プロジェクトバリューチェーンの差別化を支援する。SAP Commercial Project Management for SAP S/4HANA のご紹介


プロジェクト型サービスを提供している企業(例えば、プロフェッショナルサービス、エンジニアリング、建設など(以下、プロジェクト型サービス企業))は、次のようなプロジェクトバリューチェーンを通して顧客に対して価値を提供しています。

プロジェクトバリューチェーンの例

プロジェクトバリューチェーンの例

プロジェクト型サービス企業は、これらのプロジェクトバリューチェーンの個々の構成要素の差別化により競争優位性を生み出していく必要があるのはもちろんですが、それだけでなく、これらの要素の横断的な統合によって競争優位性を生み出していく必要があります。

しかしながら、実際のところ既存のシステム環境はこれらの要件を十分に満たせていないことが多いようです。我々がプロジェクト型サービス企業のお客様とお話をさせて頂く際にも以下のような課題を挙げられるお客様が多くいらっしゃいます。このような状況を考えると、競争力のあるプロジェクト型サービスの提供を支援できるシステム環境を構築できていると自信を持って言える企業はあまり多くないのではないでしょうか。

<プロジェクト型サービス企業のお客様からよくお聞きする課題>

  • 会社の基幹システムから切り離されたバラバラなツールを使用していることにより、
    • 不正確で古いデータに基づいて意思決定がされる
    • プロジェクトマネージャーやプロジェクト管理者が必要な情報を探し出すために多くの工数を要している
    • 面倒なデータの同期が生じている
  • 顧客見積、計画および予測の作成に手間が掛かり過ぎている
  • 課題や変更を体系立てて記録できておらず、プロジェクトのリスクが十分にコントロールされていない
  • 数多くの未承認の変更がプロジェクトの収益性に影響している。また予算超過やスケジュール遅延のリスクを増加させている
  • プロジェクトチームメンバー、パートナー、利害関係者のコミュニケーションが不足している
  • 組織におけるプロジェクト状況に関する透明性が欠如している

もし皆様の会社がプロジェクト型サービス企業なら、いくつかは自社にも当てはまる課題があるのではないでしょうか。

今回ご紹介するSAP Commercial Project Management for SAP S/4HANAは、これらプロジェクト型サービス企業における重要なビジネスプロセス要件に対応する機能を提供し、販売、計画、実行、モニタリング、管理といったプロジェクトの様々なプロセスをカバーします。プロジェクトを納入している企業(例えば、プロフェッショナルサービス、エンジニアリング、建設など)は、このソリューションを利用して主要なビジネスプロセスやバックオフィス業務を進化させることができます。

SAP Commercial Project Management for SAP S/4HANAは以下の3つの機能で構成されています。

  • プロジェクトワークスペース
  • プロジェクト原価および収益計画
  • プロジェクト問題および変更管理

プロジェクトワークスペース

プロジェクトワークスペースはプロジェクトに関するあらゆる情報へアクセスする機能を提供しています。プロジェクトには様々な性質の異なる情報(例えば、リスク、ステータス、タスク、予算、リソース、契約情報など)があり、プロジェクトマネージャーはこれらの情報を利用してプロジェクトの状況を把握、コントロールする必要があるわけですが、一般的にはこれらの情報はその性質の違いから異なる部門の異なるシステムで管理され、そのシステムの多様性がプロジェクトマネージャーを始めプロジェクト関係者のタスクの複雑性を増す1つの要因でした(図.分断されたプロジェクト情報)。

分断されたプロジェクト情報

分断されたプロジェクト情報

プロジェクトワークスペースは、これらプロジェクトの多様な情報にアクセスするための単一のユーザーインターフェースを提供します。さまざまなシステムやビジネスオブジェクト(マスタ、伝票など)を統合するためのフレームワークを提供し、プロジェクトのバリューチェーンを通してプロジェクトや顧客についての関連情報が必要なときに利用できる情報基盤を提供します。

プロジェクトワークスペースコンポーネントを使用することで以下の例のようにプロジェクト関連の情報に容易にアクセスが可能です。

 

請求および売掛金概要

請求・売掛金概要

請求・売掛金概要

プロジェクト別の受注伝票の状況を確認できます。受注額、請求済額、未請求額などを把握し受注残管理が行えるようになっています。またプロジェクトの受注に対してワークスペースから後続の請求処理を行うことも可能です。

 

購買概要

購買概要

購買概要

プロジェクトの購買伝票の状況を確認できます。購買依頼、購買発注、発注済未検収などの状況を一覧で把握することができます。また、各購買伝票の後続処理をトリガすることも可能です。

 

 

 

プロジェクト原価・収益レポート(予実管理レポート)

プロジェクト原価・収益レポート

プロジェクト原価・収益レポート

計画データは後でご紹介する「プロジェクト原価および収益計画」コンポーネントを使用して作成した計画値が、実績値はSAP S/4HANAのプロジェクト管理モジュールのプロジェクト別実績がリアルタイムで表示されます。

 

 

リスク一覧

リスク一覧

リスク一覧

プロジェクトに対してのリスク定義や、定義したリスクの一覧ができます。定義したリスクのインパクトに応じてヒートマトリクスでの確認も可能です。

 

 

 

プロジェクト原価および収益計画

プロジェクトの原価や収益の計画は、プロジェクト管理の中でも最も重要な機能の1つと言えます。計画策定プロセスは業種や各企業によって異なりますが、顧客への見積提案の段階の計画から、契約時点でのベースラインとしての計画、プロジェクト実行にともなって着地予想としてアップデートされた計画というようにプロジェクトの状況に沿って計画を更新していくことが一般的だと思います。SAP Commercial Project Management for SAP S/4HANAのプロジェクト原価および収益計画機能では、計画バージョンを自由に定義し、これらすべての段階の計画策定を柔軟にサポートします。

原価・収益計画

原価・収益計画

計画作成時にはSAP S/4HANAのマスタデータをベースに計画を作成することでデータの一元的な管理が可能です。例えば、プロジェクトで必要な作業コストを計画する際には作業種別(活動タイプ)と作業時間を入力することで、SAP S/4HANA内の作業単価をもとに計画することができますし、使用する部材のコストを計画する際は品目マスタの単価情報を利用して計画できます。

また、計画作成時には過去の類似のプロジェクトで作成した計画を参照して登録することで、計画時の労力を低減することが可能です。

 

プロジェクト問題および変更管理

問題・変更管理

問題・変更管理

プロジェクトがうまくいかない原因の1つは、当初想定していなかった様々な問題や変更が発生し、それらがコントロールされていないということが挙げられます。問題や変更の発生はプロジェクトにおいては避けられないことではありますが、その対応方法がしっかりと定義され状況がコントロールされていることがプロジェクト管理においては重要です。プロジェクト問題および変更管理機能では、リスクの定義から、リスクが顕在化した際の問題登録、問題に対する対応手順の定義や修正、さらに問題に対応する変更要求の登録・承認まで一連のプロセスをシステム上で体系的に管理する機能を提供しています。加えて変更要求に対する追加計画原価を「プロジェクト原価および収益管理」の機能を利用して定義し、承認された変更の追加計画原価をプロジェクトの計画原価に反映させることができます。これにより未承認の変更によりプロジェクトの収益性が想定外に悪化する事態を防ぐことができます。

 

いかがでしたでしょうか。本稿ではSAP Commercial Project Management for SAP S/4HANAのすべての機能を紹介出来ませんが概要と価値はお伝え出来たのではないかと思います。