SAPユーザー会(JSUG)の発展、交流活性化を目的に「アンバサダープログラム」が始動


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SAPユーザーのコミュニティ「ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)」では、会員同士が積極的に情報交換を行っています。その活動の1つとして、2019年4月に「JSUGアンバサダープログラム」が始動しました。オピニオンリーダー企業を中心にSAP製品/サービスの導入経験やビジネス効果などを発信するとともに、各部会と連携して機能改善要望などを取りまとめ、ユーザー全体への貢献を目指すものです。今回は、2019年7月19日に行われた座談会の模様を紹介します。

左から THK株式会社の星野 恭敏氏、大和ハウス工業株式会社の加藤 純氏、JFEスチール株式会社の新田 哲氏、ヒロセ電機株式会社の鎌形伸氏、SAPジャパン株式会社の吉田茂

左から THK株式会社の星野 恭敏氏、大和ハウス工業株式会社の加藤 純氏、JFEスチール株式会社の新田 哲氏、ヒロセ電機株式会社の鎌形伸氏、SAPジャパン株式会社の吉田茂

ユーザー企業を代表するオピニオンリーダーが集結

2019年のJSUGアンバサダープログラムは、JFEスチール株式会社 常務執行役員 兼 JFEホールディングス株式会社 企画部の新田哲氏を代表者に、ヒロセ電機株式会社 執行役員 管理本部 経営企画部長 兼 IT統括部長の鎌形伸氏、THK株式会社 執行役員 経営戦略統括本部 副統括本部長 グローバル人事戦略特命担当の星野恭敏氏、大和ハウス工業株式会社 情報システム部次長の福嶌健氏*がオピニオンリーダーとして参加しています(*本座談会には同社 情報システム部グループ長の加藤純氏が参加)。今回の座談会は、同プログラムの支援担当者であるSAPジャパン カスタマーサクセス本部 ディレクターの吉田茂がモデレーターを務めました。

初代アンバサダーとなった4社は、さまざまなSAPソリューションを導入しています。日本鋼管と川崎製鉄が経営総合して発足したJFEスチールは、本体およびグループ会社の合計81社が利用する「グループ共通経理システム」にSAP S/4HANAを採用し、2017年4月より本格稼動を開始しました。また、コネクター業界大手のヒロセ電機は、営業力強化に向けてクラウドCRMスイートのSAP C/4HANAを導入し、コマース、マーケティング、サービスのモジュールを2019年3月に本稼動させています。

大手機械要素部品メーカーのTHKは、人財ガバナンスのグローバル化に伴う計画的育成のためにSAP SuccessFactorsのタレントマネジメントシステムを2017年に採用しました。そして、大手ハウスメーカーの大和ハウス工業は、2012年より本体を始めとする国内グループ会社にSAP ERPを導入し、会計と人事の2つの領域で稼動を開始。2017年からは海外におけるガバナンス強化の対策としてSAP S/4HANA Cloudを採用し、本社のERPとの2層型で順次展開しています。

日本のユーザーの声を集約し、機能改善の働きかけへ

SAP 吉田:JSUGは「日本のSAPユーザー企業、SAPパートナー企業、SAPが一丸となって活動に取り組むことにより、SAPユーザー企業の価値最大化を目的とする」を理念に1996年に発足しました。日本でこれほど多くの企業が参画され、活動しているユーザー会は稀だと思います。

JFE スチール 新田氏:SAPに限らず海外、特にアメリカはユーザー会が活発です。「このやり方はおかしい」とユーザー同士で意見を激しくぶつけ合っていますね。

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吉田:SAPのアメリカのユーザー会(ASUG)では、ビジネスプロセスなどでどれくらいのITコストがかかっているかを調査する「バリューアナリティクスプログラム」などがあり、業界別のベンチマークを取っていますね。そうしたプログラムをユーザー会発で主導しているところがユニークです。

ヒロセ電機 鎌形氏:当社はSAP C/4HANAを導入しましたが、まだアプリケーションのレベルがSaaSとして物足りないところがあると感じています。こうした意見をJSUG主導でSAPに出していきたいと考えています。

大和ハウス工業 加藤氏:当社が導入したSAP S/4HANA Cloudも同様です。導入時は日本で導入実績がほとんどなく、導入後もSAP(ドイツ)とのやりとりに手間がかかること、日本の状況を理解してもらうことに苦労しています。ユーザー単体の意見は開発側になかなか通らないので、当社の情報システム部次長(福嶌氏)がJSUGで「S/4HANAクラウド部会」を立ち上げました。目的は、日本企業がSAP S/4HANA Cloudをどう運用していきたいか、前向きな意見をぶつけ合い、それらの意見を集約してSAPに伝えていくことです。

鎌形氏:パッケージの機能を使い倒すには、多くのニーズを次のバージョンに盛り込んでもらって、スマートフォンアプリのようにアップデートしていくことが理想です。SAP C/4HANAは国内にパートナーの数が少なく、3つのモジュールのうち1つは、シンガポールのパートナーに依頼しました。彼らが最適と考えるやり方に従って、4カ月でサービスが稼動できました。一方、日本のパートナーとの開発は「どう構築したいか」というヒアリングから始まって、約1年かかりました。シンガポールの会社の良さは「このやり方がベストです」「そういう使い方はダメ」と明確に指摘してくる点です。このようなパートナーが日本に増えると、もっと活発に議論ができるのではないでしょうか。

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吉田:今までは、ソリューションを導入したら終わりで、その後の情報をシェアするところまで行きませんでした。今後はアンバサダープログラムを通じて、ユーザー同士の情報共有を密にしていきたいと思います。「うなぎのタレ」のように、ユーザーの声が増えるほど“旨味”のある知見がたまっていくのではと考えています。

THK 星野氏:当社は初参加ですが、SAP SuccessFactorsの活用については、JSUGの人事部会などで情報交換をしていきたいです。SAP Preferred Careなどのサポートは英語のやり取りでひと手間かかりますから、日本でも情報を得たいなと。

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ユーザーならではの成功談、失敗談なども共有

新田氏:ソリューション導入時には、他社の事例が非常に参考になりますね。アプローチを間違えるととんでもないことになりますから失敗も参考になりますし、困った時に他社に聞けることも大きいと思います。

吉田:横のつながりは日本の良さであり、率直に情報交換できる場があることに価値がありますね。

鎌形氏:導入パートナーには生々しいところまでなかなか語ってもらえませんが、ユーザー同士なら「ここだけの話」も聞きやすく、具体的なアドバイスが得られます。当社がSAP C/4HANAを導入する際も、日本の先行ユーザーに話を聞きに行きました。シンガポールのパートナーもそこで教えていただいてコンタクトしたところ「一緒にやりましょう」となりました。

吉田:ホストやクライアント/サーバー時代はオンサイト開発が必須でしたが、クラウド時代の今は、リモートの遠隔地でもコミュニケーションをとりながら迅速に開発できるメリットはありますね。

鎌形氏:SAP C/4HANAだからできたのかもしれません。クイックに導入してあとはアップデートで機能を追加していく(小さく入れて大きく育てる)、アジャイル開発に近い形でした。JSUGではこうしたノウハウを積極的にみなさんと共有したいと思います。特に「こうしたらダメです」と、失敗事例を積極的に出していきます。

加藤氏:当社が運用しているSAP S/4HANA Cloudも3カ月ごとのアップデートで拡張されていきますが、新機能のキャッチアップには苦心しています。相談しようにも、誰に聞いていいかもなかなか分かりません。

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鎌形氏:当社も最初は、SAP C/4HANAのアップデートされた箇所をすべて検証しないと危ないと思っていましたが、とても追いつかないので自動アップデートに任せています。今のところ、不都合は起きていません。追加される新機能の中に使いたい機能があるかどうかは、当社がやりたいことを整理した後に、次期アップデートにその機能が入っているかをパートナーと確認しています。

新田氏:カスタマイズやアドオンを加えてなければ、自動アップデートでも問題ないですからね。

加藤氏:大和ハウス工業も海外で使うSAP S/4HANA Cloudはアドオンなしの標準のみです。どうしても必要なレポート機能などは、クラウドプラットフォーム上で作って外付けで対応していく予定です。

鎌形氏:ヒロセ電機の基幹システムは15年前に導入した日系のERPです。「カイゼンに追いつけないシステムはけしからん」とスクラッチで開発しました。しかし今は時代が変わり、システムにはスピードが大事であり、アップデートについていかなくてはならないというマインドに変わってきました。今後は基幹システムをSAP S/4HANAに刷新することを検討していますが、JSUGから情報を得て「本当に使えるか」を吟味していけたらと思います。

ソリューション検討段階から多角的な知見を獲得可能

吉田:JSUGは既存ユーザーばかりでなく、検討段階の企業でも初年度は無料で入会できます。これからSAPを使おうか、JSUGに入ろうかと迷っている企業に向けて、メッセージをお願いします。

新田氏:JSUGは多角的な知見が得られる貴重な場であり、まだソリューション検討段階の方も経験者から話を聞くことで、より深掘りができると思います。

加藤氏:企業間で横のつながりができるため、ユーザー同士が話をしたり、イベントで知り合ってコミュニケーションの輪が拡がったりしていきます。同じSAP製品を使っている以上は仲間であり、そこに企業の競争はないです。日本企業がグローバルに対抗していけるよう一緒に悩み、一緒に考えていきましょう。

鎌形氏:導入メリットを享受するためにも、自社の情報入手のために入って欲しいと思います。一方メンバーとしては、一緒に苦楽をともにしてWin-Winで成長したいところです。情報を得る一方で、機能やサービスの改善要望をSAPに発信する役割も認識していただける企業さんを歓迎します。

星野氏:自社の状況も他の企業さんの参考にしてもらえますし、ユーザー同士突っ込んだ話ができるのがいいと感じています。

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吉田:JSUG会員の方には、ユーザー会の各部会や年度ごとのイベントなどにもどんどん参加して、より良いネットワークの場として活用いただき、ひいては相互に企業価値の向上につながっていけばと思います。

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最後に、JSUGにご興味を持たれましたらぜひご参加をお待ちしております。
JSUG入会のご案内とJSUGNET利用登録:http://www.jsug.org/admission/

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