これからのあるべき間接業務とは? ―デジタルトランスフォーメーションがもたらす間接費管理の高度化―


企業の現場では、今も請求書や経費精算など紙での処理を前提とした非効率な仕事が蔓延しています。2019年3月12日に開催されたセミナー「SAP Finance Day 2019 次世代CFO組織の役割の変化とそれを支える仕組み」で、株式会社コンカー代表取締役社長の三村真宗は、「今こそ間接業務の省力化を進め、企業成長の根源であるコア業務に注力するべき」として、間接業務のデジタルトランスフォーメーション実現のポイントについて講演を行いました。

 

間接業務のデジタル化の遅れは、経営の足かせになる

SFD19_Mimuraデジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を活用し、企業のビジネスモデルやビジネスプロセスを徹底的に変革することを指します。直接業務ではこうした取り組みが増えている一方、間接業務については、経営層の問題意識によって大きな差が開いています。しかし、間接業務がいつまでも非効率なままでは、経営の足かせとなりかねません。

変革を阻む壁は4つあります。1つ目は、経営層の危機意識やリーダーシップの欠如。2つ目は、どのようにデジタル化したらいいのかわからないという、ビジョンやアイデアの欠如。3点目は、どのデジタル技術を組み合わせればいいのかわからないという、知識不足。4点目はデジタル技術を持った適切なパートナーを選択できないというものです。

間接業務は非競争領域ですから、他社に比べてユニークな取り組みをする必要はありません。仕組みを「作る」のではなく、世界最先端の優れた仕組みを早く「活用する」べきでしょう。

 

広がる領収書・請求書のペーパーレス化

SAPでは間接業務のデジタル化を、いくつかの枠組みで支援しています。1つ目は、領収書や請求書を電子化する「ペーパーレス」です。SAPではこの道筋を、3段階に分けて考えています。ステップ1は、紙で受け取り紙で処理するA2A(アナログトゥアナログ)、ステップ2は、受け取った紙の請求書や領収書を画像化し、社内プロセスをデジタルで高速に回すA2D(アナログトゥデジタル)、ステップ3は、発生源からデジタルで受け取り、社内処理もデジタルで行うD2D(デジタルトゥデジタル)です。我々はここを目指しています。

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領収書と請求書では進捗が異なります。領収書は、まだA2Aが多いものの、A2Dの普及期に入っています。これまで、日本の法律では画像の領収書が認められなかったのが、2018年1月から認められるようになったためです。

SAP Concurの導入企業は800社以上ありますが、そのうち516企業・グループが電子化の取り組みに着手しています。決して、一部の先進的な企業だけの取り組みではありません。おそらくここ半年~1年で、導入は待ったなしの状況になるだろうという空気感をひしひしと感じています。

領収書のD2Dは今の法律ではできませんが、法人カードで決済するとカード会社からデジタルデータがSAP Concurに流れてくるため、ミスや改ざんの余地がなくなります。しかし、法律では領収書の添付が義務付けられています。ただ現在、財務省でもデジタル化を前向きに検討しています。我々は今後もD2Dの実現に向けて、政府と対話を続けていきます。

請求書のA2Dは普及開始期にあります。請求データは法律でもD2Dが可能です。SAP Concurは請求書電子化の法律要件に適合しているので、導入企業はスムーズに電子化ができます。

請求書は通常、1枚あたり約32分の工数がかかっていますが、SAP ConcurでA2D化すると、半分以下の約15分になります。さらに電子化を進めてD2Dにすれば、6.6分にまで圧縮され、8割の時間削減が可能です。

デジタル化されていれば、違反が起こっていないか、AI(人工知能)が判定し、上長や経理はその結果も見ながら画面上で処理できます。原本の保管スペースも要りません。現場や経理の負担、保管コストなどを大幅に削減することができます。

 

Suicaを利用したキャッシュレス

間接業務のデジタル化領域の2つ目は、法人カードやICカードの活用による「キャッシュレス」です。

JR東日本のICカード乗車券「Suica」のサーバには、交通機関の利用情報が溜まっています。SAP Concurでは現在、こうした情報をカードから読み取って経費精算をしていますが、D2Dを実現するためにJR東日本と2年越しの交渉を行ってきました。そしてSuicaのデータサーバとSAP Concurのクラウドサーバを直接接続することが可能になり、今年の秋ごろのリリースを目指して開発を行っています。実現すると、JR東日本以外の全国のJRや私鉄、地下鉄、タクシー、バスなどの交通費の精算データもSuicaとそのサーバを通じてSAP Concurにつながることになり、D2Dでキャッシュレスの精算が可能になります。

 

オープンプラットフォームによる自動化

3つ目の領域は、自動化で手間を減らし、経費精算や請求書業務を楽にする「エフォートレス」です。コンカーは4年前、オープンプラットフォームに方向転換しました。外部プロセスとつなげることですべての間接業務を自動化し、「エフォートレス」実現を目指しています。

現在、タクシー、カーシェア、WiFiレンタル、飲食店情報や名刺管理など接待関係、海外の付加価値税還付手続き、領収書のスキャン・撮影のための複合機やスマートフォンアプリなどのパートナー企業とつながっており、業務での利用時にはネット決済ができるので、立て替え払いをする必要がありません。プラットフォーム参加によりユーザを増やしたいというパートナー各社の意向と、パートナーが増えるほどユーザに便利になるという好循環が回り始めています。

4つめの領域は、すべての支出をデジタルで最適化する「トータルスペンドマネジメント」です。例えば出張費1つとっても、従業員が自分でチケットを取る場合は立て替え払い、旅行会社が取る場合はベンダー払いになり、別のシステムになるので予算管理が煩雑です。現時点で出張費の合計がいくらか、経費管理を適切に行えません。

しかし、SAP Concurが実現するトータルスペンドマネジメントは、支払先に関わらず、包括的に管理できます。ベンダーごとの支払い状況もすぐにわかるので、法人レートの交渉なども有利に進めることができます。

5つ目は、出張をデジタル化する「パーフェクトトリップ」の取り組みです。出張はコストと、個人に大きな業務負担がかかります。また、出張業務はさまざまなステップをアナログで組み合わせることで成り立つため、出張慣れしている人とそうではない人とで、効率もコストも大きな差が出てしまいます。

これを解消するのが「パーフェクトトリップネットワーク」です。外部のさまざまなコンテンツやプロセスをSAP Concurの中で紡ぎ合わせることで、あたかも1つの仕組みを使っているかのように出張業務を行うことができます。

また、これまでは、出張者がどこにいるのか把握できない、行き先にどんなリスクがあるのかわからないなど、出張にはリスク管理上の課題がありました。SAP Concurでは、出張者の旅程を把握しているため、これに自然災害やテロなどの発生状況をつなげると、危機が起きた場合はすぐに人事部門の危機管理担当者に警告を送り、即座に該当する出張者のリストを作成、安否確認などのアクションを取ることができます。

 

効果を最大化するための展開を考える

最後に、間接業務のデジタルトランスフォーメーションによる効果を最大化するための、グループ展開についてご紹介します。

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間接費改革の効果を最大化するには、グループ全体に対象組織を拡大することと、従業員経費から出張費やベンダー経費などへと経費の領域を拡大することの、2方向の拡大を考える必要があります。各社が置かれている課題状況はさまざまなので、どこから始めて、1年後、3年後、5年後にどのような姿を目指すのかを、まずは考えることが必要でしょう。

日本でも多くの企業が間接費のデジタルトランスフォーメーションに着手しています。即効性が高く、見返りが多い改革であることに加え、全従業員が関わるため、他領域のデジタルトランスフォーメーションへの意識改革の起爆剤にできます。ぜひご検討いただきたいと考えています。

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