SAP NOW 2019展示 ‐顧客要求対応と利益最大化を両立する統合サプライチェーン‐ 第3回 設置機器の最新構成と稼働状況の可視化、保守サービスの最適化


SAP NOW展示からデジタル・サプライチェーンの統合ソリューションデモを振り返る第3回です。
第1回 設計・販売・製造を通した仕様と部品表の連携
第2回 事業計画~販売計画~事業計画の統合
第3回では、顧客先に設置された機械装置の部品構成と稼働状況を管理し、障害発生の予知・予防と障害発生時の迅速な対応による計画外停止の最小化および開発部門と連携した製品改善につなげる保守サービスのソリューションについてご紹介します。

保守サービス

顧客満足の低下につながる計画外停止の発生や長時間化を防ぐためには、設置機器の稼働状況と故障につながる要因をリアルタイムに把握し、障害予防のための状態分析と予測を行うことが重要です。そのうえで、障害予防のための保守作業を的確なタイミングで実施する必要があります。また計画外停止の発生時には、即座に必要な対応方法を導き出し、その対応方法を実施するための適切な要員とサービスパーツ(保守部品)を現場に手配しなければなりません。
しかし実際には、機器の稼働状況や故障につながる予兆データ、修理や部品交換の履歴を含む最新構成が可視化されず、統計的な故障予測や予防保守、迅速な修理を実施することが困難な状況があります。必要な人員リソースやサービスパーツの不足も発生しているかもしれません。

SAP NOWではこうした課題に対応するソリューションデモを展示しました。その中からまず最初に複数拠点横断でのサービスパーツの最適な在庫配置計画をご紹介します。各地域のサービス拠点にサービスパーツの在庫がないと、製造拠点や別の倉庫からパーツを取り寄せることになり、不要な転送コストの発生や保守対応の遅れによる顧客満足の低下につながります。一方で各拠点に多すぎるサービスパーツ在庫を保持してしまうと、在庫保有コストが増加し利益やキャッシュフローに悪い影響をもたらします。
SAP Integrated Business Planningを利用して、過去のサービスパーツの出荷実績に基づいて顧客サービスレベルと在庫コストのバランスを調整しながら、最適な在庫数/在庫金額を算出することができます。各拠点から次の拠点へのサービスレベルだけを見て必要な在庫数量を計算すると、全体としては最終的な顧客へのサービスレベル維持に必要な数量以上の在庫を持つ可能性があります。SAP Integrated Business Planningはその対策として、多段階拠点(前線、中央倉庫、工場など)を横断してサービスレベルと必要な在庫数量を計算します。拠点をまたがって最適な安全在庫の配置を行い、サプライチェーン全体を俯瞰した在庫保有/管理コストの低減とサービスレベル向上の両方に貢献します(以下のデモ)。

 

2つ目のデモとして、設備メーカー、保守サービス会社、顧客間での機器構成情報の共有、保守サービス依頼、保守作業の実施について、模型と連動したデモを実施しました。

保守サービスにおいて、機器の最新の稼働状況や部品構成が把握されていないため、障害予防や故障状況把握のための分析ができず、保守作業の実行やトラブル対応に時間を要することがあります。統計的な障害発生率に基づいた適切な頻度での保守ではなく、必要以上に多くの定期保守を実施しているためにコスト増につながっている場合もあります。
SAP Asset Intelligence Network(SAP AIN)は機器の設置情報、最新構成、仕様、保守履歴を一元管理し、常に最新の機器状況を可視化します。メーカー、保守サービス会社、顧客を問わず関係者がその情報を利用することできます。統合された情報に基づく計画的な予防保守やIoT技術を活用した予兆検知とも連動し、計画外停止時間の最小化、設備稼働率の向上を実現します。トラブルが発生した場合にも過去の類似事象から原因を素早く特定し対応することが可能になります。

展示したデモでは、以下の画像の左にある設備メーカーから中央の顧客工場に設備機器が設置されると、クラウド上の設備管理ソリューションに機器情報が登録され、関係者間で共有されます。機器の構成、IoT/センサー等からの情報を含む稼働状態、関連する図面などが統合管理されます。製造会社は、共有された情報をもとに稼働状況を改善する適切なオプション品の推奨を行うこともできます。保守サービス会社は顧客工場からの機器稼働情報と作業依頼に基づいて保守作業を効率的に実施します。

AIN_Demo_Model

AINデモ模型の展示

Asset_Info

設備情報の共有・可視化

保全指示

保全指示

SAP AINによるクラウド上の関係者ネットワークでの会社間の共有以外に、SAP S/4HANA for customer managementによって設備機器メーカー側単体で出荷・設置した機器情報を保持し、顧客へのサービス提供を効率的に実施することも可能です。SAP NOWではこのソリューションを利用した顧客からの問い合わせや、サービス依頼を受け付けるデモも紹介しました。顧客情報、顧客担当者の情報、設置情報を受付担当者に表示して顧客対応をサポートします。人による依頼登録だけではなく、設備の稼働データから不具合の兆候を検知し自動登録することも可能です。

サービス依頼登録に基づいて故障状態や故障個所、故障原因を共有・ナレッジ化することで、トラブル発生時に過去の類似事象を活用できるようにし、原因の特定や対応方法の確認の故障対応の時間の短縮に貢献します。さらに製品開発者にも故障とその原因情報を共有することで新製品の改善につなげることを支援します。

 

最後にサービスに対して顧客の評価と感じたことをオンラインアンケートを通じて収集し、設備稼働や故障発生の情報と合わせて分析し、顧客体験の改善につなげていくためのデモをご紹介しています。今年の大きなテーマであるXデータ(経験=エクスペリエンスデータ)とOデータ(オペレーショナルデータ)を組み合わせて改善や変革を進めるための、Qualtricsソリューションの顧客体験を収集する仕組みの一部を利用しています。(Qualticsソリューションの活用についてはこちらも参照ください:ジェットブルー航空: XデータとOデータの統合によるエクスペリエンス革命

 

SAP NOW Tokyo 2019のデジタルサプライチェーン展示を振り返る第3回ブログでは、「Design to Operate/設計から運用まで」の中から運用・保守サービスに関連する部分を紹介しました。第1回、第2回、第3回と分けてご紹介してきた、設計や製造、保守までを仕様や部品表、設置機器構成、顧客情報、計画・分析情報などを共有して繋ぎ、顧客要求に迅速かつ効率的に対応するソリューションの最後の部分になります。「第1回 設計・販売・製造を通した仕様と部品表の連携」、「第2回 事業計画~販売計画~事業計画の統合」と合わせて顧客要求への対応と利益最大化のソリューション検討の参考となれば幸いです。