組織戦略の傍流から主流へ─ 外部人材の戦略的な採用と管理


少子高齢化・労働人口の減少に歯止めのかからない日本。15歳~64歳までの生産年齢人口は2018年10月に国民全体の6割を切り、2030年には今日よりも約700万人少なくなると予想されています(*1)。そうしたなか、企業が次の成長・発展に向けて組織力を維持・強化し、ビジネス環境の目まぐるしい変化に対応していくためには、外部人材の能力をより有効に活用していかなければなりません。そのために必須とされているのが、派遣・請負・業務委託・準委任の労働者をはじめ、フリーランサーや個人事業主など、専門スキルを持ったプロフェッショナルを、より戦略的に採用し、管理していくことです。以下、その手法と仕組みについてご紹介します。

*1 参考:
(1)総務省「人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)」報道資料
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei03_01000074.html
(2)日本の将来推計人口(平成29年推計)
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

外部人材の採用・管理を巡る課題

言うまでもなく、足りない労働力やスキルを、外部人材の調達によって穴埋めする、ないしは充足するというのは、ほとんどすべての企業で行われてきたことです。その必要性が、少子高齢化・労働人口の減少という流れや、ビジネス環境における変化の加速化によって大きく高まっています。

ただし、外部人材のマーケットも“売り手市場”です。優れた人材を採用する難度は高く、より多くの派遣会社とやり取りする必要性が高まるなど、外部人材の採用・管理を巡り、さまざまな問題が膨らみ始めています。

それらの問題は、以下の課題に集約できますが、おそらく読者の中にも、ここで示すような課題に悩まされている方が、少なからずおられるのではないでしょうか。

課題①採用プロセスが複雑化し、作業が属人化している                                                                       
多くの日本企業では、外部人材の採用プロセスが標準化されていません。そのため、作業が属人化してしまい、採用の進捗や受入準備の状況が周囲から見えづらくなっています。しかも今日では、絶対的な労働力不足の影響から、外部人材の採用が難航し、より多くの人材供給会社(派遣会社などの協力会社)にオーダーをかけなければならないケースが増えています。 ご存知の方も多いと思いますが、採用のプロセスは、人材供給会社ごとに微妙な違いがあるのが通常です。 コミュニケーション手段も電話やメールに限定され、それらを使って都度、やり取りする必要があるなど、負荷がかかります。

こうしたことから、取引する人材供給会社が増えれば増えるほど、採用プロセスの複雑化・煩雑化が進んでしまい、作業の属人化が進行していきます。また、採用担当者の負荷も高止まりすることになります。

課題②社内承認のフローが多すぎて採用決定に時間がかかりすぎる                                                     
社内承認のフローが多すぎるがゆえに、外部人材を1名調達するために多くの時間を要することがよくあります。これにより、就業が決定した派遣労働者が辞退してしまい、優秀な人材を確保できるチャンスを逸することが間々発生しています。

課題③契約・契約更新・請求書の処理に手間がかかる                                                                          
外部人材の採用や管理においては、基本契約書や個別契約書、さらには請求書などが、紙ベースでやり取りされ、そのやり取りの方法も全社で統一化されていないのが一般的です。また、契約・契約更新・請求といった処理の効率化に向けて、何らかのシステムを導入していたとしても、これまでのシステムは、ほとんどの場合、タイムシートの集計や契約書の管理など、個別のプロセスにしか対応していません。

こうしたことから、残業代の計算やタイムシートと請求書の照合作業、契約更新処理などに多大な手間と時間を要することが多くあります。また、紙書類の一元管理が行われておらず、例えば、外部人材雇用に関する基本契約書や個別契約書がどこにあるかがわからなくなることも珍しくないのです。

課題④外部人材情報の共有・スキル管理が徹底されていない                                                                
雇用した外部人材の情報が人材を採用した部署ごとに管理され、全社的な共有化ができていない場合があります。この場合、必要なスキルを備えた外部人材が他部門にいてもそれに気づけず、他部門での契約が終了した時点で、他の会社への流出を許してしまうという事態につながっています。

課題⑤コンプライアンスが全社的に徹底されているかどうかが見えていない                                      
企業によっては、工場や地方拠点での派遣社員の管理について、本社が一切関与していない(現地の人事にすべてを任せている)ことがあります。この場合、工場・地方拠点での法令違反があっても、本社側でその確認がリアルタイムに行えず適切な対応を即座にとることができなくなります。

2019年4月1日に「働き方改革関連法」が施行され、2020 年4月1日からは「同一労働同一賃金(別名:パートタイム・有期雇用労働法)」の施行が始まる(中小企業への適用は2021年4月1日より)など、近年では派遣法・労働派遣法などが複雑化しています。結果として法令順守(コンプライアンス)の難度は上がり、コンプライアンスを全社的に徹底させなければならない本社の人事担当者も、コンプライアンス遂行の当事者である工場・拠点の人事担当者の負担も大きくなっています。

課題⑥外部人材コストの全社的な可視化・分析ができていない                                                            
多くの日本企業では、例えば、派遣と請負を別々に管理しているなど、外注費の一元管理が行われていません。そのため、外部人材のコストパフォーマンスの比較や検証が行えず、外注費の適正化が図れずにいます。SAPの事業会社SAP Fieldglass社がOxford Economics社と共同で世界21カ国/1,000名強の企業役員(CxO)を対象に調査したところ、企業が外部人材にかけている人件費は、人件費全体の約42%にも達していることが分かりました(図1)。

これだけのコストをかけているにもかかわらず、外部人材のコストが可視化できず、適正化の方策が立てられないというのは、きわめて大きな問題と言えるのではないでしょうか。

図1: 企業が外部人材にかける人件費の割合

企業が外部人材にかける人件費の割合

出典:SAP FieldglassとOxford Economics社調べ外部労働力に関する市場動向2019

課題解決の方策、SAP Fieldglass

上に示した6つの課題は、実のところ、人材不足・採用難に悩まされている日本の企業だけに見られる問題ではありません。これらは、外部人材を積極的に活用している海外企業の間でも同様に見られてきた問題です。そうした海外の企業が採用している課題解決の一手が、ITによって外部人材や協力会社(派遣会社などの人材派遣・業務委託・準委任サービスの供給企業)を一元的に、かつ効率的に管理するというものです。

この種のソリューションは、海外では「ベンダーマネジメントシステム(Vendor Management System:VMS)」と呼ばれ、すでに業務アプリケーションの一つのカテゴリーとして確立しています。そしてSAPでも、このVMSに類する仕組みを提供しています。それが、外部人材採用・管理のクラウドサービス「SAP Fieldglass」です(図2)。

図2:SAP Fieldglassの輪郭図2
SAP Fieldglassは、外部人材の管理・活用に必要とされるあらゆる情報の一元管理と可視化、さらには、採用プロセスの標準化を実現するクラウドサービスです。その活用によって、「外部人材情報・スキルの一元管理」「外部人材採用プロセスの標準化」「コストの可視化・分析」「コンプライアンス強化」が実現され、上述した課題をすべて解決することが可能になります。

例えば、外部人材情報・スキルの一元管理によって、人材情報の可視化と共有化が実現され、全社的な人材活用の最適化が容易になります。

また、SAP Fieldglassにおける採用プロセスの標準化は、例えば、派遣労働者に関する手続きの場合、人材派遣の依頼/雇用条件の入力フォームのテンプレート化と、承認フローのテンプレート化によって実現されます(図3)。
図3:SAP Fieldglassにおける採用プロセスの標準化のイメージ
このテンプレートによって、外部人材の採用(サービス調達)から管理・請求までのプロセスがすべて標準化され、一元管理されます。これにより紙ベースの書類を処理する手間が一掃され、採用業務が大幅に効率化されます。加えて、外部人材採用/管理プロセスの透明性が確保され、コンプライアンス上の統制が強化されます。さらに、各種法令に則ったかたちでテンプレートを作成することで、日本の法制度に則った外部人材の採用を、採用担当者が意識せずに進めることが可能になります。

上述したとおり、SAP Fieldglassの活用によって、外部人材に関するあらゆるコストの一元管理も実現され、部門別・協力会社別での詳細なコスト分析が行えるようになります。これにより、例えば、『派遣元によってコストに差がありすぎる』『部門によって、同等のスキルを持った外部人材を確保するコストに開きがある』といった問題を発見し、コストの平準化や改善に役立てていくことができます。

このほか、SAP Fieldglassでは、外部人材の調達依頼を派遣会社やサービス会社のデータベースや個人事業主などに対して、まとめてかけることができるといった利便性も備えています(図4)。
図4:SAP Fieldglassによる外部人材の一括リクエスト
外部人材の有効活用は、企業が生産性を高いレベルで維持し、向上させていくうえで不可避の戦略と言えます。その戦略を洗練させ、かつコンプライアンス上の統制をしっかりと効かせいくためには、人の力だけに頼るのではなく、ITの活用が不可欠です。人材不足が常態化し、市場の要求スピードが加速化し、さらに法制度が厳しさを増す今こそ、外部人材の採用と管理のあり方をITで変革するタイミングと言えるのではないでしょうか。

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<了>