総支出管理(Total Spend Management)による意思決定の効率化


CFOにとって、経営資源効率を高めるうえで支出マネジメントは非常に重要です。2019年3月12日に開催されたセミナー「SAP Finance Day 2019 次世代CFO組織の役割の変化とそれを支える仕組み」の中で、SAPジャパン株式会社、購買・調達ネットワーク事業本部ソリューション部、ディレクターの川崎雅弘は、支出マネジメントの有効性と対応策や、これを支えるデジタルの仕組みについて講演しました。

 

財務組織に求められる、意思決定支援と効率化推進

SFD19_Kawasaki経理・財務責任者は、変化のスピード、コスト圧力、財務コンプライアンス、デジタル変革などの多くのチャレンジに直面しています。中でもポイントとなるのは、デジタルテクノロジーによって意思決定支援をどのように行うか、エンドツーエンドの業務プロセスをどのように効率化するか、という2点にあるでしょう。

しかしこれらを推進する上で、多くの企業は課題を抱えています。まず、20年を超えて使用されている旧来の硬直したERPなどの中核システムです。このままで新たなビジネスモデルに対応しようとすると、結局つぎはぎだらけの複雑なシステムになってしまうという心配があります。さらに、さまざまな規定が増えたことで柔軟性を失い、財務やコンプライアンスのプロセスが硬直化しているケースも見られます。報告作業に膨大な手間がかかるなど、非効率な財務組織になっています。

では、どのように改革すべきでしょうか? 1つのヒントとなる視点をご紹介しましょう。あるIT企業の費用の内訳を見ると、直接資材が82%、それ以外の間接資材が18%を占めていました。年間のトレンドを見ると、直接資材は年度末に向かって購買が減少している一方、間接資材は年度末にスパイクが発生していました。間接資材の場合は、期末に予算を使い切ろうという意向が働くためではないかと考えられます。

計算上、売上高を50%増やすことで得られる利益と、コストを2.5%削減して得られる利益はほぼ同じです。直接支出に目が行きがちですが、関節支出も企業経営に大きなインパクトを与えます。そこにもっと目を向けるべきでしょう。

 

支出すべてをとらえて経営に生かす

ここでSAPの持つ、支出管理に関わるソリューションの全体像をご説明します。SAPは2012年に、間接支出をマネジメントするアプリケーションを手がけるAriba社を買収しました。さらに2014年には、役務や外部人材購買の支出をカバーするFieldglassと、旅費・経費精算のConcurを買収。これらを統合した、「トータルスペンドマネジメント」というビジネスアプリケーションの集合体を作り上げました。

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間接材購買はSAP Ariba、サービスと役務の購買はSAP AribaおよびSAP Fieldglass、外部人材購買はSAP Fieldglass、旅費や経費はSAP Concur、さらに、SAP S/4HANAというERPが持つ直接材のマネジメントを含めて、企業で生まれるすべての支出をとらえて経営に生かすためのプラットフォームを提供しています。

 

相関関係分析や予測機能が、ビジネスパートナーの役割をサポート

近年では、デジタルテクノロジーを活用し、得られたデータをただ蓄積するだけでなく、BI機能によって可視化し、意思決定に活用する事例が増えています。しかし、ビジネスパートナーとしてのコントローラの役割に直結するような業務、例えば他の要素との相関関係を探ったり、今後の予測を立てるなど、可視化された情報の“活用”においては、勘や経験に基づいて仮説を立てたりするしかありませんでした。

機械学習による提案が可能になった今は、さらに広い範囲の情報活用が、デジタルテクノロジーで可能になっています。例えば、グラフには表示されていない他の分析軸との相関関係を解析したり、過去の実績や季節性などの変動要因を考慮して将来予測を出したりといったことも、AI(人工知能)が行ってくれます。精度と鮮度が高い情報や分析が可能になっているのです。

例えば、残業代が高いという場合、これまでは関連するデータを人の手で集めてくる必要がありました。しかしSAP Analytics Cloudは、関連するすべての残業代に関連する支出データをAIが自動的に集めてくれます。さらに、将来のシミュレーションや、勤続年数、部門、地域、製品や事業による傾向も見ることができ、トータルの残業代に最も影響する要素が何か、わかるようになっています。AIが相関関係を分析し、最も影響している要素の候補を挙げてくれるのです。

スライド29SAP Aribaが提供する強みの一つが、エンドツーエンドの業務プロセス効率化です。具体的な効果としてはコスト削減、業務効率化、業務統制の3つを軸と考えています。通常、効率性と統制は相反する概念ですが、この両者のバランスを取りながらマネジメントすることができます。また、SAP Aribaは、サプライヤーとの交渉から購買、請求書の照合までをデジタル化し、すべてのプロセスをカバーし、すべての支出をもれなくとらえ、経営に資するデータを蓄積することができます。

 

サプライヤーとバイヤーをつなぐネットワーク

さらにSAP Aribaは、サプライヤーとバイヤーを繋ぐネットワークを形成しています。デジタルで双方向がつながっており、取引をする際にも紙や電話でのやり取りが不要です。トランザクションはすべて記録されるので、不正が入る余地がほとんどないことに加え、それぞれの業務の効率性を高めることができるという2つのメリットがあります。これまで煩雑で大変な作業だった、購買契約の見直し、見積もり、サプライヤーの評価や見積もり、開拓なども、より迅速かつ確実に行うことができるようになります。

あるお客様企業は、購買プロセスの標準化に加えて、データ活用も目標に掲げてSAP Aribaを導入されました。過去のデータを利用することで、ソーシングにおけるサプライヤーとの交渉を有利に進め、かつ、全体のコストを下げることにも成功しています。

直感的で使いやすい画面も特徴です。購入の際のワークフローも自動的に割り当てられるほか、企業ごとの購買ルールや財務経理ルールも埋め込むことができます。また、出張旅費・経費精算システムのSAP Concurなどの支出管理系アプリーケーションがSAP Aribaのプラットフォーム上ですぐに起動できるようになっており、一つのポータルですべての支出管理のマネジメントやオペレーションができます。

また、昨今注目されているのがAthena(アテナ)という、クラウドのデータを活用したベンチマーク機能をご提供できることです。Ariba Networkを通過するすべての取引情報を蓄積しており、コスト削減やプロセスタイムを、業界ベンチマークと比較することで、お客様の業務改善のポイントの明確化、着手すべき優先順位を示唆することができます。例えば、日本でご利用いただいているお客様の2018年の平均実績を見ると、SAP Aribaをご利用いただいているお客様のコスト削減率は約7.5%ということがわかります。中でも、最もコスト削減率が高かったお客様では、約13.5%にのぼりました。

今後のCFOには、統制を利かせつつ、効率化を推進するだけでなく、企業がビジネスを推進していくうえで頼りとなるビジネスパートナーとしての役割も求められています。デジタルテクノロジーの進化により、こうした役割を支援するソリューションが具体化しています。エンドツーエンドのプロセスを効率化、自動化することによって、プロセスコストを削減し、統制を図る。さらに、例えば過去実績に基づいて将来を予測してくれるといった気付きを与えてくれる機能は、経営に示唆を与えるビジネスパートナーとしての役割を強化することができるでしょう。

 

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