SAP Fiori どう始まり、どこへ向かっているか?


SAP Fiori。まだまだ浸透はこれからなものの、私達SAP社内では、SAP Fioriは当たり前のUXになってきています。1人のエンドユーザーとしてSAP社内でSAP Fioriを使い、その威力を日増しに感じる事が多くなっています。以前は仕事上必要な社内情報を、複数の情報ソースから手当たり次第に取って時間を消費していたのが、今ではSAP Fiori画面に1つにまとまりつつあり、意思決定のために多くの示唆を与えてくれるようになっています。

2013年の発表より5年を迎えたSAP Fioriは、どう進化してきて、どこへ向かっているのかがSAP Newsにて発表されました。記事リンク 何故、日本のSAPユーザー様・パートナー様もそちらの方向に向かう事が強く求められているか、分かりやすく解説されたリリースですので、私の方で日本語訳をさせて頂きました。次世代エンタープライズ・アプリケーションの方向性を知るため、是非ご一読ください。

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リリース後5年 SAP Fioriの道のりと進化

SAP Fioriの数年に渡る道のりでは、単なるUI改善ツールの様に誤解もあった事は確か。だが今日ではエンタープライズソフトウエアの総合的な設計はSAP Fiori抜きには語れない。

SAP Fioriは色々な組合せで再利用できる部品やひな形を提供し、使い方・視覚的デザイン・コピー・声のトーン・インテグレーションのガイドをも提供する。SAP Fioriは複数の技術・プラットフォーム・インタラクション仕様にまたがるものの、SAP Fioriはロールベース・適応力・分かりやすさ・シンプル・楽しさといった5つのコンセプトを常に維持している。

しかし、どうやって今日のSAP Fioriが形作られてきたのだろうか?それはエンタープライズシステムのデザインにて、困難な問題を1つ1つ解決する道のりであり、プログラムとしての取組、そして製品の位置づけを進化させた過程でもある。

 

SAP Fiori第一世代~第三世代

SAP Fioriは色々なデザインの集合体としてスタートした。SAP Fioriは非常に困難な問題を解決するプログラムアプローチである。非常に困難な問題・それは非常に複雑なSAPソフトウエア、アプリケーション、技術のユーザー体験にほかならない。

SAP Fioriの取組む問題は、数々の技術と数百数千の画面を相手に非常に解決困難な問題だった。SAP Fioriの第一世代はモバイルファーストのシナリオにフォーカスしていた。そして本格的なERPのコアへの適用にも注力していた。そして今は次のステージへと進化しつつある。それは全てのSAPアプリケーションをまたがったIntelligent Enterpriseのデザインの基礎である。

SAP Fioriの開発を支援するため、多くのガイドライン、SAP Fiori部品、SAP Fiori基盤、SAP Fioriアプリリファレンスライブラリ、SAP Fiori Makers、バーチャルコミュニティーなど、多くのものがデザイナーや開発者に提供されてきた。

 

スモールスタートからの展開

SAPアプリケーションの再設計・再定義への取組は、4つのユーザーロールと25の最も幅広く使われているSAPシナリオから始まった。それは休暇や出張申請、受注の登録、発注オーダーの追跡などだ。何でも最初は難しいのが当たり前で、子供でもこなせる様な仕事も実は数多くの積み重ねで難なくこなせるようになっているに過ぎない。SAP FioriはまさにSAPソフトとエンタープライズソフトウエアへの体験を革新するために始められた。

2013年5月、SAPはシンプルで、使いやすく、直観的なUXをよく使用されるシナリオにおいて、マルチデバイスで使用可能で、仕事を容易にこなせる事ができるアプリケーションのリリースを発表した。1年と1週間後、SAPは300のSAP Fioriアプリケーションを発表した。その翌年、SAP Fioriアプリは500を数えるようになった。SAP Fioriの名前は広く顧客の間にも知れ渡る事となった。

 

そして予期しなかった事も

複雑なシナリオでのより容易なユーザー体験実現の実現の過程で、SAP Fioriの開発チームは従来の複雑な受注オーダー登録を如何にSAP Fioriがシンプルにするかのショーケースビデオを作成、Red Dotデザインアワードに応募し、デザインコンセプトアワードを受賞し、SAPが正しい方向に向かっている事を我々も確信した。

SAP FioriをSAP S/4HANAに組込み、SAPHHIRE NOW 2016にてERPと最新でシンプルなデザインの威力をデモンストレーションした。スペースの有効活用、改善されたページ・ナビゲーションのメカニズム、さらにより柔軟なホーム画面がエンタープライズユーザー向けに紹介された。

 

一貫性・統合性・インテリジェンス

SAP Fioriは当初より、「ユーザーを喜ばせ、より仕事を効率的に行える」というデザインコンセプトを持っていたため、SAP Fioriを単なるソフトウエアより一段上の次元に持っていく事をSAPは決定した。2016年SAPは、SAP Fioriを全ての製品のデザイン基盤として位置付ける事を広くアナウンスした。

SAP Fioriの範囲が広がり進化しても、ユーザーにベストな体験をもたらすという目的はずっと維持し続けている。そのために、SAPは3つの優先順位を公表した:一貫性、統合性、インテリジェンスだ。

 

一貫性

何年にも渡り、SAPはいくつものベスト・ブリード・ソリューションを買収してきた。このプロセスはエンタープライズソフトウエアのマーケットリーダーを維持し、クラウドのリーダーになるには必要なプロセスだった。そのためのトランスフォーメーション・プロセスは既に動き出し、ユーザー体験での一貫性を提供する時期に来ている。

一貫性のあるユーザー体験は多くの理由でビジネスに寄与する。トレーニングの負荷も減り、習熟も早くなり、間違いも起こしにくくなり、質の高い情報を作る事ができ、仕事・ビジネスへの意欲にもつながる。見た事の無いアイコンを推測し、ボタンを探し、用語の意味を推察し、色の意味付けを再度学習するうちに、人々は使う気を無くしフラストレーションを溜めてしまう。もしユーザーインターフェースが予期する通り動くと、最初から自信や満足につながり、さらに色々な新しいアプリケーションを使ってみようという気になる。

一貫性のあるユーザー体験を提供するために、SAPはフェーズに分けたアプローチを取り、調和の取れたLook & Feel、共通機能、画面コントロール機能、デザインをIntelligent Enterpriseに向けて取り組んでいる。

 

統合性

かつてITの世界では、統合とは、データの統合、プロセスのつながりや整合性、シングルサインオンなどを指した。しかし今ではユーザーはさらに上を期待している。SAPソフトウエアを使う顧客は複数製品間を切れ目無く操作する事を期待している。SAPユーザーはそれがSAP Concurであろうが、SAP Fieldglassであろうが、SAP SuccessFactorsであろうが、SAP S/4HANAやその他SAP製品であろうが構わないし、気にする必要も無い。真ん中のインボックスとラウンチパッド、チャートなどのPush型提供情報(SAP Fioriの技術用語でCard)などから、ユーザーは異なったSAP製品から自分に関係のある情報だけを入手する。これにより必要の無い多くの情報やノイズ、ナビゲーションから解放され、本当に仕事に必要な事だけに集中する事ができる。

また、会話型のUXにより、しゃべったりタイプしたりしながらやりたい事をデジタル技術の力で自然に表現する事ができる。システムはそれを吸い上げ、ユーザーは1つの画面の中で1つの継続した会話の中で複数のシステムを操作できる。SAP Fioriはまた、新たな検索体験も提供できる。プレビューの改善もそうだが、結果ページ、結果の視覚機能などをデジタル技術の力で統合された結果のサーチが可能になっている。

インテリジェンス

一貫性や統合性に加え、SAP Fioriはマシーン・インテリジェンスを梃にエンタープライズソフトウエアの生産性を向上させる事ができる。より多くの情報をユーザーが得る事により、より良い仕事ができる。しかし、今日の情報量というのは処理するに余りある程多い。マシーン・インテリジェンスにより、今のユーザー体験のパラダイムでは、色々なエンタープライズシステムの情報ソースから、注目するに値するビジネスの状況だけをユーザーに知らせてくれる。マシーンはユーザーに情報を推奨しながらユーザーの意思決定により学びを得る。プロアクティブにユーザーに理解可能な形で情報を提供する事により、システムはユーザーに取るべきベストなアクションをアドバイスする事が可能になる。ユーザーは徐々に、また自信をもってシステムに仕事を依頼するようになる。このようなシステムサポートにより、ユーザーはより生産的で創造的な仕事に集中できるようになる。

 

進化とコンセプトの維持

2013年から今までSAP Fioriは大きく変化し、単なるアプリケーション・セットから、全てのSAP製品のデザインを抜本的に変えていくものとして進化を遂げつつある。しかし当初からのデザインコンセプト、つまり、ロールベース・適用力・分かりやすさ・シンプル・楽しさは不変である。加えて、エンタープライズユーザーのユーザー体験を最大化する事へのコミットメントも込められている。