大分県、SAPジャパン、SAP Academyによる相互協力協定
作成者:SAP編集部 投稿日:2019年8月28日
地方創生の実現に向けた相互協力協定
米国時間2019年8月27日、SAPの企業内大学であるSAP Academyにて、大分県、SAPジャパン、SAP Academyの3者は、大分県における地方創生を加速するため、相互協力協定の調印式を実施しました。
プレスリリース記事
大分県、SAPジャパン、SAP Academyが、災害対策および IT人材育成分野における相互協力協定を締結
大分県では、21世紀末に100万人近い人口になるという予測を受け、それを維持するために、「大分県版の地方創生の実現」「強靭な県土づくり」「先端技術への挑戦」を掲げています。これを実現するための施策は2つです。1つ目が先端技術を活用した災害対策の高度化です。SAPジャパン、大分大学およびザイナスの3者は災害対策の高度化を行うための「防災・減災のための情報活用プラットフォーム(略称:EDISON)」(EDISONのご紹介動画はこちら)を構築していきます。2つ目が基礎教育や次世代リーダー育成などのIT人材育成分野における協力です。大分県内でのIT人材育成、ならびにSAP Academyを活用した次世代リーダー育成を進めていきます。
調印の背景と目的
調印式は大分県庁、県内企業、在サンフランシスコ日本国総領事館、ならびに世界中から集まったSAP Academyの修習生など約150名参加のもと行われました。
まず初めに、SAPジャパン代表取締役会長の内田士郎が協定の背景を説明しました。日本は環境問題や少子高齢化、地域の過疎化、大規模災害などの問題をいくつも持つ課題大国です。SAPジャパンは、デジタルとイノベーションの力をフル活用し、日本を「課題解決先進国」に変革するために様々な取組みを行っていることを説明しました。
その第一弾の取組みとして、SAPジャパンとSAP Academyと大分県の3者が、以下の内容を3年間にわたり協力していく事を説明しました。
- 県土の強靭化を目的とした災害対策高度化における諸課題の解決
- 県内のIT人材育成における諸課題の解決
- 県内の次世代を担う人材育成における諸課題の解決
- その他必要と認められる行政施策立案に関する諸課題の解決
- 誠意をもって一致団結し、大分県の地方創生を推進
これを受け、大分県知事 広瀬勝貞氏は、災害対策が大分県の抱える大きな課題である一方、これは世界中の多くの地方自治体に共通するテーマであると述べました。この協定をきっかけに、災害対策の高度化だけでなく、教育分野・人材育成の分野においても具体的な協力を進めていきたいと思っている。世界をリードするトップ企業と手を結ぶことができて幸せであると説明しました。
また、SAP本社直轄の社内ビジネススクールであるSAP Academy代表のメアリー・ラングは、2016年に始まったSAPジャパンとの協力関係に触れ、日本企業を招いた数々のワークショップの実施や、各社の次世代人材を招いたプログラムの実施が、SAPアカデミーにとっても重要な施策であったと説明しました。この協定により、社会課題を抱えた自治体にSAP Academyが協力できることは大変光栄です、と語りました。
これまでの経緯、これからの施策
次に、在サンフランシスコ日本国総領事館の宇山智哉総領事から、日本を取り巻く社会課題の解決の一助としてこの協定が果たす役割、並びに大分県以外の都道府県や他国への横展開に対する期待が語られました。
大分県との取り組みをリードするSAPジャパンのイノベーションスペシャリスト吉田彰より、本協定に至った経緯と施策の詳細が説明されました。
参考
これらの大分県とのこれまでの取り組みに加えて、2019年5月に発足した、日本企業の次世代リーダーコミュニティ「RELAY」プログラムを大分県に提供していきます。RELAYは、これまでに40社70名以上の参加者をSAP Academyに迎えてきた、国内最大級の次世代リーダーコミュニティです。
これらの背景の元、EDISONの拡充と、大分県内でのプログラミングや防災教育などの展開、並びに次回のRELAYプログラムに大分県の次世代人材の参画、大分県の社会課題の解決に向けた討議を実施します。なお、SAP Academyの教育事業を自治体に展開するのは、初めての試みになります。
RELAYで生まれたアイディアの実装
最後に、SAP Labs Silicon Valley プリンシパルの坪田駆から、過去実施した次世代リーダー育成事業で生まれたプロトタイプ「E-CAT」が公開されました。
2019年5月に行われたRELAY第3期(RELAYのご紹介動画はこちら)のデザインシンキングワークショップでは、SAPアカデミーの修習生と日本企業32社から派遣されたRELAYの参加者が、大分県の災害対策について討議しました。今回公開したプロトタイプは、その際のアイディアの1つです。E-CATと呼ばれるネコ型のロボットアシスタントが、高齢者の生活課題を解決し、災害発生時にはEDISONと連携し、適切な行動を促すものです。
RELAY第4期のデザインシンキングワークショップでは、引き続き大分県の防災・減災の取り組みを取り上げ、EDISONやそれを取り巻く本協定の有効活用について討議を行う予定です。
SAPジャパンは、これまで、日本型のデジタル変革のフレームワークづくりを目指して、日本企業、スタートアップ、大学・研究機関、NPOなどの多様なステークホルダーとともに、目的あるイノベーションを志向するデジタルエコシステムを構築してきました。今回の調印式がその活用の第一歩になります。今後、さらにこうした体系を活用する事例を拡充していきます。