イノベーションを生み出す人と組織の作り方 ~ 変化の時代を勝ち抜く人事戦略 ~


Happy businesswomen holding hands in meeting at creative office

製品力で勝ち切る時代が終わり、イノベーションが企業の成長の源泉となっている

昨今、多くの日本企業がイノベーションや新規事業に活路を見出そうとしています。長年日本経済を支えてきた、製品力の強さが、徐々にグローバル市場の中で失われていきつつあるからです。革新的な製品を生み出しても、すぐに類似する製品が出てきてしまう。一つの優れた製品を長年かけて生み出し、時間をかけてコストを回収するモデルが通用しなくなっています。
そこで、イノベーションによって新規事業を打ち立てて、新たな柱としていく必要があります。「イノベーションとは何か」この問いに対する私の回答はシンプルです。「新たな価値をつくり、事業化すること」
必ずしも新たな技術や製品を一から発明する必要はありません。今あるモノやサービスを組み合わせて、その組み合わせが新しく、新たな価値となれば、そこに事業化のチャンスがあります。UberやAirbnbは、使われていない自家用車や住宅をユーザーと繋いだだけです。一方で、新たなアイデアを思いついても、それを事業化しないことには、ただの思い付きに過ぎません。Alibabaは中国のE-commerce市場を作り上げる前には、Yahoo Chinaを始め多くの事業に失敗しています。しかしその失敗から学び続け事業化に挑戦し続けることで、多くのイノベーションを成し遂げています。

新たな価値を生み出し続けなければならないジレンマ

新たな価値を生み出し、事業化することができたとしても、現代のイノベーションにはもう一つ大きな壁があります。それは、「その価値は目まぐるしく変わっていく」ということです。この3つのスマートフォンをご存じでしょうか。(図表1)左のスマートフォンはまさに世界を席巻したNOKIAのスマートフォンです。2007年には50%を超えるシェアを持っていました。しかしその僅か6年後、シェアは3.1%となりました。中央はBlackberryです。前米国大統領のオバマ氏が利用していたことでも知られ、ビジネスユースに圧倒的な強さをもっていたスマートフォンは2009年の20%のシェアから7年後2013年には0.1%となりました。右はAppleとGoogleのスマートフォンで、合わせたシェアは90%と異常な寡占市場です。しかし、その6年後、果たして彼らが市場に残っているかどうかはわかりません。

(図表1)図表1_W

つまり、企業がイノベーションによって生き残るためには、新たなアイデアを人が生み出し続けることが必要であり、企業の価値は、そこで働く人材の価値によって決まる時代となりました。だからこそ人事部門の役割は非常に大きくなっています。アイデアを生みだし続けるには、昔のようにひとりのリーダーに頼るだけではなく、企業全体が継続的にイノベーションを起こし続ける仕組みづくりが同時に必要となってきます。

社員とリーダーとはどちらから変えなければならないか

このようなご質問をよくお受けします。または経営者の方から、「うちの社員はみんな言われたことしかやらない。変えてほしい」といったご相談をお受けします。しかし、変わらなければならないのは間違いなくまずリーダーからです。社員がどれほど良いアイデアを出しても、リーダーがそれを受け取って実行に向けて支援しなければ、事業化はできません。
また、「それは確実に成功するのか?」と問われて社員が何年もかけて調査しているうちにチャンスはなくなっていきます。現代の市場はどんどん変化しています。リーダーの過去の経験では理解できないことも、大きなチャンスとなりえる時代です。リーダーは「このアイデアは不可能だ。うまくいくはずがない。」と思っても、まず、「このアイデアをうまく活かすためにはどうすればよいのか」というマインドセットで常にいなければなりません。
SAPの社内大学であるSAP Academyでは、全世界の管理職研修を一括してシリコンバレーで行っています。そこで何度となく話されるCore Principleがあります。(図表2)
このマインドセットをリーダーが持つことが、イノベーションの出発点となります。

(図表2)図表2_W

社員のモチベーションを高める

新たなアイデアを考えていくことは、当たり前の話ではありますが、簡単なことではありません。簡単に思いつくことは競合企業がすでに試しています。市場の中に存在する「当たり前として受け入れている不便」や「欲しいけど今はないサービス」を深い洞察の中から見つけていかねければなりません。前述のように、リーダーのマインドセットが変わっていることは大前提ですが、それでも、社員のモチベーションが相当高くなければ、普段の仕事をしながら、新たなアイデアを考えることは容易ではありません。
例えば、新規事業コンテストのようなものを行っても、一部のやる気のある社員ばかりがアイデアを出す場になってしまい、その制度自体すぐに白けたものになってしまうという例はよくあります。多くの知識と経験を混ぜ合わせて、様々なアイデアを出すには、新たなチャレンジやアイデアを会社として認知することが非常に重要となります。
SAPにはAppreciation Programというものがあり、人事評価の目標制度には入れられないような、普段の仕事の中でのちょっとした感謝を表明する制度があります。例えばこのような制度の中で、新たなチャレンジ、新たな工夫、アイデアに対する行動を認知してあげることが、モチベーションに繋がります。ロジックや損得勘定以上に、人は感情で動く生き物です。感情を動かすための仕組みづくりに力を入れていくことで、社員全体の新たなチャレンジへのモチベーションを高めていく必要があります。
SAPでは、このような社員の感情を動かしモチベーションを高める仕組みづくりをHuman Experience Management(HXM)として、非常に力を入れて取組んでいます。どれほど優秀な社員でも、ちょっとしたことがきっかけでモチベーションは常に変動してしまいます。だからこそ、社員のモチベーションをデータを活用して継続的に高めていく仕組みづくりに多くの企業が活路を見出しています。ぜひ皆様のお取組のお役にたてれば幸いです。

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