地方が活力を生み出すビジネス最前線!あすびと福島、オイシックス・ラ・大地、トラスコ中山が得意分野を活かした地域活性化とは


地方創生は、少子高齢化に直面する日本が抱える大きな課題の1つです。BSテレビ東京「田村淳のBusiness Basic」では、「地方が活力を生み出すビジネス最前線」をテーマに、ビジネスのアイデアを取り上げました。
東京・大手町のSAP Experience Center Tokyoで行われた番組収録には地域で活動する方々が一堂に会し、いかに活性化に取り組むか、生き生きとした議論が行われました。SAPジャパンの常務執行役員 宮田伸一も参加。SAPの地方創生に対する取り組みを紹介しました。

収録の様子


放送された動画を公開中です(以下よりご視聴いただけます。)


地方の浮沈が明確になる時代

今回は、MCの田村淳氏、須黒清華アナウンサー、報道局解説委員の大浜平太郎氏というレギュラー陣とともに、あすびと福島の沖沢真理子氏、オイシックス・ラ・大地の高橋大就氏、トラスコ中山の数見篤氏、SAPジャパンの宮田が登壇。4社それぞれの取り組みを紹介した後、会場に集まった数十名の観覧者も交え、地方創生のアイデアについて議論が行われました。

まず、田村氏は「日本の地方は、成功している地域と困っている地域に2極化している」と問題提起。これに対して大浜氏は、「本当の意味での大成功はこれから。東日本大震災の後、いろいろなアイデアが生まれ、その結果が少しずつ出始めている地域もある」と語りました。人口が減るから労働力が減り、税収も減る。すると住民サービスが悪化し、ますます地方から人がいなくなる。このような悪循環を断つアイデアが求められています。

さらに、田村氏は「良い議論をしても、この会場を出たら皆はすぐに忘れる。それではダメなので、皆が忘れないようなインパクトのある議論がしたい」と鋭く指摘します。そして、4名がそれぞれキーワードを掲げ、地方での活動内容を発表しました。

左から:あすびと福島の沖沢真理子氏、オイシックス・ラ・大地の高橋大就氏、トラスコ中山の数見篤氏、SAPジャパンの宮田

左から:あすびと福島の沖沢真理子氏、オイシックス・ラ・大地の高橋大就氏、トラスコ中山の数見篤氏、SAPジャパンの宮田

憧れの連鎖が人材を育てる

東日本大震災で大きな痛手を負った福島に新たな活力を生み出す活動を、福島県南相馬市を中心に行っている社団法人「あすびと福島」は、地域の課題を可能性と捉え、新しい価値を創ろうとする若いリーダーの育成という目標を掲げています。

あすびと福島の沖沢氏が強調したのは、「憧れの連鎖」の重要性です。
「憧れの連鎖」とは、トップランナーとなる若い人材が事業を起こし復興に貢献する姿を見て育ったいっそう若い世代が、自分も事業を起こせるようになろうと挑戦する循環が生まれる育成プロセスです。
「憧れの連鎖」の中核となるこのトップランナーを早期に育成することが極めて重要であり、私たちはその実現に全力を尽くします。

また南相馬市には、次世代の地場産業に役立つロボットやドローンの実験/活動拠点として福島ロボットテストフィールドが誕生しました。あすびと福島ではSAPジャパンの協力の下、子どもたちのためのロボットのプログラミング体験を実施しており、地元の高校生もボランティアとして運営を支えています。

「ヨソモノのチカラ」で農業に活力を

オイシックス・ラ・大地は、地方の食材やミールキットを全国の家庭に届ける食材宅配サービスで知られています。地方の第一次産業がなければビジネスモデルが成り立たないという同社の高橋氏は、「生産者がヒーローになれるような仕組みと世界を作りたい」と語ります。

それには、「ヨソモノのチカラ」が重要と同氏は考えています。運営するサービスブランドOisixの会員約24万人からは、日々さまざまな意見が寄せられます。それらを生産者と共有し、サービス向上や商品開発に役立てているのです。例えば、完熟でも緑色のナスを「白ナス」という名称で販売していた農家がありました。Oisixは、「加熱するとトロトロになる」という顧客の声から、「トロなす」というネーミングを提案。結果、爆発的な人気商品に。生産者も納得の結果につながりました。

高橋氏は、東北の食産業の復興を目的にした「東の食の会」の事務局代表も務めています。そこでは、岩手県のメーカーと共同開発した商品「サヴァ缶」は累計600万缶も売れるヒット商品に。さらに、福島の農家チームと福島県産りんごの果汁を使ったリンゴ酢サイダー「RINGO STAR(リンゴスター)」を共同開発して販売しています。

サヴァ缶を試食する田村氏

サヴァ缶を試食する田村氏

「日本最大の工具箱」で地方のものづくりを支える

トラスコ中山は、工具や間接材の供給を通じて、地域と密接に関わりながら日本のモノづくりを支える専門商社です。「水道や電気のように、モノづくりにとってなくてはならない存在になりたい」と、同社の数見氏は語ります。

同社は全国に68か所の営業拠点、26か所の物流拠点をもち、埼玉県幸手市にある国内最大の物流センターには約40万アイテムの在庫を保有。他社が取り扱わないものも取扱い、多くの商品を在庫し、即納することが強みです。手袋だけで7,500位のアイテム数、工事現場で見かけるカラーコーンに至っては最大2mのものまであるそうです。他にもドラム缶やドローンなど、その在庫の豊富さには驚きの声が上がりました。数見氏は「富山の置き薬」をヒントにした、工場内の生産現場や建設現場でよく使われる工具やヘルメット、手袋などのプロツールを予め現場に設置された棚に揃えておき、ユーザーが使用した分だけ代金を支払う「MROストッカー」のサービスを紹介しました。SAPとの協業で創り出した新しいビジネスモデルであり、ユーザーは在庫を保有せずに、必要なときに必要な分だけ商品を利用できます。また、スマートフォンを使用して、利用データをリアルタイムで確認し、使用した分だけ、自動補充を行うという仕組みも2020年に開始しました。注文をしなくても欲しいときに直ぐ手に入る利便性は、他社にはない圧倒的な魅力となっています。

「人の想い×テクノロジー」で日本の明日を作る

4人目のSAPの宮田は、地方に注目する理由について、各地域にはいろいろな課題に向き合うリーダーが多くいて、かつてないイノベーションが起こっていることを挙げました。

SAPジャパンは大分県と相互協力協定を締結し、災害対策とIT人材育成に取り組んでいます。ある社員が自発的に動き、周囲を巻き込みながら地域貢献した成功例の一つです。ここで田村氏が「地域に貢献したいと考える社員がいたら、会社は自由に挑戦させてあげるんですね」とコメントしたことで、SAPの社風にも関心が集まりました。

さらに沖縄県では、レンタカー待ちで2時間かかるなどインバウンド需要の高まりに対応できていないタクシーやレンタカー、レストランの、情報を管理するプラットフォーム構築を実現。田村氏は、「クレームをつけて終わるのではなく、解決策を考え出すのが大事」と感心していました。

新しい地方創生のアイデアを考える

続いて、ここまでの話題をもとに「ビジネスのタネ」として、地方が独自に活力を生み出す新しいプランについて議論が交わされました。

高橋氏は「東北の農業者、漁業者をトラスコ中山の物流倉庫に連れていきたい」と発言。その狙いは、彼らが工具類を知ることで、そこから新しい使い方が生まれるのではないかということです。沖沢氏も物流倉庫に興味津々で、「南相馬市には空き家が多い。ドラム缶風呂を使った古民家で地域活性化できないか」とアイデアを膨らませていました。すると高橋氏は、秋田の古民家をクラウドファンディングの村民募集プロジェクト「シェアビレッジ」で再生させた成功例を紹介し、可能性の大きさを示しました。

宮田は、「オイシックス・ラ・大地の食材をトラスコ中山のMROストッカーに置けないか」と提案しました。数見氏は、「プラットフォームですから、工場で必要な物であれば」と納得。缶詰はどうか、と「サヴァ缶」をヒットさせた高橋氏も乗り気に。さらに観覧者からも組み合わせのアイデアが出されるなど、議論は活況を呈しました。

最後に田村氏が「地方の課題をどう解決するかという日本の取り組みが、世界の課題を解決するきっかけになるかもしれない」と総括し、地域の課題をポジティブにとらえ、新しい価値を生み出すことへの意欲を促しました。

そして後日、各社と関係者の方が実際にトラスコ中山の物流拠点にお邪魔し、新しいビジネスコラボレーションの種を考えました。その様子は第5回目で放送されています。

BSTVTokyo4


▼放送された動画を公開中です(以下よりご視聴いただけます。)


▼またテレ東プラスにて、各社の特別インタビューが記事になりました。
放送では語られていない各社の取り組みをぜひこちらでもご覧ください。


▼前回の収録の様子はこちらから
「前向きな議論がイノベーションを生む – ライオン、パナソニックも活用するデザインシンキングの最前線」