SAP Ariba Live Tokyo 2019レポート③/ SAPセッション


日本市場に向けたSAP Ariba, SAP Fieldglassの製品戦略とロードマップ

SAP Ariba Live Tokyo 2019報告#3

2019年7月23日、調達・購買のカンファレンスとしては国内最大級の規模を誇る「SAP Ariba Live Tokyo 2019」がグランド ハイアット東京で開催されました。今回はSAPセッションの模様をお届けします。「日本市場に向けたSAP Ariba, SAP Fieldglassの製品戦略とロードマップ」と題した講演に、ダレンコーチ(Darren Koch, Chief Product Officer, SAP Ariba and SAP Fieldglass) がまず登壇し、ホスト役を務めました。

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日本市場に向けたSAP AribaとSAP Fieldglassの強化計画

SAP Fieldglassは現在、SAP Aribaとの統合化が進められています。その点に関して、ダレンはこう説明します。

「SAP AribaとSAP Fieldglass、そして経費管理クラウドサービスのSAP Concurはそれぞれ異なる企業の製品でしたが、今日では、SAPの“インテリジェント支出管理(Intelligent Spend Management)”の重要な構成要素として、それぞれの優れた機能を生かすかたちで統合化が進められています」

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ダレンの言う「インテリジェント支出管理」とは、SAP Ariba(Ariba Networkを含む)やSAP Fieldglassに日々蓄積されていく支出・サプライヤー・規定等に関する大量データを、インメモリDBの「SAP HANA」や「SAP Analytics Cloud」、さらにはAI/機械学習のテクノロジーによってリアルタイムに活用し、すべてのユーザーが適切な行動を取れるよう、高度で迅速な意思決定を支援するコンセプトです。

この考え方には、テクノロジーの活用でユーザーの使い勝手を極限まで高めるという狙いも含まれています。その一環として進められているのが、SAP AribaとSAP Fieldglassの機能統合であり、「重複した機能をターゲットに統合化を進めています」と、ダレンは語り、機能統合の具体的な方向性を説明させるために、SAP FieldglassのCTO(Chief Technology Officer)のヴィッシュ・バリガ(Vish Baliga)を檀上に招き入れました。

演壇に立った、ヴィッシュは統合について次のように概説します。

「SAP AribaとSAP Fieldglassの統合化は、重複した機能については優れたものだけを残し、それぞれの利便性を高めるという方向で進めています。例えば、契約統合、サプライヤーオンボード、サービス見積、Guided Buyingなどの機能についてはすべてSAP Aribaの優れた仕組みを踏襲し、SAP Fieldglassをインテグレートしています。また、SAP FieldglassとSAP Aribaで利用されるサプライヤープロファイルの一元管理やカタログ統合なども実現しています」IMG_4537

加えてヴィッシュは、SAP Fieldglassに関する日本市場向けの強化についても触れ、働き方改革関連法の一つとして、2020年4月1日から施行される「同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)」への対応を済ませていることや、サービス調達での日本要件への対応も行っていることを明らかにしています。

さらにSAP Fieldglassの強化計画(ロードマップ)として、SAP Analytics Cloudによる分析/レポートのサポートやAIチャットボット機能の取り込みをはじめ、機械学習の技術を使い人材情報(レジュメ)から調達(バイヤー)側のニーズに適した人材を探し当て推薦するインテリジェントなマッチング機能の実現等を挙げています(図3)。

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図3:SAP FieldglassとSAP Aribaの機能統合とロードマップ

 

また、この講演では、SAP Fieldglass強化の方向性のほかに、SAP Aribaと株式会社東京商工リサーチ(TSR)との画期的な協業モデルが発表されました。TSR 河原光雄社長が登壇し、SAPジャパンとTSRとの提携によって、TSRが保有する企業情報(総数840万件以上/評価項目数200項目以上)が、SAP Aribaのサプライヤーリスク管理システム「SAP Ariba Supplier Risk」に統合化されることが聴講者に向けてアナウンスされました。

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(左:Sean M. Thompson (SAP Ariba and SAP Fieldglass), 右:河原社長((株)東京商工リサーチ)

そして講演のラストには、SAPジャパン調達・購買ネットワーク事業本部ソリューション部ディレクター 川崎雅弘が演壇に立ち、SAP AribaとSAP Fieldglassの強化のポイントについて改めて説明しています。

IMG_4637川崎が示した強化ポイントの一つは、SAP AribaとSAP Fieldglassの機能統合により、外部人材の調達(サービス調達)プロセスが大きく効率化され、グローバルな視野で適材を探し当ててビジネスパフォーマンスを高めることが可能になった点です。

また、SAP Aribaの新たな仕組みである「プロキュアメントオペレーションデスク」についても紹介し、この仕組みによってサプライヤーのパフォーマンスの可視化や調達・購買におけるKPI達成度のモニタリングが容易になることをアピールしました。

加えて、SAP Ariba、SAP FieldglassとSAPのERP、さらにはSAP Analytics Cloudなどの連携によって、あらゆる支出の現状分析と将来予測が実現され、経営上の意思決定のスピードと的確性を大幅に高められるとしています。さらに、これまでは多大な時間と手間を要していた調達・購買業務のトラッキングとボトルネックの発見が容易になり、プロセスの組み替えや再配置といったオペレーションの改革・改善に生かせるようになると説明しています。

「SAP AribaとSAP Fieldglassは革新的な機能強化がこれからも続きます。是非、両プラットフォームの強化・発展にご期待いただくとともに、この革新的なITを調達・購買のドラスティックな変革にお役立てください」(川崎)。

<了>