の様に変更の影響範囲をツリー表示出来ます。

変更影響範囲ツリー

これにより影響の関連を可視化する事が出来ます。

また変更影響一覧で詳細をクリックすると変更影響の箇所を特定する事が出来ます。

sc3

これまで手作業に頼っていた場合が多いと思いますがシステムで確実に修正反映を担保出来ます。

  • 設計部品表と製造部品表の整合機能

3D画像を見ながら製造部品表の編集が可能です。製造部品表内に置換が必要な部品がある場合、システムが検出しますので修正漏れを減らすことが出来ます。

製造部品表の編集

例として1製品の部品点数が1,000点とし、10製品作っているとします。1,000点×10製品=10,000の部品点数を管理する必要があります。

仮に設計変更が10%あると変更数は1,000点です。製造部品表が複数ある場合はさらに修正数が何倍かになります。そして工程表も指図も変更しなければならないため修正数が更に倍になります。

システムを使って確実に迅速に修正する事で品質向上とリードタイム向上が可能です。

  • 品目の工程割り当て

3D形状を見ながら工程のどの作業にどの品目を割り当てるか検討出来ます。

品目工程割り当て

3D形状を見ながら組順検討を行う事で、製造立上げ後に組立性の問題が見つかるといった事を防ぐ事が可能です。この様なデジタルツールで工程検証/作業指示作成する事で事前の課題把握件数が50%以上増えると言われています。

  • 電子作業指示作成機能

作成した工程情報をもとに電子作業指示を作成する事が可能です。紙の作業指示書を読み、実績記入欄に実績を記載という場合が多いと思いますが、電子画面で同様の事を実現する機能です。 電子作業指示

この電子作業指示には3D情報を埋め込む事が出来ますので作業者は画像を見ながら作業確認が可能です。

また入力項目を電子作業指示に埋め込む事が可能です。これにより現在お使いの作業指示書とレイアウトを変える事なく作業指示書の電子化を行う事が出来ます。

  • 製造指図の実行

生産計画/管理モジュール(PP)とマスターを共有している為、上記で製造部品表/作業/指図を変更した影響がMRPと連携した形で見る事が出来ます。

指図一覧

MRPとマスターを共有している(二重管理する必要が無い)為、マスター同士のずれが発生しないという利点があります。

  • 作業の差立

どの作業を差立てるかを画面上で指定可能です。

以下が作業区に割り当てられている指図の一覧ですが、

作業区作業一覧

指図を選択すると以下の様に差立ての画面へ遷移します。

作業差立て

作業認定と組み合わせる事で認定を持った作業者が作業する事を保証出来ます。

  • 電子作業指示と実績入力

以下が作業者画面です。

作業指示画面

タブレットなどで必要な情報にアクセス可能です。

必要な入力項目を入力後、承認依頼が可能です。

作業者の定年退職により製造現場の技能継承が問題になっていますが、この様に作業指示をわかりやすくすることで若手の立上げ期間を短縮する効果があります。また指示の理解間違いを防ぐ事も期待できます。

 

如何でしたでしょうか。本稿ではPEOの全ての機能を紹介出来ませんが概要と価値はお伝え出来たのではないかと思います。

設計変更の修正ミス手戻り削減、差立ての効率化、分析による正味作業率向上により、同じ設備/ラインでの製造流速が10%~20%向上すると言われており、かつ品質向上を狙う事が出来るため、様々な企業で導入および検討が進んでおります。