SAP Data Warehouse Cloud、いよいよ、日本でサービス提供開始 !!
作成者:椛田 后一 投稿日:2020年5月25日
昨年の11月にグローバルでサービス開始された「SAP Data Warehouse Cloud」ですが、いよいよ、日本のデータセンターでも提供開始となりました。
先だって、プレスリリースでも発表しましたが、どのような特徴をもったサービスなのか、まずは概要をご紹介します。
データウェアハウス専用のデータベースサービス ?
「SAP Data Warehouse Cloud」という名前から推察するにあたり、誰もがそのように「誤解」されたかと思います(皆様のせいではありません)。
SAP Data Warehouse Cloudは、一言でいうと「ビジネスユーザーのためのデータ活用プラットフォームサービス」です。
ただ、これだとまだ抽象的過ぎるので、もう少し丁寧に解説いたしますが、キーワードは「ビジネスユーザー」です。
ビジネスユーザーのためのデータ活用プラットフォーム
ここで言う「ビジネスユーザー」とは、営業部門や企画部門、経理部門など、各事業部門やバックオフィス系部門の皆様のことを指しています。
この「ビジネスユーザー」の皆様が自分達の見たいデータに対して簡単にアクセスできて、簡単にデータ加工ができたり、手元のExcelで管理しているデータとシステムのデータとを簡単に突き合わせてレポートを作成し、簡単にビジュアライズすることができるツール、それが「SAP Data Warehouse Cloud」です。
疲弊するIT部門
従来のデータウェアハウスやデータ活用において、IT部門の方々の貢献は多大でした。それは言い方を変えると「労力」も多大でした。
いわゆる「現場」と言われる各利用部門から、
「こんなレポートが欲しい」
「このデータ項目をレポートに追加して」
「明細データも欲しいのでこういう条件でデータ抽出して生データを送って」
「サマリーデータと明細データが合わないけど… 正しい ? このデータ ? 」
「依頼していたレポート、いつできるでしょうか ?」
などのリクエスト、問い合わせが続き、データが活用されることは企業にとって良いことなのですが、データ活用が進めば進むほど、IT部門の方々の疲弊していく姿が多くみられるようになりました。
不満が溜まる「現場」部門
一方で「現場」のビジネスユーザーから見ると、
「レポート作成依頼をしてから提供までに1カ月以上掛かる」
「レポートの項目追加/修正が依頼がしづらい」
「データ抽出を依頼してから提供されるまでに時間が掛かる」
「データ取得の社内の申請手続きが面倒」
「システム毎にデータを抽出して手元のExcelでデータ加工してレポート作成しているので手間が掛かる」
など、現場での不満も溜まるばかり。
話題のRPAでデータのダウンロード、データ加工、レポートを自動化しようとしている、のようなお話もよく聞きますが、それこそ、RPAの正しくない使い方。もう少しスマートにデータ活用できないものか、、、
このような状況を打開するためのツールが「SAP Data Warehouse Cloud」になります。
ビジネスユーザーは自分達の見たいデータを見える化する
ビジネスユーザーは自分達の好きなようにデータを見える化します。
SAP Data Warehouse Cloudのライセンスには、「SAP Analytics Cloud」のライセンスが最低限の人数分含まれています。
SAP Analytics Cloudはクラウド環境で使用する、SAPの最新のアナリティクスサービスで、既に多くの企業での利用実績があります。
ソフトウェアコンポーネントの観点からは、SAP Data Warehouse CloudとSAP Analytics Cloudは別製品/サービスになりますが、それらがシームレスに連携します。
作成したレポートやグラフはSAP Data Warehouse Cloud内で管理しますので、データだけでなく、作成後のレポート画面も各部門毎に管理します。
IT部門に作成してもらったレポート画面でも、最近はあまり使っていない、、、けど、削除してもらうのも言い辛くて、使わないレポートが増えていく、、、なんてことも、部門内で作成しているレポートであれば、「誰か、このレポート使ってますか ? 削除してもいいですか ?」というようなコミュニケーションも日常の中で行われるものと思います。
簡単なデータの整形も自分達で
ビジネスユーザーは、社内システムのデータを元に、自分達で簡単な「データ準備」を行うことができます。
「データ準備」とは、レポート作成する前にデータの形式などを整える作業のことで、データそのものを書き換える/編集する作業ではありません。
例えば、顧客マスターと売上データを「顧客ID」で紐づけて、その結果と商品マスターを「商品ID」で紐づけて「売上明細レポート」のためのデータ準備を行うことが可能です。
もちろん、標準的なレポートデータはIT部門に用意してもらうこともできますが、複数の社内システムのデータを元に、ビジネスユーザーでもドラッグ & ドロップなどの簡単な操作で「データ準備」の作業を行うことができます。
テクニカルには、「ビュー(仮想テーブル)」を作成します。
加工後のデータをさらに別テーブルに保持しません。
つまり、ビューを通じて、データを保持している元のテーブルに対して直接アクセスしているため、常に同じデータを全社員、全部門の人達が参照していることになります。
また、手元のExcelファイルも簡単にアップロードできるため、システムのデータと自分の手元で管理している「ちょっと小回りの利いたデータ」を突き合わせてレポートを行うことも可能です。
まさに、自分達の部門、もしくは自分だけが見たいレポートを自分が好きなようにデータ整形できます。
IT部門は、現場に見せるためのデータを用意する
IT部門は、社内に散在しているシステムとSAP Data Warehouse Cloudを連携させて、ビジネスユーザーに対してデータを公開します。
データを連携させる際には、データをコピーしてSAP Data Warehouse Cloudにロードする(データを保持する) のか、SAP Data Warehouse Cloudを通じて他システムに対して直接アクセス(仮想データアクセス) させるのか、連携先のシステムの負荷の状況なども鑑みて判断します。
具体的な運用としては、各部門毎に「スペース」を割り当てて、その領域内でアクセスできるユーザーを指定します。
ただし、IT部門が全社員を各々のスペースにアサインするのは大変なので、各部門毎に部門内での管理者を割り当てて、部門内でユーザー登録やアクセス権限の管理を行ってもらうのが適切かと思います。
当然、部門によっては公開できないデータ、お客様や社員の個人情報などは、最初から項目から除外したり、マスクして提供するのは、引き続きIT部門の重要な役割になります。
IT部門とビジネスユーザーのコラボを促進
IT部門の負荷も軽減し、ビジネスユーザーの方々も気軽にデータアクセス、レポーティングできる環境が、1つのツール/プラットフォームで完結できるようになります。
現場のデータ活用が促進されるための一番重要な要素と言われる「データアクセスのパフォーマンス」もインメモリーデータベースのSAP HANA (SAP HANA Cloud)を使用しているので心配ありません。
このツール/プラットフォームでのデータ活用が進むと、
「もっとこんな種類のデータが欲しい」
「鮮度の高いデータが欲しい」
「もっと細かい粒度のデータが欲しい」
など、データの品質に関する要望が増えることが予想されます。
データを元にしたアクションの精度を高めていく中での過程としては非常に健全な流れです。
また、ツールの使い方やデータの見方をIT部門が現場のビジネスユーザーに伝える中で、データを何のために使用しているのか、業務の中でどのように活用しているのかなど、IT部門側にも業務や利用目的に対する理解が深まり、お互いのコミュニケーションが活発化することも期待できます。
データ活用が企業内で浸透しているお客様事例から、「IT部門と現場部門とのコミュニケーション」が成功の鍵とよく言われています。
是非、この新しいサービスである、「SAP Data Warehouse Cloud」によって、IT部門とビジネスユーザーのコラボレーションを活発化していただき、ビジネスに役立つデータ活用と新しい企業風土の醸成、変革に役立ていただけたらと思います。
もっと知りたい、SAP Data Warehouse Cloud
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