「2層型ERP」でグループ経営基盤を再構築し 共通のプロセスとデータで業務の標準化を進める ホーチキのグループIT戦略


グローバル化が急激に加速する現在、グループ企業経営を支えるERPのあり方も変わりつつあります。今回は、2019年9月19日(木)にSAP Leonardo Experience Center Tokyoで開催されたSAPクラウドERPセミナー「グループ価値最大化のための現実解~目指すべき真のグループ経営プラットフォームとは~」において、「グループ経営基盤の見直しと2Tierモデルへの期待」と題して行われたホーチキ株式会社の事例セッションの模様をお伝えします。

ホーチキは、火災報知機をはじめとする防災・防犯設備を国内外に展開しています。本社とグループ会社が一体となったグループ経営を目指す同社は、本社のSAP S/4HANAマイグレーションと並行し、グループ会社にはSaaS型ERPのSAP S/4HANA Cloudの導入を決断。「2層型ERP」による本社とグループ会社のプロセスとデータの共通化、業務とITガバナンスの強化、経営データの迅速な連携に向けて取り組んでいます。

将来のクラウドシフトを見据えて Fit to Standardの手法を検証

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日本の火災・防災業界をリードするホーチキは、国内38拠点、海外14拠点に事業所を置き、129カ国でビジネスを展開しています。2016年より段階的なIT基盤の強化を計画。本社へのSAP Business Suite powered by SAP HANA導入、SAP HANA Viewを活用したリアルタイムダッシュボードの導入を実施しました。

さらに2019年からは、本社システムのSAP S/4HANAへの移行を開始。グループ会社にも横展開し、経営管理指標の可視化を目指しています。

「システム変革を通して働き方改革やリスク対応を強化しながら、グループ全体の数字をリアルタイムに取得し、本社とグループ会社一体のグループ経営を実現することが目的です」と、情報システム部 部長の佐藤菜穂子氏は語ります。

具体的には、本社のSAP S/4HANA化と並行して国内グループA社へのSAP S/4HANAのロールアウト、国内グループB社へのSAP S/4HANA Cloudの新規導入、本社へのSAP Concur(経費精算システム)の導入と、4つのプロジェクトを並行して進めています。

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A社は業務プロセスが本社とほぼ同一で、アドオンなども共通で利用できる範囲が多いことから、SAP S/4HANAのロールアウトを選択。一方、B社は生産のみの機能会社で、業務プロセスも本社と異なります。そこでSAP S/4HANA Cloudを採用し、2層型ERPの実現に踏み出しました。

特にB社は既存システムの老朽化が著しく、早急に対処しなければ業務リスクとなるおそれがありました。しかしB社内にはIT専門の要員がおらず、本社の限られたリソースで導入から運用まで対応する必要があります。そこで本社システムとの親和性を考慮してSAP S/4HANA Cloudが採用されました。

「本社システムの将来的なパブリッククラウドへのシフトを見据えたノウハウの習得も狙いです。B社への導入を通してFit to Standardの方法論や最新技術を学び、クラウドの拡張スピードを体感したいと考えました」(佐藤氏)

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少人数・短期間での導入に向けて SAPコンサルティングサービスを活用

B社へのSAP S/4HANA Cloud導入プロジェクトは、2019年4月にキックオフ。Fit to Standardに向けたワークショップを実施し、要件定義、パラメーター設定などを経て8月には機能検証と受け入れテストに移行しています。本稼動は会計年度の都合で2020年4月を予定していますが、トレーニングで行けると判断できれば、いつでも稼動可能な状態にあるといいます。

プロジェクトは、本社の基幹システム担当が2名で遂行。短期導入を実現するため、導入支援はSAPジャパンのコンサルタントに依頼しました。

「少人数体制かつ時間との勝負がカギとなるプロジェクトのため、レスポンスを重視してSAPのコンサルティングサービスを活用し、導入方法論の早期理解に努めました」(佐藤氏)

導入時はB社トップの理解のもと、アドオンを極力抑えたFit to Standardの方針を徹底。現場も最初は違和感があったとしても、操作さえ覚えれば使いこなせると佐藤氏は考えています。

グループ会社の業務の標準化で 共通KPIでの経営判断が可能に

2層型ERPの導入効果として、もっとも期待しているのは共通のプロセスとデータによる本社とグループ会社の業務の標準化です。これによりグループ全体のデータが可視化され、共通のKPIで経営判断ができるうえ、ITガバナンスも強化されます。

また、B社ではExcelなどで作成していたレポートが、SAP S/4HANA Cloudの帳票機能を利用して短時間に作成できるようになる見込みです。さらに環境面ではハードウェアの故障リスク、データ消失リスクがなくなり、事業継続対策も強化されます。

ホーチキでは今後、他のグループ会社でもSAP S/4HANA Cloudの活用を検討し、2層型ERPを強化していく考えです。さらにグループ全体の基幹システムでのクラウド活用に向けて検討中です。

「SAP S/4HANAへのマイグレーションでネックになっているのがアドオンです。そこで本社でもFit to Standardでのクラウド導入が実現できるかを検討していきます。本来の導入目的を見失わないことが、結果的にホーチキ全体のデジタルトランスフォーメーションにつながると信じています」と佐藤氏は将来構想を語っています。

IT要員の数が限られる中、将来を見据えて積極的に2層型ERPによるグループ基盤強化を進めるホーチキの事例は、多くの企業の参考になるはずです。

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