テクノロジー×教育が描く未来の行方―災害に負けない街を一緒に創ろう。レゴ® ブロックを使ったプログラミング学習と防災教育開催レポート

作成者:吉田 彰 投稿日:2019年11月19日

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2019年10月12日に日本に上陸した令和元年台風第19号は、関東甲信越と東北地方を中心に記録的な大雨となり大きな被害をもたらしました。この台風の影響で、甚大な経済損失が起こっただけではなく洪水や土砂崩れにより多くの人命が失われました。

私たちはこの様な自然災害にどの様に向き合うべきでしょうか?

SAPが大分大学と進めるEDISON(Earth Disaster Intelligent System & Operational Network)は防災・減災のための情報活用プラットフォームを準備しています。しかし、「プラットフォームやツールができたので使ってください」と発信するだけでは不十分で、プラットフォームや情報は活用されなければ意味がありません。

そして、災害発生時に被害を拡大させた要因の1つとして避難率の低さなどが課題になっています。
これは「自分は大丈夫」と日常生活の延長線上の出来事だと判断してしまう正常性バイアスや「周囲の人の動きを探りながら同じ行動をとることが安全」と考えてしまう集団同調性バイアスと呼ばれる心理的な傾向によるものです。

災害対策を高度化し被害をゼロに近づけるためには、このような災害に対する意識改革、つまりは「根本的な体質改善」が必要になると考えています。

この意識改革の一つの手段が「防災教育」です。

まずは楽しみながら体感すること

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2019年11月10日に開催された「災害に負けない街を一緒に創ろう」は小学生を対象としたプログラミングおよび防災対策に関するEDISON教育プログラムです。

リンク:大分大学と大分県が県内の小学生を対象に、プログラミングおよび防災教育イベントを2019年11月10日に実施

大分大学 減災・復興デザイン教育研究センター(以下、CERD)の防災教育コンテンツにレゴ® ブロックとiPadを使ったプログラミングを組み合わせ、発災時の情報伝達手法や災害対策の仕組みを体感し、自ら考えることを促しました。

このプログラムでは、大分大学、SAP CSRに加え、SAP CONCUR大分支社、災害対策とIT人材育成に関する調印を行った大分県、ザイナスやレゴエデュケーションも参加しファシリテーションを務めました。

参加した子供達と保護者は、まず「災害とは何か?」「非常時にはどの様に行動するのか」について学習し、簡単なロボットを作成しました。

プログラミングの基礎やセンサーの動き、音や色を使って周囲に危険を知らせる事などを学んだ後、いよいよ災害対策として水門作りを開始しました。

自ら考える力を育てること

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レゴ® ブロックやセンサーなどを前に、参加した子供達は休憩中も席を立ちません。夢中になって水門を組み立て、動かなければ水門やプログラムを自ら修正し完成に持っていきました。

全テーブルの水門が完成すると、当日進行を務めたCERD小林先生は東日本大震災の大津波から村を守った岩手県普代村の水門の実例について紹介しました。

明治三陸地震では約15mの津波が村を襲い「今度来る津波からは村民の命と財産を守らねばならない」という村長の強い想いで作られた15.5mの水門のおかげで、東日本大震災では津波による大きな被害が出なかった話に子供達は耳を傾けていました。

そして完成した水門に「センサーを使って危険を察知するためには」などのアイディアを加え、それぞれ高度化を目指しました。

大切なのは考える力を育てることです。

子供達とファシリテーターの議論は尽きることなく、たくさんのアイディアが出ました。
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教育プログラムは「学校や家族というコミュニティの中でしっかり話をして事前対策を行なっておくことが重要」という話で締め括られました。

参加した保護者や教育関係者からは「トライ&エラーの繰り返しが体験できる環境は、子どもの学びに必要だと改めて感じた。もっと学校現場でも同様の取り組みができるよう今後考えていきたい」「楽しみながら防災を考えるきっかけになった」などの感想が寄せられました。

テクノロジーによる体験と事実がリンクすることで、災害に対する意識改革を目的とした高度な防災教育が可能になります。

このようなプログラムの定期開催と様々なテクノロジーを使った防災教育の拡充が、防災に対する社会実装を実現し、新たな未来を切り開いていくことになると考えています。

迫り来る災害への対応をより深化させ、次世代へ継承をしていくために。

参考:
災害発生時の迅速かつ正確な初動対応を促すための情報活用プラットフォーム

大分県、SAPジャパン、SAP Academyによる相互協力協定

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